溢れるままに
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窓を閉めても聞こえてくる、蝉の鳴き声。ただでさえ暑いのに、さらに不快指数が上昇してくる。
サンジとゾロの二人はただ今夏休みの宿題と格闘中。ここはサンジの家。例によって、家族は仕事でしばらく不在である。
「分かんねぇとこあったら、訊けよ？」
「うん」
「...ねぇのか？」
「うん」
「.....うぉっ？」
見開きページいっぱいの問題を物凄い速さで解いているゾロ。多分....どれも正解のようだ。
「お前....数学得意だったのか？」
「いや....別に」
「別に...って、すげぇあっという間に、そのページ全部解いたじゃねぇか」
「早く書かないと、せっかく頭に浮かんだのが、どっかいっちまうからさ」
「そんなのどこにいくってんだよ」
「3問くらい先まで頭ん中で解いて...追っかけしながら書いてるから」
「.....そんな技があるのか？え？何だってんだよおめぇは！」
「だって、だりぃじゃんか....チマチマ書いてたら」
「悪かったな、俺はチマチマとしか書けねぇよ！それよかお前さ、一体何が得意科目なんだよ？」
「うーん.....別に得意なもんってないなぁ」
「成績がいいのとか、あるだろ？」
「.....特にこれっていうのは、ないってゆーか....」
「ん？」
「....1学期、オール5だった」
「....へっ？」
「......へへ」
得意顔になる訳でもなく、ゾロは何でもないような顔で言ってのけた。
「お前....そんなに勉強できたのか」
「うん...」
「....じゃ、来年から特進クラス？どっか目指してるトコあんの？」
「行きたいトコ、別にないよ」
「一応ウチは超難関じゃないけどさ、それでもそこそこの進学校だぜ？そこまでの成績取ってたら、結構いいトコ狙えるんじゃね？」
「うーん....」
「狙ってなくて、そんなに勉強してたのか？」
「........」
「親に成績上げるって約束させられたとか？」
「そんなんじゃ....」
「誰かと競争してたとか？」
「それも違う」
「じゃ.....」
「............」
ゾロはサンジから視線を外し、窓の方を見た。外は晴れているから、じっと見ていると眩しくて目が痛くなる。
「ゾロ？」
「.....サンジが」
「え？」
「サンジが....『俺はバカは嫌いだから』って」
「え......？」
そんなこと言ったっけな...とサンジは考える。
「...あ、言ったかも」
「なんだよ」
「いや、ちゃんと、覚えてたさ」
「まぁ、別にいいけど」
「.....それが理由？」
「....俺さ、高等部に進級確定してからも勉強してたんだ」
「知ってる」
「春休み中も...予習して」
「エライじゃん」
「それで取れた成績だからさ」
「成果しっかり出たんだからいいじゃねぇか」
「勉強するの、ちょっとサボったら、全然駄目だと思う」
「....何だよ、お前らしくねぇ.....自信持てよ」
「でもなぁ」
「そんなくらいで成績落ちるような脳みそなら、いくら勉強したってオール5は取れねぇって」
「....そう思う？」
「おう」
(ゾロのヤツ、うまいコトはぐらかしやがって)
サンジは話を何とか戻そうと試みた。
「で、何でそんなに良い成績取ったのに、一言も言わなかったんだ？」
「ん？」
びっくりさせようとか、誉められたいとか思わなかったのだろうか。黙々とただ静かに努力してきたゾロに、サンジは意外に思うと同時に、敬意を感じた。
「大変よくできました」
そう言うとサンジはゾロの頭に手を載せた。ゆっくり撫でながら、額同士をくっつけるように近付いてきた。
「俺にも、その頭脳ちょっと分けてくれ」
「こんなんで分けられたら苦労しねぇよ」
サンジはふん、と鼻で笑うと顔を少し斜めにしながらゾロの唇に触れた。
とりあえず、軽く触れてみるだけのつもりだった。
ゾロが舌先を出して、サンジの唇をちょこんと舐めた。
「....おめぇ、どこでそんな可愛いコト覚えた？」
「今....思いついた」
「....後でゆっくり....って思ってたのに」
