〜青い薔薇 番外編 7〜
Yours is mine
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
「よく晴れてんな」
サンジはベランダへ出て空を見上げた。こんな日に家に燻っていたら勿体ない...そんな気持ちのよい朝だった。
薄暗い寝室にも少し光を入れれば、寝腐れ野郎も目を覚ますだろう。そう思いながら、たった今抜け出してきたばかりのベッドに目をやる。
大の字になり、実に気持ち良さそうに眠っている男。短い緑の髪が芝生のようだ。その頭へそっと手を伸ばし、ゆっくりと撫でてみた。
「ゾーロ.....」
ずっとこのまま眺めていても飽きないだろうけれど、そうそうサンジも暇ではない。何かと忙しい現代人の一人である。でも、もう少しだけこの静かでまったり平和な時間を楽しみたかった。ゾロの頬を突いてみたが、目は閉じたままだ。
「俺がお前の寝顔見るの、何回目だろうな」
数えた事はないけれど。
「お前は俺の寝顔って、見た事あんのかな」
ゾロが仕事の関係で早起きした時くらいか。数回程度はあっただろう。
「こんなに見続けられるって事は.....やっぱり俺の方が惚れてんのかなぁ」
自覚はしていたが、改めてそう感じる。
カーテンを少し開いた。
その惚れた相手は、目の前で無防備な身体を晒している。寝返りを打ち、光が顔に当たると一瞬眉間に皺を寄せ、顔を背ける。
お、は、よ、う....一文字ずつ指でゾロの頬に書いてみた。ゾロの手がそれを払いのけようとする。でも当たらないよう、サンジはその手をうまく避けながら、ささやかな悪戯を続けた。
お、き、ろ....と書いて起きるものなら苦労はないが、ゾロの鬱陶しそうに歪む顔が面白くて、何度も同じ事をした。そして、ゾロの口元を見ていると無性にキスがしたくなってきた。
「でも、目ぇ覚ますだろうな...」
起きろ、とか言いながら、今すぐ起きてしまったら面白くない。サンジはもう少しゾロには寝ていてもらう方を選択した。唇には指先で軽く触れるだけにして、その手は厚く盛り上がった胸に移動した。
出会った頃に比べれば、ゾロは少し身体が細くなったのではないか。それでもこの状態を維持しているなんて大したものだ。そう思いながら、サンジの手は腹にまで下りてきた。ここを見れば、いかに鍛え抜かれているかがよく分かる。そしてサンジの視線がさらに下へ。
「おっ？」
持ち主は寝ていても、ソコは別駆動。単なる生理現象か、あるいは楽しい夢でも見ているのか。
「これは...」
普通はそのままにしておいてやるものだろう。
「まさか...溜まってるって事は...」
昨晩の二人での行為を思い出しながら、それはないなと一応否定する。
「ゾーロ...」
多分聞こえないだろうと思われる程の小声で囁きながら、サンジはゾロの耳元に近付いた。寝返りを打ってこちらを向いたゾロの唇が、サンジの唇に重なった。
ただ、軽く触れただけだった。それが偶然であってもサンジの小さな欲望を刺激した。
薄く開かれたゾロの唇。サンジの舌が入り込む。ゾロの唇の間や、歯列をなぞる。勿論の事ゾロの反応はない。
もう一度ゾロの下半身に視線を戻した。さきほどと同じく、その中心部が起き上がり布を押し上げているのが分かる。サンジが手を載せると、その大きさや硬さが伝わってきて、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「俺....何考えてんだろ....」
少し布の上から触れただけで、感触や温度や匂いまでが鮮明に蘇ってくる。
「今度こそ目ぇ覚ますかな」
ゾロのボトムのボタンを緩め、下着の中へ手を入れた。サンジの体温が少し上がってきている。
普通にヤルより興奮する....。息を荒げながら手を動かし始めた。
「んん？」
さすがにゾロも....目覚めるかと思ったが、少し顔の向きを変えただけだった。サンジは、気にせずに手を動かし続けた。何回か動かすと、ソコはキュッと硬さを増して、サンジもしっかりそれを手に感じた。
「ゾロ....」
サンジの身体の芯が熱くなってくるのが分かる。他人の世話をしている場合ではない。でも、触れずにはいられないのだ。
夢の中で、ゾロは独りでの行為の真っ最中だった。何度もサンジと抱き合った後で、いつもは気持ちよく寝てしまうのに、なぜか目が冴えてしまっていた。あと1回、と誘おうと思ったら、サンジはもう疲れ果てて眠っていた。
『何で眠くならねぇんだ？』
そう思いつつ、ゾロは自身を左手で慰めている。自分で触っても大して気持ちよくならない。いや、気持ちいいのだろうけれど、それを上回る感覚を知ってしまったので、そう思うだけなのだが。
ところが、なぜか自分の手ではないような、快感がせりあがってきた。
「ん？ゾロ....」
サンジがゾロの表情の変化に気付く。
