〜青い薔薇 番外編 2〜
祝宴
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
「これ....」
そう言うと、ゾロは小さな包みを差し出した。
促されて出した私の手のひらに、彼はそれを載せた。
「何？」
「プレゼントに...見えねぇか？」
「私...に？」
「他に誰がいるよ」
「...ありがとう...」
「何でそんな顔してるんだ？」
まさか、あなたから、プレゼントをもらうなんて。
確かに、今日は私の誕生日だけれど。
あなたに教えたことあったかしら？
「開けて..いいかしら？」
「勿論」
久しくなかったこの感じ。
幾つになっても、贈り物のリボンを解いて包み紙を開く時は...
胸が躍る。
深い緑の瞳が、私の手元をじっと見ている。何だか照れくさい。
「まぁ....素敵」
「気に入ってくれるかなぁ...わかんねぇけど、直感で選んだ」
「こういうの、好き」
「そっか？」
あなたの、ちょっと覗き込むような目。少し私の方へ近付きながら言う。
「着けてみる？」
「ええ...」
品のいいゴールドの、細くて可愛らしいチェーンが揺れるイアリングと、お揃いのアンクレット。
私が髪を少し持ち上げると、あなたは私の耳たぶに、真新しい飾りをつけた。
「足...ここに置いて」
「うん...」
靴を脱いで、椅子の上に足を置いた。あなたは慣れた手つきで...いいえ、それは無理だった。ちょっと噴出しそうになるくらい、不器用な手つきで、私の足首の傍で、もたついている。
「自分でするわ」
「はぁ....」
あなたは溜息をつき、ちょっと切なそうな目で、私を見上げた。
せっかく、いいとこ見せようと思ってたのにな..。そんな顔してる。
新しい輝きが、私の足元を飾ってくれた。あなたは、そっと指先で触れて、チェーンに下がる、小さな光る石を揺らした。
「やっぱり思った通りだ....。似合ってる」
「嬉しい」
そしてその手は、私の足を撫で上げて、膝の裏、そして太腿にまで動いてきた。腰を抱いて自分の体へ引き付けた。
あなたの息が、耳元にずっとかかりっぱなしで。
何か言ってくれるのかと、待っているけれど、ただ黙って、唇を寄せてくるだけ。
私はじっと待っていればいいのかしら？それとも、キスをおねだりした方がいい？
教えてくれると嬉しいんだけれど。
今日、あなたは一日オフにして、私を誘ってくれた。お店休んで大丈夫？と訊いても、普段休まないから平気だって言って。あなたの真意がわからなくて、ちょっと不安だったけれど。
来てよかった。
私があなたの得意客だから。
去年の秋、あなたのお誕生日にお花を贈ったから。
だから、こんな時を利用して、『お返し』をしてくれるとしても。
そんなの関係なく、純粋に誕生日を祝ってくれているとしても。
そんなことは、どうでもいい。
今、一緒にいてくれている。それだけで...
「ぁ...」
あなたの舌が耳を這う。さっき付けてくれたばかりのイアリングが揺れている。あなたの手が私の髪をかき分けて、首元に熱い息がかかった。
力強い手が、私を抱き上げた。息一つ乱さずに軽々と。どこへ連れて行かれるのかしら。
「好きになるのを許してくれる？」
そう、以前言ったことがある。まだ、あなたの返事をもらってない気がする。ねぇ、好きになってもいいでしょう？
「急ぐなよ」
「え？」
「俺もゆっくり好きになるから」
「....」
「だから、ゆっくり付いて来い」
そんな台詞と、目の前のバスルームとは、何だか似合わなくて笑ってしまう。
「今日は一緒に入るか？」
「私は構わないけど...」
初めての時のあなたは、目のやり場に困ってます、という顔をして、それなのに自分の体を隠すことも忘れてて。
怒られるかも知れないけど、すごく可愛かった。
それが、今は余裕の表情で。
私の体を洗ってくれている。
もう、これだけで充分なくらい。
ねぇ...ここで...しようか？
「え？」
あなたは、ちょっと驚いた顔で私を見下ろす。
「ここで...」
「...本気か？」
「ええ」
私の体をシャワーで流しながら、あなたは何か考えている。
「ベッドの上ではできねぇこと..やろうぜ」