「じゃ、さっさとその問題集、終わらせようぜ」
「それがなぁ、そう簡単にさっさとはいかねぇんだよ」
サンジは問題集のページをパラパラと捲りながら溜息をついた。でも今日やると決めたところは絶対終わらせたかった。ゾロが目の前に居るから尚更。もし、一人でやっていたら、『明日でもいいか』と放り出していたかも知れない。
いや、本当は今すぐ投げ出して、ゾロを抱き締めたかった。一瞬その衝動に駆られたが、何とか気持ちを押し込めた。
「あとこの残り、気合入れて片付けるから。お前も進められるところ、やっておけ」
「うん」
サンジは一度だけゾロの顔をちらっと見た後は、集中して解答欄を埋めていった。あまり得意でない科目だったが、教科書ともう一つ資料書のページを何度も往復しながら、回答につながる部分を探していく。
ゾロの手前、先輩としてのメンツがある。
静かになった部屋の中。聞こえるのは紙の上を忙しなく走る鉛筆の音。
「....」
「.....ん？ゾロ、もう終わり？」
「うん」
「俺も...あとこのページ半分ほど....」
ゾロは机に散らばっている消しゴムのカスを掃除している。相変わらず綺麗好きだ。サンジはゾロが手持ち無沙汰になっているのだと気付いていたが、声をかけるのを我慢して、最後の一問まで慌てずに書き込んだ。
「あー、やっと終わったぁ....」
サンジは大きく伸びをした。首を左右に動かしたりぐるりと回したり。そしてバタンと仰向けに寝転んだ。
「サンジ....そんな格好してたら襲うぞ」
「やってみろ」
ゾロもサンジのすぐ傍に身を横たえる。予想していたより早くゾロが接近してきたので、サンジは少しドキドキしてきた。
「サンジ、目、閉じて」
「閉じたらお前の顔、見れないじゃねぇかよ」
「....閉じろよ」
大人しく目を閉じて待つようなサンジではなかった。瞬間、ゾロの頭を掴んで引き寄せ、深く口付けた。
「んっ.....」
サンジがそうしてくるのを待っていたかのように、ゾロはされるがままだ。サンジが先に唇を離した。
「久しぶり...だな」
「うん」
「俺が合宿行ってる間...寂しくなかった？」
「こっちだって毎日練習ばっかだったし...」
「やっと終わって戻ってきたら、今度はお前が合宿行っちまうしよ」
「サンジこそ....平気だったのか？」
「そりゃぁ、ゾロに会えなくて....」
「.......」
「すげぇ寂しかった」
また、唇が重なる。
今度は、少し軽めに。
「何だよ...俺だけ？こんな思いしてんの」
「.......」
「ゾロも同じ気持ちだと思ってたのにな」
少し意地悪そうな顔で、サンジはゾロをちらりと見る。ゾロはサンジの髪の間に指を通しながら、耳元に唇を寄せた。
「俺も....」
「俺も、何だ？」
「おんなじ...」
「ちゃんと言ってくれよ.....俺にだけ言わせやがって」
サンジの手がゾロの背中をゆっくりと撫でる。ただそれだけで、ゾロの吐息がサンジの耳にかかる。
「どうする？」
「ん....」
「ここでいい？」
「....背中...痛ぇ」
「ベッド行く？」
「....うん」
サンジに手を取られて起き上がり、ゾロはベッドに腰掛けた。その隣にサンジも座った。
「サンジ」
「ん？」
「今度こそ...目、閉じて」
「....分かった」
サンジが目を閉じると、温かく柔かい感触が唇に触れた。そして背中を支えられながら、押し倒された。
(こんなの、目ぇ開けてたってできるじゃねぇか)
今日が初めてじゃないのに、まだこんなことをするゾロに、サンジは悔しくなるぐらい愛おしさを感じる。ゾロの背中に手を回し、思い切り力を込めた。
ゾロの唇の動きがしだいに激しくなる。少しずつ軽くではあるが、何度も吸い付いてくる。合間に舌先を出して、サンジの薄く開いた唇の隙間を舐めてきた。感覚の敏感な部分をなぞられるだけで、サンジは軽い眩暈を覚える。
「....ゾロ」
「....ん？」
「何か....エロい....エロくなったな」
「俺が？」
「あぁ」
「変わんねぇよ」
「.....今のキスだって目茶苦茶エロかったぞ」
「そうか？へへっ」
