堕ちゆくままに
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
眠い.......。
さっきから眠くて仕方がない。
卒業証書を受け取るまでは、何とか頑張っていたのだが、席に着いてから、だんだん瞼が重くなってきた。
在校生代表から送辞...知らねぇ顔だな。
卒業生代表から答辞...あんまり喋ったことねぇよな、コイツ。
今日の、晴れの巣立ちの日に、ゾロは睡魔と闘っていた。この後もPTA、地域役員、近隣の学校長...退屈な挨拶が続いた。
学年の教職員の祝辞の後、さっきとは別の卒業生代表の謝辞。いよいよゾロの眠気が強まってきた。
その後、何となく場内がざわざわし始めた。
「高等部代表より、お祝いの言葉」
男女2名の生徒が壇上に現れた。卒業生、在校生席の女子から、やや遠慮がちながらも、黄色い声が上がった。思わず教職員達が苦笑する。
サンジ...？？
ゾロはいっぺんに目が覚めた。サンジと、もう一人の代表の女子が、半分ずつ挨拶文を読み上げた。時々顔を上げる度、歓声が上がる。サンジの隣に立つ女子生徒は、笑いをかみ殺しているように見えた。
挨拶が終わると、校歌斉唱。もうすぐ終わりだ。ゾロは半分目を開けた状態で、口をパクパクさせた。歌詞も殆ど覚えてないので、サビの部分だけ声を出した。
「卒業生退場」
拍手の中、ゆっくりと退場する。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
昨晩、サンジとゾロがメールをやり取りした時、何も今日のことについて、話題が出なかった。サプライズのつもりだったのだろうか。そんなことを、ぼんやりと考えながら校庭に出ると、ゾロは大きく伸びをした。この後開かれる茶話会の会場へ向かう。
「ゾロせんぱーい」
2年生の女子が駆け寄ってきた。
「ボタン下さい」「これ、読んで下さい」「これ、使って下さい」「靴紐、欲しいです！」
口々に言うので、どう返答したものか困ってしまった。ゾロは思わず頭をガシガシと掻いた。
ザッザッ....
靴音が近付いてきた。女子達もそちらに視線を向け、あ、と小さな声を上げた。
「そこの緑の頭！さっさと茶話会会場へ移動しろ！」
聞き覚えのある声に、ゾロも目をやる。
「サンジ...何やってんだよ？」
「おめぇこそ、早く行かねぇと。それにしても、すげぇモテッぷりだな...」
「...」
ゾロはサンジの耳元で、小声で言った。
「サンジの時も、こんなだったのか？一体どうやったんだ？」
「あげるんなら、皆にあげる。あげないんだったら、誰にもあげない。くれるもんは、折角の好意だから有りがたく、もらっとけばいいんだよ」
「そ、そうか...」
ゾロは集まった女子達に、言った。
「あのさ...悪ぃけど、ボタンとか靴紐とかは勘弁してくれるかな？」
それを聞いた女子達は、残念そうな顔をするものの、公平な措置に納得したらしく、手にした手紙やプレゼントを順番に、ゾロに手渡すだけにした。こうして何とか"ボタン争奪戦"は避けられた。
彼女らに見送られて、ゾロは茶話会会場へと向かった。サンジは、にこやかにその様子を見守っている。"それでいい"とでも言いたげな顔で。
ゾロが会場に向かって歩いていると、同じ卒業生の女子が話しかけてきた。
「ゾロ...茶話会の後だと言えないと思うから、今言ってもいいかな？」
「ん？何...？」
「私、卒業したらね、別の高校へ行くの」
彼女は学年トップクラスの成績で、女子剣道部元部長だった。ここの高等部より、かなりハイレベルな難関校に進学することになったらしい。
「その高校もね、剣道強いんだ。だから、また何かの大会で、顔を合わせることがあると思うの。試合で当たることはなくても、ずっとライバルだと思ってるから！」
「そうか。いつも熱心に練習してたのに、勉強の方も相当頑張ってたんだな...。すげぇなお前」
「ゾロも、誰よりも練習してたじゃない。尊敬してたよ、マジで」
「...フツーにやってただけだ...」
「ゾロ、これからも頑張ってね」
「お前もな」
いつも胴着姿の彼女しか見ていなかった。ゾロは、制服姿の彼女を、これほど近くで見たことがなかったのだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
茶話会が終わると、今度は写真撮影大会。次々と希望者が寄ってくる。クラスで、グループで、剣道部メンバーで...。
「主将同士、並んで！」
粋な計らいで、元部長の二人が並ぶことになった。いつもは何も意識しなかった彼女が、さっきの今で、少し違った存在となっていた。
彼女が軽く腕を組んできたので、ゾロはどきりとした。
(俺、何で...)