無防備さに、艶かしさが加わった。寝ていても、気持ちよくなるのだろうか？いや、寝ているからこそ快感が増すのか？
少しずらしただけの下着を、膝まで下ろした。ゾロの先端から透明の液が滲んでいるのが分かった。
「もう、無理....」
これ以上我慢はできない。
気が付くと、サンジは口いっぱいにゾロを感じていた。何度も何度も舌で撫で上げ、唇で扱き、強弱を付けて吸い上げた。顎が疲れてくるのも全く気にならなかった。
「んぁ......ぁ....」
ゾロがゆっくりと覚醒した。と同時にサンジは、生温かい体液が口内を迸るのを感じた。口を離し、全てを飲みこんだ。少し眩しそうに、ゾロが瞬きをする。
「やっとお目覚めか」
「.....」
「朝一から、元気なヤツだな」
「........うぉっ....」
ゾロは、やっと現状に気が付いたようだった。
「てめっ....何しや...」
質問などしなくても、一体何をされたのかは一目瞭然。ゾロはその台詞を途中まで言って引っ込めた。
「.....勝手に人のモンで遊ぶな」
「遊んで欲しそうにしてたから、さ」
「っ.........そうなのか？」
「それにさ、お前のモンは俺の....だろ？」
どこのガキ大将の台詞だ？ゾロは呟きながら、頭をボリボリと掻いた。
「........」
ゾロの無言の熱視線攻撃。サンジは一瞬だけ目を合わせて言う。
「何、見てんだよ....」
「いいのか？」
「.....」
「お前もソコ、辛いんじゃねぇの？」
「...まぁな」
「じゃ、ヤレ」
？？何だって？
サンジはゾロの言った意味がよく分からなかった。ゾロもそれを感じたのか、仰向けに寝て両手で促す。上に乗っかって来い、という仕草だ。
「ゾロ.....」
「ん？うつ伏せの方がいいか？」
「いや....」
「どうした？」
ゾロからのお誘いは非常に嬉しいんだけど、あっさりと済みそうな気がしない。後でひっくり返されて、第2ラウンドに突入しそうな気配がぷんぷんする。
これから起きて色々用事もあると言うのに、何もする気が起こらなくなりそうだ。
「あー....ゾロさ、ヤリたい事はヤリてぇんだけど....」
「...時間の事気にしてんのか？」
「時間もそうだし...後がダルイだろうが」
「いいじゃねぇか...休みなんだしゴロゴロしてれば」
「お前と一緒にすんな！俺は色々忙しいんだよ」
「...じゃ、お前が寝転んどけ」
「えっ？」
「ほら、足開け」
「なっ....」
ゾロが両手をサンジの膝の裏に添え、左右に広げさせた。少し萎えかけたサンジの中心に、ゾロの頭が近付く。
「これなら時間かからねぇ....速攻イカせてやる」
「んっ....」
ゾロの口内に誘われ、熱い舌で触れられた。半勃ちから一気に硬く大きくなっていった。奥までしっかりと咥えられ、先端に喉の動きを感じて思わずサンジは声を漏らした。
「あっ...すげぇ....」
また巧くなりやがって....と嬉しい反面複雑な思いが頭をかすめた。
「ああっ....んんっ....んっ....」
快感が強すぎて、身体がついていけてなかった。
「ゾ....ロっ....もうちょっ....ゆっ.....く、り....」
「速攻っつったろ。さっさとイケ」
「んあっっ...」
サンジの手がゾロの髪を鷲づかむ。背中から迫り来る感覚に、唇を噛み締めて耐えた。
「はぁ....」
ゾロが口を離した。息継ぎを数回すると、再び眼前にいきり立つサンジに近付く。
「ん....ゾ、ロ....はや...くっ.....」
どこからそんな声が出るんだ？と思うくらいの、か細い息の混じった声に、ゾロは体中の血が逆流するような気がした。サンジを咥えようと、舌を這わせた途端。
「はぁっ....ぅ....」
ゾロが口の中に入れようとしたその時、サンジのペニスがぷるんと震え、白濁の液を散らした。ゾロの口の周りにも飛び散り、顎から雫が垂れている。
「うっ...ゴメンっ......」
「.....こんな事してタダで済むと思うなよ」
「だから謝ってんだろ......？」
サンジの目の前には、少々危ない光を目に宿したゾロ。口の端で一瞬笑うと、淡々とした声で話し出す。
「まだだったよな？」
「....な、何が？」
「目覚めのご挨拶だ」
「わっ....待てっ....」
何も拭きとってもいないゾロの顔が接近してきた。途端、今出した自分自身の匂いが鼻をつく。サンジは顔を避ける間もなく、ゾロの濃厚なキスを受け止めた。ぐりぐりと押し付けながら、口の周囲にその体液を塗りつけてくる。
「く...苦しいよ...ゾロ」
「口、開けろ...」
観念してサンジは口を開けた。ゾロの舌が入ってきた。口の中にも広がる苦味にサンジは涙が出そうになってきた。それなのに、ゾロの舌が口内を舐め回す感触に、だんだんと身体がじんわりと反応してくるのが分かった。