ゾロは少し嬉しそうに、少し照れたように、サンジの頬から顎へと唇を何度も付けた。サンジの喉仏が動くのが見て分かった。
ゾロの手がサンジのＴシャツの裾から潜り込む。くすぐったくて、サンジは思わず身を捩った。それには構わず、ゾロの手はサンジの胸を上下左右に撫でていく。時折指先が触れる柔かい突起は、何度か触れるうち硬く尖ってきた。少しだけ捲り上げられたシャツは、首のあたりまでさらにたくし上げられて、露になった胸の上に、ゾロの息がかかる。
ゾロは腕を伸ばすと、サンジの髪に触れた。間に指を通し、毛先へ向けて梳く。唇で胸を順に撫で、硬くなってきている突起を舌先でくるくると弄る。もう一方の腕は、サンジの細身で引き締まった脇腹へと伸ばされている。硬い腹筋を指先で撫で、臍の辺りまでやってきた。
「ゾロ.....」
サンジの手がゾロの髪を撫でた。ぞわぞわと遠いところで快感が生まれ、遠いまま身体を下りてくる。どこでその快感を捕まえ、追いかければいいのか。サンジは焦れったくなり、手に触れているゾロの髪をくしゃくしゃとかき回す。
「サンジ」
「ゾ....ロ.....」
サンジの胸に顔を置いたまま、ゾロは話しかける。その間も、何度も目の前の突起を唇で食み、舌先で小刻みに触れる。
「んぁ....」
「サンジ....こっちも....触っていい？」
「.....いつまで....っ」
(いつまで待たせるんだ、バカ)
サンジがそれ以上言わないのは、承諾と解釈したゾロは、サンジのボトムの前を緩め始めた。内側から押し上げるモノのせいで、布が張り詰めていて、ボタンが外しにくくなっている。
「すげぇ、サンジのが....こんなになってて...」
「説明しなくても分かるよ....うるせーな」
「やっと外れた......これも....一緒に....」
下着も脱がされ、下半身が露になる。
「................」
「......おい、見てねぇで....」
ゾロがサンジ自身に手を載せた。ソコは硬く反り返り、柔かい先端は少し濡れて、透明の雫が腹の上に垂れていた。その柔かい部分に、親指の腹を滑らせた。
「んっあっ....」
手の中で、サンジの脈拍が感じられた。熱が篭ってきていて、さらに硬くなっているようだ。
「サンジ....」
ゆっくり、ゆっくりと。ゾロは手を動かし始めた。サンジの腰が何度も浮いた。時々強く押し上げてくる。鼻から甘い息が漏れてくる。半開きの唇にゾロが自分の唇を重ねた。舌をねっとりと絡ませながら何度も吸い出す。
「んっ......」
「んんっ......」
ゾロの手の中のモノが、さらに硬くそそり立つ。これ以上ないくらいに張り詰めている。先端から滲み出てくる雫を指先で取りながら、さらに扱いていく。
「ぁあっ....ゾ...ロ...」
「何....？」
「んぁ....はぁっ....」
「サンジ....？もうイキそう？」
息が上がってきて、目を閉じたまま、こくっと頷く。ゾロは手の動きを止め、サンジ自身を柔かく握りこんだ。再びサンジの唇に深く口付けた。舌を差し入れるとすぐにサンジの舌が絡んできた。今度はサンジの方から強く吸い付いてくる。そうしながら、ゾロの首の後ろに回ったサンジの手にも力が入ってきた。
サンジがまた腰を突き上げ、動かなくなったゾロの手に、愛撫の再開を要求する。もう、ギリギリのところまで来ているのだろう。
「続き....こっちでシテやる」
身体の向きを変え、ゾロの手が再び動き出した。根元からゆっくりと扱き上げつつ、先端を口に入れた。緩めに吸い上げ、舌で撫で回した。
「ぅあぁっ....あっ....あ....」
ゾロの頭を掴み、ぐしゃぐしゃに髪を弄り、さらに強く腰を浮かせて押し付けてくる。ゾロはサンジのソレから手を離し、深く咥え込む。舌を使って吸い上げながら、喉を動かす。サンジの太腿がびくっと何度か動いた。
「んんっ...はぁ.....っ....も.....ゾ....ロ」
ゾロがサンジの腰をしっかりと抱え込むと、できるだけ深く咥えこみ、吸い上げながら扱いた。サンジは思わずぐぁっ、と唸ると痙攣に合わせゾロの髪をぎゅっと掴んだ。そして同じくその動きに合わせて白濁の体液を、ゾロの口内へ勢いよく放出した。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