写真を撮り終えて、彼女はゾロを見て微笑んだ。
「いい記念になったね、ゾロ」
「そうだな」
「眉間に皺を寄せてないゾロの顔、初めて見たよ」
「...？」
「そういう顔も素敵ね」
「なっ....」
「好きだよ...ゾロ」
「え？」
彼女は女子メンバーの中に混じって、また撮影を続けていた。彼女の笑顔が眩しかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「じゃ、解散！みんな暫くお別れだけど、次は入学式で」
「違う学校行く人も、また同窓会で会おうね」
「今日撮った写真は、ネットに上げたらメールで連絡するから」
口々に別れの言葉を告げて、散っていった。
ゾロは誰ともつるまず、門を出た。
(あぁ〜だりぃ...)
少し足早に歩く。今日は予定があった。3年前から計画していたことだった。
一方、午後から部活のあるサンジは、昼食の買出しに出てきた。中等部から出てきた生徒が、少し前を歩いていた。
(あ...このコ、確か卒業生代表で...)
オレンジ色の髪、スタイルが良く、ハッキリとした顔立ちの彼女は、サンジの好みのタイプだった。
(中学ん時に知ってたら...アタックしたのになぁ)
今は、不思議とそこまでの気持ちは湧かなかった。
彼女が携帯を取り出して、電話をかけているようだ。
「もしもし〜？」
やや高めの可愛い声。相手は女友達か。
(男相手なら、もうちょっと色気のある声出すだろ)
「もう家帰ってるの？うん、分かった。今から行くね」
(そっか、卒業パーティでもすんのかな？)
「...大丈夫よ。私、慣れてるから..任せて！」
(何か、しっかりした姉御肌なコだなぁ...)
「じゃ、もう交差点まで出てきてるから、すぐ着くよ。待っててね、ゾロ」
(ゾロ...か)
ゾロ...って、ゾロ？
もう少しでサンジは大声を上げるところだった。しかしただならぬ気配に気付いたのか、すぐ前にいる女子生徒が振り返った。
「あら？サンジ君....じゃなかったサンジ先輩」
彼女もサンジを知っているようだった。
「え？俺のこと知ってるの？」
「そりゃ、有名人だもの。あ、さっきはとっても注目されてましたよ？私の友達、ほとんどファンクラブ入ってるみたいです。私は入ってないけど...うふっ」
「キミみたいな可愛いコが、ファンになってくれたら嬉しいのにな？」
「私、大勢の中の一人っていうの、どうしても駄目なの。思いが一方通行っていうか、独りよがりになっちゃうし。好きな人には、直接一人でぶつかっていきたいの」
「...へぇ〜、意外と情熱的なんだね...」
こんなコがいたんだ...と、サンジは少し感動した。
「あ、サンジ先輩...あの、私『サンジ君』って呼んでいいですか？」
「....そりゃ、別に構わないけど...なんで？」
「友達と話をする時、そう呼んでたら習慣になっちゃって。つい口に出ちゃうんで」
「じゃ、キミの名前も教えてくれる？」
「ナミです。呼び捨ててくれてOKですよ？」
「いや...俺、女の子は、呼び捨てしないんだよ。ナミさんって呼ばせてもらうよ」
♪♪♪♪♪♪♪〜
「あ、ゾロからだ...はい？あ、ごめんごめん。ちょっと立ち話しちゃってて。すぐ行くから！」
「...........」
「じゃ、サンジ君。私、これで」
「...ゾロの家へ行くの？」
「ええ...サンジ君ってゾロと知り合い？」
「あぁ...まぁね。幼馴染だ」
「へぇ。ゾロっていつも一人で行動してるから、友達いないのかと思ってた。彼女もいないし。ま、あんな怖い顔してたら、無理よね〜」
「キミが..ナミさんがゾロの彼女って訳じゃ？」
「違いますよぉ...だいたい、ゾロはタイプじゃありません！どちらかと言えば、サンジ君の方が...じゃ、失礼しまーす」
ナミは、ゾロの家の方へ向かって、駆けていった。
ゾロが家で待っている。"彼女ではない"と言っていたが、女のコ一人で、家に行ったりするものなのだろうか。サンジは何となく気がかりだった。かと言って、確かめに行く訳にもいかない。
(俺って、もしかして嫉妬してんのか....？)
嫉妬というのとは、少し違うかも知れなかった。しかし、何か違和感を感じていることには違いなかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ゾロの部屋では、微かな緊張感が漂っていた。ゾロの眉間に皺が寄っている。何やら落ち着かない様子。それを見てナミが話しかける。
「ねぇ、気が進まないなら止めようか？」
「いや...ヤッテくれ」
「本当に...いいのね？」
「あぁ...もう前から決めていたことだからな」
「分かった。じゃ、いくよ？」
ゾロが目をギュッと瞑る。
バチンッ！と大きな音が耳元で響いた。じんわりとした痛みが徐々に大きくなる。