抵抗が無くなったサンジに、ゾロは気が済んだのか口を離した。そして、サンジの顔のあちこちに残ったべたつきを、自分の舌で丁寧に舐め取っていく。
「てめっ....何だよ....こんな事するんなら....」
「ん？嫌だったか？」
「嫌.....じゃねぇけど」
「けど？」
「回りくどい事すんな」
「したいようにヤッただけだ」
また、ゾロがサンジに近付く。息がサンジの唇にかかる。サンジは思わず唇を薄く開く。
「まだ、足りねぇんだな？」
「なっ....それはおめぇだろっ」
「これはどーゆーことだ？」
ゾロがガシッと掴んだサンジのモノが、再び硬くなっている。サンジは思わず変な声を上げてしまった。
「さっき出したまんまだから...綺麗にしねぇとな」
サンジが放出してゾロの顔に付けてしまった残りが、サンジの腹やら太腿に零れていた。それを端から順にゾロが舐めていく。
「いっ....いいよゾロ....自分で拭くから...つーかシャワーの方が早ぇよ」
「出されたモノは、残さねぇのが俺の主義だ」
早くさっぱりしたいとは思うものの、抗えない心地よさ。ゾロの舌のぬめりとざらつきが、新たな快感を生み出して、サンジの身体を支配する。
「ゾロ....そこは汚れてねぇだろ....」
サンジの弱い部分もついでに舐めていくので、なかなか終わらない。そして綺麗になった時には、サンジの息は上がり、目も虚ろになってきていた。
「終わったぞ」
「.....ん」
「風呂、入るか？」
「....ぁ」
「ちっ....」
扇情的なサンジの表情に、思わず舌打ちすると、ゾロはサンジの身体を抱えてベッドを離れた。サンジはゾロの背中しか見る事ができなかったが、足が時々ゾロの下腹部に当たる。見えなくても、その状態はハッキリと分かった。
「ゾロ.....」
「ん？」
「すげぇ....当たってる」
「おめぇのも、俺の腹にさっきから...」
ゾロが歩く度、サンジの身体が微妙に揺れて、下半身がゾロの腹で擦れている。バスルームのドアを開けながら、ゾロが言い放つ。
「さっさと洗って、こっちも済ませるぞ」
......やっぱりそうなるのか。こんな事なら、さっきゾロが「ヤレ」と言ってきた時にヤッとけば良かったか？サンジは少しだけ後悔した。
その後ゾロの主導で事が進み、バスタブの中で一戦交えた。サンジが殆ど自力で動かないで済むよう、ゾロの膝に乗せられた状態だった。逆にゾロはかなり腰を酷使したようだった。
二人で出した体液に、湯がわずかに濁っている。
「あー...もう俺マジ、何もする気しねぇ」
「いいだろ、休みなんだからよ」
「メシも作る気しねぇ」
「俺が作る」
「.....いや、やっぱり俺が作る」
それだけは、させられない。
メニューも決まっているし、材料も揃えてある。
少し前倒しではあるけれど、今夜はゾロのために特別メニューを考えている。それくらいしか、できないけれど。
サンジはまだ少しぼおっとする頭で考えながら、背後のゾロに言った。
「腰、大丈夫か？」
「あぁ、お前とは鍛え方が違うからな」
そう言いながら、ゾロは両腕を身体に回してくる。サンジがゾロの方へ顔を向けてみると、すぐにゾロの顔が接近してきた。
「今夜は...」
それだけ言った後は、ゾロの唇で塞がれてしまった。そして数秒後。
「お前の好きなモン、いっぱい作ってやるからな」
「おう」
おいおい、何でか分かってんのか？理由も訊かずに返事をされて、サンジは拍子抜けしてしまった。
昨年のあの日が、ついこの間の事のように思える。サンジがゾロの誕生日を知ったのは、その前日だった。驚き、苛立ち、そして何よりもその事実を、ゾロ本人以外から聞いた事が悔しかった。
今思えば、何をあんなに苛立っていたのだろう？と思うけれど。
「お前は全然変わらねぇな」
「ん？何だよ急に」
「ずっとこのままでいろよな」
「....何の話かよく分かんねぇけど」
「いいんだよ、分かんなくて」
今度はサンジから、キスをした。
「サンジ....もう出ようぜ」
「本当だ....身体がふやけそうだ」
「腹も減ったし」
「はいはい、大急ぎでスペシャルブランチ、用意してやるよ」
「何でスペシャルなんだ？」
「....バーカ。スペシャルな日だからに決まってんだろ」
「何の日だ？」
「バカには教えねぇ」
「んだと？さっきから....」
質問してくる割には、それほど深く追及もしてこない。そのうち、嫌でも気が付くだろう。そして思い出すだろう。サンジはゾロを残し、一足先にバスルームを出た。
今年は、誰よりも早く、俺が祝ってやるよ。
おめでとう、ゾロ。
fin.
2009 11.07 ゾロ誕に向けて
■誕生日とあんまり関係ないお話で....スイマセン。文字通りベタベタな二人です(笑)！
12/7迄、DLFです。
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