荒い息がようやく収まってきたサンジは、ゾロの方を見た。口元は色んなモノで濡れていて目元は熱っぽく、ほのかな色気さえ感じた。
「ゾロ....」
サンジは手招きでゾロを傍へ呼び寄せた。口元を指差しながら少し笑った。
「キレイにしとけよ」
ティッシュペーパーで拭き取ろうとするゾロの手を止め、サンジは代わりに自分の舌で舐め取っていく。
「サンジ.....？」
「ゾロ」
ゾロの身体に両手を回した。ぎゅっと抱き締め、まだ身体に燻る快感の余韻に浸りたかった。サンジはうっとりとした表情で言う。
「ゴメン....俺だけ....。でもあと少しだけ....」
ゾロはサンジの瞼や耳や首筋に、幾つもキスを落とした。収まりかけた熱が、その小さな刺激でまた新しい熱を生み出してくる。
「サンジ....また感じてる」
「....あぁ....お前、また巧くなったな」
「俺は......サンジの感じてる顔....見たいから」
「.....俺にも.......お前の.....見せろよな？」
ふと気付くと、ゾロのシャツの裾をサンジが掴んでいる。
「おめぇさ....何で脱いでねぇの？」
「あ、あぁ....それは....サンジのことで頭がいっぱいだった...から」
「バーカ。早く...全部脱げよ」
ゾロがＴシャツを脱ぎかけると、サンジがゾロのボトムのボタンを外し始めた。ゾロの腹筋の割れた境目に舌を這わせながら、ジッパーを下げ、下着も脱がせようとした。くすぐったくて逃げようとするゾロの身体を、サンジが引きとめ、抱え込んだ。
「じゃぁ次はゾロの番な」
「.....うん」
「シテ欲しいことがあったら、何でも言えよ」
「.....うん」
「あー...何だよコレ....もうベトベト.....それに...すげぇ...」
下着を簡単に下ろせないほど、ゾロ自身が大きく張り詰めていた。ソレから出る先走りのせいで布地が濡れて張り付き、さらに下ろしにくくなっている。ひっかかりを解きながら、ようやく全てを露にした。
サンジの顎に、ゾロ自身の先端が当たる。舌を伸ばしてその柔かい部分に触れた。
「んっ」
「何かすげぇ...エロい」
「んんっ」
サンジの息がかかっただけで、ゾロは腰が引けるような感じがした。
「手でするのは、省略な」
「んあっ....」
サンジの舌が、その柔らかな先端の膨らみに沿って円を描いたり、上下左右に往復したり。その間中ずっとゾロは、下唇を噛みながら息を荒くしていた。我慢しようと思っても、鼻からは甘い声が抜けていき、それが自らの情欲を煽っていく。
「ゾロ.....おめぇは、どっちに転んでもエロ過ぎるっ」
「んん....サンジぃ.....」
もっと、と強請るようにゾロが身体を擦り付けてくる。
(ヤバイよ...ゾロ、おめぇ....ヤバ過ぎる)
いつからこんなエロい身体になっちまったんだ？これって俺のせいなのか？
サンジがゾロの下半身を抱えると、中心で屹立しているモノを、かぷりと咥え込んだ。ゾロが腰をぐっと突き上げ、サンジの方へと押し付けながら、足を絡ませてくる。
「んん...ふぁぁっ.....あっ..あっ.....サン.....ジっ....」
サンジの口の中で、また一回りゾロ自身が大きくなったような気がした。喉につかえそうになるのを懸命に耐えながら、唇で挟みながら扱いた。ゾロの足の曲げ伸ばしが少しずつ激しくなってくる。
「んあっ....サンジ.......」
(ゾロ....感度も....上がった？)
「あぁ.....あぁ....っ...ぁ....んんっ......」
(ちょっと....今なら試していいか？)
サンジは唇から溢れている唾液やその他体液が混ざったモノを指で取り、その指でゾロのさらなる奥に潜む窄まりに触れた。一瞬ゾロの身体がぴくりと動いたが、深まりつつある快感の海に漂っているのか、特に何も言わなかった。
ゆっくりと襞の上を撫でてみる。きゅっと窄まり指先を押しのけるが、それはほんのひと時の事で、すぐに力が抜け指を誘い込むように蠢いた。第一関節までゆっくりと挿入してみた。そして少しだけ曲げてみたり、小さく円を描きながらかき回した。