「はい、OKよ」
「はぁ....」
「ちゃんと、いい場所にデキたわよ」
「サンキュ...」
世話が焼けるわねぇ、とナミはゾロの頭をポンポンと軽く叩いた。まるで子供扱いだ。それに対し、ゾロは少し唇を尖らせた。
「初めてじゃあるまいし...変なヤツ」
「自分で見えてねぇから、不安なんだよ」
「でも、上手くいったから、いいでしょ？」
「何か、今度おごるよ」
「えぇ〜、いいわよ、そんなの」
「お前がタダでやってくれんのか？何か怖ぇな」
「何よそれ？だったら何でも欲しい物、言ってもいいの？」
「それが怖ぇって言ってんだよ...。ナミの欲しいモンって、どういうやつ？俺には全く見当付かねぇけど」
「そうねぇ...素敵な彼氏が欲しいわ。優しくて、私を大事にしてくれそうな」
「それ、物じゃねぇし...。だいたい、そんな都合のイイ男、いるか？」
「結構イイ線の人、いるんだけど。その人、私を見て、ごくフツーに喋ってきたの。同性に対して喋る感じでね。だから、脈ナシかもって思ってるんだけど」
「そんなの、告ってみねぇと分かんねぇだろ」
「じゃ、ゾロ、協力してくれる？」
「そういうの、嫌なんだ。自分で何とかしてくれ」
「ええ〜？私を見捨てる気？」
「とりあえず、告ってからだ。それからまた考えればいいだろ」
「分かったわよ...もう頼まないわ」
「...うまくいくといいな」
「何よ、調子いいんだから」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
2日後。先週の約束通り、ゾロはサンジの家へ泊まりに行くため、リュックに着替えを詰めていた。今回は2泊の予定だ。
サンジの方も、今日は丁度部活もないので、朝から部屋の掃除を、念入りにすることができた。
♪♪♪♪〜♪♪♪♪〜♪♪..
「はい？」
『サンジ...』
「どうした？」
『何か、前と違う道に出てきた』
「え？こんな分かりやすい場所、迷ったのかよ？」
『多分...』
「目の前にある物、言ってみろ」
それから、ああだこうだとゾロから聞きながら、サンジは道を説明した。
「場所は分かったから...そこで待ってろ」
サンジは、すぐに自転車を飛ばした。ゾロの居る場所は分かったが、電話で説明したぐらいでは、理解しそうにないことが、今日初めて分かったのだ。さらに迷う可能性も考え、これが最良と判断したのだった。
ゾロを無事回収し、サンジは自宅へ連れて帰った。
「完全に覚えるまでは、俺が迎えに行くから。しばらくは公園で待ち合わせよう」
「...うん...悪ぃな」
「大事なゾロに何かあったら、大変だからな」
「なっ...」
玄関の扉を後ろ手で閉めると、サンジはゾロをつかまえ、いきなりキスを始めた。1週間ぶりの唇の感触を、自分の唇に焼き付けるかの勢いだ。
唇を離すと、ゾロの目が既に潤みかかっていた。
「またぁ...そうやって俺を誘ってんな...」
「ちげぇよっ....ちょっと油断してただけだ」
「わざと隙だらけになって、絶対誘ってるって」
「おい...サカルな」
ゾロはサンジから身体を離すと、先にサンジの部屋へ向かった。
「じゃ、飲み物持ってくるから...」
「うん、ここで待ってる」
「夕方まで、たっぷり時間あるからな」
「....うん...」
楽しそうな笑顔を見せると、サンジはキッチンへいそいそと歩き、すぐに飲み物を2つ持って戻ってきた。今日はコーヒーではなく、フルーツジュースだった。ついさっき、搾ったばかりだという。
サンジはゾロのすぐ隣にクッションを置き、そこに座るとジュースを飲み始めた。飲みながら、ゾロの横顔をチラチラと見る。ゾロはわざと、それには気付かないフリをしていた。ゾロがグラスを空けるのを見計らって、サンジも残りを飲み干した。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ゾロ...」
サンジはゾロの肩に手を載せると、顔を近づけた。どう見ても明らかに、キスの体勢だ。ゾロはまだ心の準備ができていない。
「待てよ、サンジ」
「何を待つんだよ？」
「俺まだ...そんな気分じゃねぇから...」
「....口説いて欲しいのか？」
「ち、ちげぇよ、そんなんじゃ」
「何か、今日は乙女なんだな？」
「...バカにしてるだろ？」
「してねぇよ...ちょっと可愛いなって」
「やっぱ、バカにしてんじゃねぇか」
「お前が欲しいんだよ、だからこうするんだ！」
「もう...サンジってば強引...んっ」
サンジは一度だけ、ゾロに口付けると、ゾロの耳元で話し始めた。
「まだその気にならねぇか？」
「....」
「ちゃんと、ココから順番に触っていってやるから...」
「う...」
「ゆっくり、優しくするから」