これから冒険へ出発する悪ガキみたいな表情で。
何でそんな素敵な顔ができるのかしら。
気が付いたら、キスされてた。
＊＊＊＊＊＊＊＊
あなたの膝が、私の太腿の間に割り込んでくる。時々押し上げるように、動かしてくる。
色々小技を覚えてきたのね。その間も続いているキス。あなたの舌が私の口の中で動き回る。
「んっ...」
「はぁ...」
「もう...息ができない」
「その苦しそうな顔って...ちょっとエロいよな」
悪戯っぽく笑うあなた。
私の背後に立ち、右手で首や胸に触れる。その手が、まだ何もしていないうちから、私の体に熱いモノが次々と湧き出てくる。どこからともなく。
そして左手は、お腹にのせてゆっくり撫でた後、そのまま少しずつ下へ。でも、ただ手のひら全体で、覆っているだけ。すごく焦らされてる感じ。
「綺麗な背中だな」
そう言って肩から背中を下りていく、あなたの唇。そしてまた上っていく
。私の肩に顎を載せて、もう一度両手が、私の体のあちこちをまさぐっていく。
あなたの指が、下腹部を滑り降りる。するりと深みに入り込んでくるのを感じ、私は思わず目を伏せた。
「あれぇ...？すっかり準備できてる...なんでだ？」
ひねりのない、でも意地悪な言葉を耳元で囁く。
余裕、出てきたのね。誉めてあげる。
指がくるくると滑り出した。恥ずかしい水音が聞こえて、また目を伏せた私に、あなたは言う。
「ちゃんと支えててやるから。俺にもたれてイけよ」
「あ....んんっ」
「さっきよりまた濡れてきてるぜ...」
私をわざと恥ずかしがらせようとしてるのか、耳元でそんな言葉を吐く。言葉責めなんて、私に通用しないわよ。
「あっ...んん」
「ここだな？」
「い....ぁ.....」
もう立っていられない。でも私の体は、彼にしっかりと支えられていた。
＊＊＊＊＊＊＊＊
俺の腕の中で、ロビンが荒い呼吸を続ける。もう足元はおぼつかなくて。黒い髪の隙間から、さっき俺が着けてやったばかりの金色のチェーンがちらりと見える。
さっきから指だけで攻めているが、このままイかせていいのかよ。こうしている間も、次々と蜜が溢れ出てくる。
「ああっ...」
俺は指の動きを止めて、ぐっと押さえてやる。心臓の鼓動のような動きが伝わってきた。そしてだんだんそれは、緩やかな動きになる。俺の胸に頭をもたれさせているロビンの顔を見た。ほんのり上気し、目元が色っぽい。
「今、すげぇイイ顔してんぞ」
「もう...そんなこと..」
「鏡、見てみろよ」
少し曇った鏡に、俺たちの裸体が見える。顔の表情までは、はっきり映っていないが、ロビンの細身で均整の取れた肢体は確認できる。
「あなたは？」
そう訊いてくるだろうと思った。
「いや、しなくていい」
「なぜ？」
「他にやりたいことがあるからな」
俺はロビンの体を抱え直し、タイルの壁の方へ視線をやった。これで分かってくれるといいが。
「....なるほどね。ベッドの上では確かにやらないわね」
「いい？」
「嫌だと言ったら？」
「ヤル」
「うふふっ...」
俺がゆっくり導くと、ロビンは壁に手をつき、脚を開いた。
「少し尻を突き出せるか？」
「こう...かしら？」
「上半身、下げて...」
俺の分身を、その脚の間から滑り込ませた。いつもと違う向きだと、こうも勝手が違うものか。先端が、なかなか思った場所を探し当てられない。
「ここよ」
ロビンが手を添えて導いてくれた。場所が分かっても、すんなりとは入らない。全てが逆方向なのだ。彼女が体をさらに前に倒し気味にして、体内への挿入を助けようとする。
やっとコツが掴めると、ソレは難なく呑み込まれていった。中は熱くて俺を包み込みながら蠢いている。
「ぁ...」
さらに深くまで入れてみた。
「ゾロ...」
「どうした？」
「すごい...奥が...」
「俺も...これ、何かヤバイぜ」
この向きだと、深く挿入しても恥骨がぶつからないためか、密着している部分の当たりが柔らかくて、とにかく気持ちがいい。
....こんなの、今まで知らなかった。
「いいこと考えたぞ」
「なぁに？」
「こうしながら...こうする」
俺はロビンの敏感な突起を、ゆるゆると弄ってやった。そうしながらも後ろからは俺自身を、小刻みに出し入れしてやる。その後は、できるだけ奥を突いてやる。