「もう...いいって...」
否が応でもサンジの手の感触を思い出してしまう。つい1週間前の、まだ新しい記憶。身体のあちこちに残された、見えない印。
あっさりとサンジの手に落ちたゾロ。ずっとゾロと、こうすることを、待ちわびていたサンジの気持ちは、留まる所を知らない。ゾロが受け止めてくれなければ、どんな暴走をするか知れたものではない。
さっきより、深く強く口付けられたゾロ。鼻から抜ける、甘い息。
激しいけれど、痛みは決して与えない。あくまでも優しさ溢れる、サンジの行為。それがゾロの気持ちに響く。多少の抵抗も、すぐに意味を無くしてしまう。
「サン..ジ...」
何とか息継ぎができたゾロが、言葉を繋ぐ。
「何だ？」
「俺って....」
「....」
「...いや、何でもねぇよ」
「何だよ、言いかけといて。気持ち悪ぃだろ？」
俺って...『愛されてる？』って訊いてみようなんて、一瞬でも頭をよぎったことが、自分でも驚きだった。そんな甘いことを言う自分が居たなんて。
「ゾロ？」
「...もういいんだ...」
言わなくても、確認しなくても、多分大丈夫。そうゾロは思った。
「ゾロ...」
「何？」
「あっ！おめぇ！」
「？」
「いつの間にっ...」
「....あぁ、これか」
サンジが指差した先。ゾロの左耳のピアスだった。今気付いたのだが、2つだったのが、1つ増えている。
「いつ、開けたんだ？」
「卒業式の後」
「へぇ？自分でやったのか？」
「いや...友達にやってもらった」
「友達？そういうの上手いヤツいるのか？」
「姉貴に教わったんだと」
卒業式の後、と言えば。
ゾロの家に行こうとしていた彼女...ナミのことに思い至った。
「それ、女子？」
「....あぁ...そうだけど」
「彼女、すげぇ可愛いコだな」
「知ってんの？」
「ナミってコで間違いなければな」
「サンジの知り合いだったの？」
「いや...卒業式の日に初めて会って、初めて名前聞いた」
「.....じゃ..あれ、サンジのことだったのかな」
「え？何？」
「気になる人がいるみたいなこと、言ってたからな」
「へぇ、そうなのか？」
「俺がナミに電話した時、立ち話してたって言ってたのも、サンジのことだったんだな」
「あぁ、丁度そんなタイミングだった」
「.....」
「何だ？」
「サンジ...俺のこと疑っただろ」
「何がだよ...」
「ナミが、俺の家に来ることが分かって...」
「バカ、そんなこと思わねぇって」
「それじゃ、まるで気にかけてなかったってこと？」
「いや....それは」
「ちょっとは...その...そういう気持ちってなかったの？」
「ゾロ...何が言いてぇんだ？」
「普通、気にするだろ？女が家に来てたんだぜ？」
「だったら、俺にどうしろってんだよ？」
ついさっきは、自分が愛されてると思っていたのが、急に自信が無くなってきた。その少し力の無い表情を見たサンジは、ゾロの心中を推し量った。
「気にかけてねぇってことじゃなくて、信じてるんだ」
サンジの声は、とても優しかった。
「卒業式の日、ゾロが本当にモテるってことが、改めて分かったよ。そんなお前のところへ、事情は分かんなくても、女子が近付いて行けば、勿論気にはなるさ」
「そう...なのか？」
「でもな...、それについて質問攻めにしたり、確認したりするのって....何だかお前を信じてねぇみたいで。きっとウザイと思うだろうし」
「....サンジ...」
「ゾロは、本日乙女デーなんだな」
またバカにしやがって、と拳骨を振り下ろそうとした刹那、サンジは素早い動きでその手首を捉え、ゾロの身体を引き寄せた。サンジはゾロの耳元で、また話し始める。
「俺達...何か"恋愛してる"って感じだな」
「.......またそんな恥ずかしいコト」
「バーカ。その恥ずかしい色んなコトをクリアしてくのが、面白いんだろ」
「そんなもんか？」
「そんなもんだ」
「ふーん」
「ゾロは今日、また一つ大人になりました」
「またガキ扱いして！」
「してねぇよ...ガキが"あんなコト"しねぇもんな」
少々いやらしさも混じった微笑みを、サンジが見せると、ゾロは耳のあたりが熱くなってくるのを感じた。
「さ、気になることも、ハッキリしたし。これで安心して、俺と愛を語れるな」
「....あぁ、好きなだけ語れよ」
「おぉ！ゾロも吹っ切れたか！男前！」
サンジの腕の中にあるゾロの身体を、改めて抱き締める。ゾロは大人しく、そのままじっとしていた。ゆっくりと、ゾロがサンジの方へ顔を向けた。
「何？キスして欲しいの？」
「バカ、ちげーよ」
「じゃ...俺にキスしたい？」
「....」
「ゾロ...もう、可愛過ぎて、俺...」
サンジがもう堪らないといった表情で、ゾロの顔に手を添え、唇を合わせた。次第に深く濃厚な動きになる。時々唇の合わせ目から、隠微な水音が聞こえる。
「ゾロ...したいよ、俺...」
「...スゲェ直球...」
「早く脱げ...そこに寝て」
サンジは逸る心を、出来うる限り抑えながら言った。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ぁ...んん...やめ...」
「もう、すげぇ熱くなってんぞ、ここなんか...」
「あっ...ちょっ...待って...」
「今更、何言ってんだよ？」
ゾロに覆い被さったサンジが、彼の耳元で話し続けながら、手が全身を動き回り、最後に到達した場所で、執拗な愛撫を繰り返していた。
「ゴメン、ゾロ...俺何かさ、全然余裕無くってさ...」
「俺だって、ねぇよ」
「どっちからヤル？」
「....先にサンジの、してやるよ」
「...じゃ、後で俺もいっぱい、してやるからな」
このまま忙しなく、サンジの愛撫を受け続けていれば、最速で上り詰めてしまうだろう。まずはここで、サンジに落ち着いてもらう方がいい、とゾロは考えた。
それはつまり...、サンジからの行為を、ゆっくりと楽しみたい、ということでもあった。そんな自分の思惑にゾロは改めて気付く。
「ふ..ぁ...」
サンジの身体に張り付きそうになっている、彼自身に、ゾロの手が触れた途端、サンジの口から声が漏れた。ゆっくりと、先端へ向けて手を動かせば、じわじわと溢れる透明の液が、ゾロの手を濡らす。舌先で触れると、ほんのりと塩辛い。
サンジの手が、ゾロの頭に載ってきた。
ゾロの口内へ、それはゆっくりと含まれていった。まだ覚えたばかりのその行為に、決して慣れてしまった訳ではない。まだまだ自信なんてない。
それでも、丁寧に気持ちを込める。
「ぁ..うっ..ゾロ...もう..」
サンジの手の力が急激に強まる。伸ばされていた膝を立てたり、また伸ばしたり。
(サンジ...もっともっと、気持ちよくなって)
一際強く頭を掴まれ、唸り声と共に、絶頂を告げる痙攣を口内に感じた。
サンジの手が、ゾロの頭を撫でている。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「ゾロ..ココ、まだ冷めてねぇ？」
「んっ..ぁ」
少し萎えかけてたかと思いきや、サンジの手が触れた途端、またすぐに熱が舞い戻ってきた。優しく軽く触れながら、イイ場所を探ってくる。
ゾロの表情や、時折漏れる声、鼻から抜ける息。それがサンジの行為に加速を付ける。つい先ほど、ゾロから受けた愛撫は、きっと彼が"こんなふうにして欲しい"という意味なのだと確信した。
「んん...サンジっ...そ..こっ」
「え？ゾロ？...ここがいいの？」
「ふ...んっ...ぁ...」
ただ満遍なく執拗でさえあった、サンジの行為が、徐々に的確な愛撫へと変わっていく。
サンジの頭に手を載せて、ゾロが腰を浮かせ、さらに声を上げた。その姿態と声に、サンジは煽られていった。また新たな欲望が、身体の底から湧き出てくる。
サンジの口の中に広がるゾロの匂い。残さず飲み干し、少し柔かくなりかけたその部分に、キスをした。
荒い息と共に、上下する逞しい胸。思わず惚れ惚れして、その光景を眺めている自分に気付き、サンジは苦笑した。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
その後、サンジは2度目の到達を果たし、ゾロもまた、サンジから新たな快楽を与えられ、そのまま受け入れた。貪りあうと言うより、与え合う...と言う方が近かった。
「...サンジ...」
「ん？」
「疲れた..喉の奥が痛ぇ...」
「食いしばるからだろ。楽にして声出してればいいんだよ」
「...そんな、ずっと声出すのって..」
「まさか、恥ずかしいなんて思ってんの？」
「....フツー..そうだろ？」
「そんなの最初だけだろ。感じ始めたら、頭ん中真っ白になるから、どうでも良くなるさ」
「そう...かな」
「声出した方が楽だし、もっと感じやすくなるし、お互い分かりやすいし」
「うん....」
「まだ俺に遠慮してんの？」
「そんなこと、ないけど」
「俺のこと、信頼してくれてる？」
「...うん」
「じゃ、この次からは、感じたら感じたまま、身体で表現しろ。そしたら俺も、それ以上に気持ちよくなれるよう、色々してやれるから」
「それ以上...って。どんな？」
「お前次第だよ。その時にならねぇと、な」
サンジは腕の中に抱いている、ゾロの髪を撫でた。指の間を掠めていく、柔かい感触。短く切られてはいるが、毛先に触れても痛くない。
触れれば触れるほど、愛おしくて仕方がなかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