「だ...駄目ぇっ...」
「それは...イイってこと？それとも本当に駄目なのか？」
「い..いやっ....」
「おいおい...今度は嫌なのかよ？参ったな」
そんなことを言われても、勿論俺は動きを止める訳がない。
止められる訳、ねぇだろが。俺だって、だいぶキテるんだからな。
「このまま...続けて大丈夫か？」
「あ...ぁっ....」
「なぁ？」
「んん...」
少し涙を滲ませながら、ロビンは頷いている。
そんなにイイのか...。俺は柄にもなく感動した。
腰の動きを速めた。彼女の声もそれに合わせて漏れ始めた。
「くっ...やべぇ...」
気持ちよすぎる。こんなのアリかよ。
「ゾ...ロ...」
「このまま...イくぞっ...」
「うん...」
ロビンの腰を思い切り抱きしめながら、俺は果てた。二人の呼吸音がタイルの壁に反響する。
「ロビン...お前、ちゃんとイけたか？」
「...ええ」
「俺...最後、全然余裕なかった...ごめん」
「私も、最後は、よく分からなかったわ...良すぎて」
「それと....」
「ん？」
「無理な体勢取らせて...悪かったな」
腕が結構辛いんじゃないか？と言いながら、ロビンの腕を撫でてやる。これくらい大丈夫だと、彼女は言った。
お互いの体から出た色んなものを、シャワーで丁寧に流しながら、俺たちは何度もキスをした。
＊＊＊＊＊＊＊＊
その後ベッドの上で、私たちは再び抱き合った。もう、結構疲れていたから無理かも、と思ったけれど、結局彼の若さに引きずられた。
あなたの手にかかると、いくらでも私の中の熱が呼び戻される。終わろうとしても、また疼いてくる。
忘れられなくなる。
＊＊＊＊＊＊＊＊
「あぁー...ごめんな」
「え？」
「お前の誕生日なのに...俺の方がもらっちまったみてぇで」
「何を？プレゼント、ちゃんともらったわよ」
「いや...俺のやりたいこと、押し付けたんじゃねぇか？」
「ちょっと...私を何だと思ってるのよ？嫌なら最初からしないわよ」
「....おう、そ、そうか...ならいいんだ」
「ぷっ....」
ロビンは思わず噴出した。ゾロが本当に真面目な顔で言ったから、まるで小動物のような眼差しだったから、声に全然凄みがなかったから....。
本当にこの男は。
「今日は本当にありがとう。嬉しかったわ」
「あぁ...喜んでくれて良かった」
また、こんな風に会えると嬉しいんだけど。そう言いたかったが、それは言うべきではないと、ロビンは思った。
彼女はゾロの腕に手を回し、厚い胸に頭をもたれさせた。ゾロもしっかりと抱き返してくれた。
「あ...そう言えばさ...」
「なぁに？」
「ロビン...何歳になったんだ？」
「知らなかったの？」
「知らねぇ..つーか聞いたことねぇし」
「適当でいいわ」
「何だよ、それ？まぁ、俺より２つ３つ、上だろ？」
「それでいいわよ」
「...もっと上？」
「うーん...」
「そんなに変わんねぇと思ってたのにな...」
「....」
「えっ？」
「もう言わない」
「...って、わざと聞こえないように言っただろ！」
「そうよ」
「....まぁ、別に幾つでもいいよ、関係ねぇし」
「そうなの？」
「誰だって、年は取るんだしよ」
結局、何歳であるのかは明確にしないまま、話は終わった。ゾロのことだから、多分真実を知ったとしても、「そうか」と受け入れるに違いない。それでも、できうるなら、このままにしておきたいと思うロビンの女心だった。
「まだ言ってなかったな」
ゾロはロビンの耳元に唇を寄せ、おめでとう、と囁いた。
fin.
2009 2. 5. ロビ誕記念
■ロビンの誕生日ということで、営業ガラミではない、純粋なデートを描いてみました。プレゼントのやり取りより、Ｈシーンが長くてスミマセン。どんどんゾロが普通のエロいお兄さんになってしまってスミマセン。全くサンゾロ関係ないですね、スミマセン....(平謝り)
ゾロラバーな方々、名前を変換してお楽しみ下さいませ（逃...）
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