二人一緒にキッチンに入ると、その作業の合間を縫っては、サンジの激しいスキンシップが続けられた。そしてゾロも、もうそれが当たり前のように受け入れている。時折、『もう、ウゼェよ』とか言ってみたりするものの、サンジは動じる事はなかった。
ゾロが手が離せない時を狙い、サンジが集中して下半身に触れてくる。ゾロの抗議の声にも耳を貸さず、欲望を引き出すべく、その行為を続ける。そして、がくんと折れそうになる膝や、ぐらつく腰を支えてやりながら、絶頂に導くことをサンジは楽しんだ。
二人で夕食の後片付けをする時も、また同じだった。
「...まだ、飽きねぇの？」
「飽きるわけねぇだろ」
「サンジ、エロ過ぎ」
「二人でヤッテんだから、おめぇもおんなじ」
「俺はそんなにエロくねぇよ」
「男は皆おんなじだって」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
結局二人で風呂にも入った。身体を洗い合い、そこからまた始まった。二人の声や肌の触れ合う音が、浴室内に反響し続けた。
「もう...っ、サンジ...無理だ」
「そんな声出して、そんな目ぇしといて...」
「ぁっ...やっ...」
ゾロがサンジの胸につかまりながら、果てた。頭を胸に付け、なかなか収まらない呼吸を整える。飛散した体液は、サンジの腹にかかり、同時にゾロ自身から伝い落ちてくる。
「もう、これで終わりにしとくよ...風呂では」
「サンジ...俺を殺す気かよ」
「この程度で死ぬヤツなら、とっくに死んでるさ」
「サンジは平気なのかよ...こんなに何度もヤッて...」
「体力的なこと？」
「違う...えっと、平日にさ...」
ゾロも自覚し始めていた。きっとまた、次にサンジに会うまでの間、身体が疼いてくるのだ。
「平気なわけねーだろ。ぐっと耐えてるから、また次に会う時に、燃えるんだよ」
「燃え過ぎ..燃え尽きてんじゃねぇかよ」
「ゾロ、俺はなぁ...これでもかなりセーブしてんだよ。本気出したら、おめぇの身体、壊すかも知れねぇからな」
「嘘だろ...信じたくねぇ」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ベッドに入ると、ゾロはいよいよ眠くなり、サンジの愛撫にも、反応できない程だった。
「ゾロぉ...俺にもシテ欲しかったのに」
「ぐが...」
次々に湧き出る欲望は、若さゆえ。いいや、寝ていても...と、サンジはゾロの身体をまさぐり続けた。背後から手を回す格好で、下腹部に指先を侵入させた。まだ睡眠が浅いのか、触っているその部分が半勃ちになってきた。
「...本当にもう起きねぇのかよ...？」
やや濃厚なキスをしてみた。息が苦しいのか、ゾロは顔をしかめて左右に動かす。
「ゾロ...？」
サンジの手の内で、ゾロ自身が成長し始めた。思わずサンジは、手の動きを速めていく。
「んん...」
ゾロの無防備な甘い声が鼻から抜けてくる。
「ゾロ、俺の手...分かるか？」
「...ぁ...んっ...」
サンジの手が濡れてきた。ゾロは夢うつつの中、感じ始めているらしい。
「このままイカせてやる...」
ゾロの、すっかり成長した分身は、サンジの口内に取り込まれ、熱い愛撫を受けた。何度か続けると、ゾロが覚醒したらしい寝返りを打った。
「え..？何だ...うっ...ぁ...」
ビクンビクンと痙攣させ、静かに呼び出された欲望を吐き出した。ゾロが、今自分の身体に起こっていることを理解した頃には、彼自身も落ち着きを取り戻していた。
「何だったんだ...？」
「...よかったか？ゾロ」
「サンジっ...何かしただろ？俺...」
「何だ、せっかく気持ちいいことしてて、覚えてねぇのか？」
「.......あのさ、まさかとは思うけど...」
「そうだ。お前の思っている通りだ」
「う....そんなのって...」
「気持ちよかったんだから、いいじゃねぇか」
「覚えてるような覚えてねぇような...夢みてぇな...」
「なかなかできねぇ体験だろ？」
「俺は、ちゃんと起きてる時の方がいい」
「じゃ、やり直す？」
「いや...もういいよ...。じゃ、サンジ、寝る前に1回...やっとく？」
「へっ？」
「何で、そんな不思議そうな顔してんだよ。ほら、上向いて楽にしてろよ」
ゾロがサンジの穿いている物を取り去った。
「本当にシテくれるなんてな」
「俺ばっかりだと、不公平だろ？」
「さっき、いくら起こしても駄目だったから、諦めてたんだ」
「...俺がそのまま完全に寝てたら..自分でヤッてた？」
「しねぇよ。まぁでも、もしヤルんなら、お前の手を借りたかもな」
「ん？」
「こうやってお前の手を...こうしてこう。その上から俺の手で固定すれば、一応デキるだろ？」
「...........ド変態」
「おうよ、変態上等だコラ」
「あ〜あ、コレ、もうやめようかな...」
「ゾロ...見て分かんだろ？もう俺ソノ気なってんだぞ！責任取ってくれねぇと困る....」
「はいはい...じゃ始めるぞー」
ちょっとおどけたような、無邪気な笑顔を見せたかと思うと、ゾロはサンジの股間に顔を埋めた。さきほどのその無邪気な顔と、今の行為とのギャップが、サンジの情欲を煽る。
「あぁっ...ゾロ...また巧くなってるっ...」
サンジの身体は全て、知り尽くしてると言わんばかりの、絶妙な舌使い。唇をすぼめて扱き上げられる度、腰が浮き上がる。その動きには無駄がなく、焦れったくなる寸前の、ゆっくりとしたものだった。
サンジの腰の下へ、ゾロの手が差し入れられた。少し持ち上げ気味にされると、その勢いで、腰を突き上げるような動作になってしまう。
ゾロがしっかりと腰を抱えてきた。サンジは深い快感に加え、これ以上ない安心感に包まれる。ゾロの広い肩にサンジの手がかかった。もう、何かに掴まらずには、いれらない。
「う...んっ......ぐ...」
サンジの手の力が強くなり、グッグッ..とゾロの肩に押し付けた。ゾロの口内に放たれた、サンジの熱。ゾロは残さずに、それを喉へと送り込んだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「おはよう...」
耳のすぐ傍から呼びかけられて、ゾロは目覚めた。目一杯寝た気がする。外もかなり明るい。
「ん〜...腹減った...」
「お前はそればっか...」
ひとしきり伸びをすると、ゾロはベッドから下りた。
「ゾロ、シャワー浴びて来い...。あ、俺も一緒に行く」
こうして今日が始まった。今日は丸一日、二人で過ごす。少しの間も無駄にしたくないサンジは、何をするにもゾロの傍を離れなかった。どちらかと言うと、一人でいるのが好きだったゾロも、今ではそれにも慣れ、むしろ心地よく感じていた。
そして、楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。その間も、何度と無く、互いの熱を求め合った。
「もう土曜日も終わるな.....」
「早ぇな...」
「ずっと今日のままだったらいいのに...」
ゾロの身体をまさぐりながら、サンジが言う。彼の手は、目的地へ着く前に、ゾロに捉えられた。
「もう、いいかげんにしろ」
「え〜..もっと触らせろ」
「駄目だって...」
「何で...」
「まだ...無理」
「ちぇぇ...」
サンジの手首を掴むと、ゾロの顔がサンジへ近付いていく。サンジはじっとゾロの顔を見ている。
「目、閉じろよ」
「何？見られてると恥ずかしいのか？」
「別にそうじゃねぇけど...」
「...可愛いな、ゾロは」
サンジがゾロの顔に手を添えると、ゾロが反射的に目を閉じた。サンジはしばらくその顔を眺めて、まずは瞼に口付けた。
どうしてそこなんだ？とでも言いたげに、ゾロの唇が尖った。その可愛らしい仕草に、サンジは思わず笑みを漏らす。
「どこにして欲しいんだ？」
「.........っ」
ゾロが目を開けた。ずっと顔を、見られ続けていたことが分かると、頼りない抗議の意を示した。
「ずっと...見てたんだろ」
「勿論」
「....」
「ちゃんと言えばいいのに」
「サンジ...俺をからかって楽しいかよ」
「からかってなんかねぇよ。ただ、お前が可愛くて仕方ねぇだけ」
ゾロの肩にサンジが大きく腕を回す。
「あんまり焦らすと拗ねるから...ほらよ」
軽くて柔かいキスが、いくつも降ってきた。ゾロの手は、サンジの肩に軽く載せられている。サンジがその手を掴み、自分の首に回させた。
少し躊躇した後、ゾロは両腕ともサンジの首の後ろへと回した。
「ゾロ...ずっと好きだから」
「.....サンジ...俺...」
その先は、サンジの唇で塞がれてしまった。
夜は更けていった。まだ二人にとって、「今日」という日は終わっていない。
「明日は帰ってしまうんだよな...」
サンジはポツリと言う。その横顔は少年というより、まるで少女のようだった。ゾロにしても、帰るのが面倒になってきていたから、別の意味で、帰りたくないと思っていた。
明日が来るのが何だか嫌で、今を惜しむかのように、二人は抱き合った。何度も、何度も互いの熱を貪りあった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
日曜日。帰したくないが、ゾロは帰ってしまう。永遠の別れでもないのに、ゾロが帰った後のことを考えただけで、サンジの胸がキリッとなる。
(俺、マジ惚れしてんだな...)
そんな風に、自分を見ているサンジに気付き、ゾロも見返す。昨晩の顔とは全く違う、憂いに満ちた表情だ。
(そんな顔されたら、帰れねぇよ...)
もう、着替えも済ませ、荷物もまとめたから、いつでも帰れる。でもゾロは、あとほんの少し、その時を延ばすことにした。
サンジの腰へ手を伸ばし、背後から抱き締めるゾロ。そうすればきっと、止まらないことを知っていて、ゾロはサンジの耳から首筋へと、何度もキスをした。
またベッドに舞い戻った二人は、抱き合い、激しく求め合った。もう一体何度目なのか、分からなかった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
予定より大幅に遅れて、ゾロは玄関で靴を履いている。
「春休みは、今よりもっと会えるな」
「どっか..遠出してみねぇか？」
「...いいな、そういうのも」
「やっぱ、外に出ねぇとな...」
「何？」
「密室で二人でいるとさ...」
「ヤルこと一つしかねぇもんな」
「サンジが変態だから」
「てめェなっ...自分だけはフツー、みたいに言うんじゃねぇ」
「俺はサンジに合わせてるだけ」
「調子いいこと言いやがって...」
「だいたいさぁ...サンジは限度ってモンがねぇの？」
「...ねぇよ」
「....俺も」
「バカ」
やっぱ、おめぇも、おんなじだろうが...。そう言いながら、サンジはゾロの頭に、軽く拳骨を当てた。
「次は...」
「終業式の後？」
「多分な」
「いいよ、今決めなくても」
「また、メールする」
「..こっちからもするよ」
そう言いながら、少しずつ二人の顔が近付いていった。
「サンジ」
「ん？」
「俺を引き留めようとしてるだろ」
「してねーよ。おめぇの方こそ、名残惜しいんじゃねぇの？」
「...俺はただ、こうしたいだけ」
サンジの頭に手をかけて引き寄せ、ゾロが唇を寄せる。穏やかで優しいキスだった。
「今日は、遠回りしないで帰れよ」
「...わかってるよ」
「送ってってやろうか？」
「ガキ扱いすんなよ」
「はいはい...」
サンジの手がゾロの頭を優しく撫でた。一瞬口を尖らせたゾロも、その心地よさに表情が和らぐ。
(クソ...帰したくねぇ...)
もう一度、ここでギュッと抱き締めたいのを抑え、サンジは見送り体勢に入った。
「じゃー」
ドアの外へ消えたゾロを、見送らなかった。今日は迷わずに、最短ルートで帰れることを祈るだけだった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
二人で会った日の夜は、電話は勿論メールすら交わさない。でも今日は例外だった。
♪♪...
ゾロからのメールだ。
『明日、学校終わったら、ウチに寄って』
明日？
一体どうしたんだよ。
『わかった』
それだけ短く返した。すると次は電話の着信。すぐにサンジは出た。
「ゾロ？」
『サンジ...』
「さっき、返信したぞ」
『うん...読んだ』
「どうしたんだよ？」
『声、聞きたかったんだ。それだけ...じゃ、おやすみ』
「おいっ...ゾロ！」
『明日...待ってるから』
そんなことを、そんな風に言われたら....。
「今すぐ会いたくなるじゃねぇかよ....」
胸の辺りが、ギュッと掴まれているような、熱いような、切なくて心地よい疼きが生まれる。泣くのを我慢している時のように、喉の奥が痛くなる。
明日会ったら、まず何て言おうか。黙ってまずは抱き締めてやろうか。そんなことを、とりとめもなく考えた。
考えるうちに、会いたい気持ちがどんどん膨らんでいく。
「これじゃ、どっちが会いたがってるんだか...」
思わず口元が緩む。自分が考えていたよりもっと、ゾロは俺に惚れてるらしい...ということに思い至った。
ゾロになら、自分の気持ちを、丸ごとぶつけても大丈夫だ。そうサンジは改めて確信した。
何だか温かい気持ちになってきて、自分は本当に幸せ者だと思った。必ず来る明日を楽しみに待とう。目を閉じて手足を伸ばした。そして、いつの間にかサンジに眠りが訪れた。
fin.
2009.03.XX ゾロ祝卒業
■ただ二人が思いをぶつけ合うだけの、お話になってしまいました...(大汗)。そして祝卒業！ということで、ゾロが3つ目のピアスを。
とにかくバカップルでスミマセン...
Parallel MENU
NOVEL MENU
TOP