指を動かしながら、口の動きをしばらく止めてみると、口の中のモノが限界かと思われるくらい、硬く勃ちあがっているのが分かった。イキそうでイケない状態なのか、ゾロは消え入りそうなくらい小さい声を漏らしながら、眉間に皺を寄せている。
(さっきので限界じゃなかったのか？)
そして先端からは、じわじわと塩辛い体液が出てきていた。
指は入れたまま、口の動きを再開すると、またゾロは身体をサンジに押し付けてきた。唇を薄く開いて口呼吸をしながら、快感を追いかけている。不規則に漏れる息や、鼻に抜ける声がだんだんと高くなっていく。
(何か....俺の方がイキそうだぜ)
「ぐっ...はぁぁっ.....ぁっ..あぁっ....」
ゾロの手がサンジの頭をぐしゃっと掴む。熱い粘膜の中にある指はきゅっと締め付けられ、口の中のモノは強く突き上げられた。喉へ向けて吐き出された体液からゾロの匂いを感じた。
サンジはそっと口を離し、口の中に溜まったモノを飲み込んだ。しばらくはゾロの匂いが残る。そんなことさえ、サンジは嬉しかった。指はまだ抜かなかった。
「サン....ジ」
少し掠れたゾロの声。あんなに喘いだのだから無理もない。
(あんな声、ずっと聞かされちゃ、こっちが堪んねぇよ)
「ん？」
「ソコ....」
「え？」
「....ケツん中.....何か...入ってる....」
「うん、指」
「....何で入れてんの？」
「何でって.....気持ちいいかなって思って....ま、今日はお試しだからココまでだけど」
「....お試し？」
「そう。次はもう少しやってみるから」
「....どうすんの？」
「すげぇ気持ちよくなる場所があるからさ....俺も自分のは分かんねぇんだけど....そこを触ってやる」
「....本当に？そんなのあるの？」
「まぁ....次、やってみたら分かるだろ」
「んっ....」
「あ、あぁゴメン。何か、奥に入っちまったみてぇ....痛かったか？」
「......サンジ....もう抜いて.....」
「...本当、ゴメンな....ゾロ？」
そっと指を抜き取りながら見たゾロの表情は、ゾクッとするほど色気があった。痛いかと思っていたが、そうでもないらしい。
「サンジ....」
「...やめろ....そんな顔するな」
「え？」
「....ヤバ過ぎだ」
「そんなに....ヤバい？」
力いっぱい無茶苦茶に抱き締めて、体中キスをして、何度も叫びまくるくらい感じさせたくなる。それでも、全然足りない。
「あんまりヤバイから....この通りだ」
ゾロの手を取り触らせた部分は、完全復活していた。
「何だよ、俺のせいにして....。サンジがエロいだけだろ」
「おめぇに言われたかねぇ」
「絶対サンジの方がエロい....だって」
「だって？何？」
「だって......俺....フツーにサンジの顔見ただけで....」
「..........」
「何か.....ドキドキするしさ.....変な感じになる.....から」
「てめっ.....」
ガバっと覆い被さるように抱きついた。サンジが、ゾロに。
「うぁっ....何っ」
「それがヤバイっつってんだろ！」
「へっ？」
「絶対にっ....その顔、他所でするんじゃねぇぞっ」
「....どんな顔か自分じゃ分かんねぇよ」
「あーもー！とにかくっ！そんな可愛い顔するなっ」
「何で俺が可愛いんだよ？全然っ嬉しくねぇっ」
「いーんだっ....俺がその顔、好きなんだからっっ」
可愛いと言われて。
その顔が好きだと言われて。
そして、それをついうっかり口に出してしまって。
互いに赤くなった顔を見られまいと、きつく抱き合った。
「ゾロ.....相変わらず馬鹿力.....」
「るせーよ.....おとなしく俺に抱かれてろ」
「あァ？またそんなクソ生意気な」
「そんなトコが好きなくせに」
あ、出やがった....。超俺様上から目線.....でも。
「ちょっと照れながら言うところが....可愛いな、ゾロ」
「照れてなんか....」
「ゾロのヤバイエロ顔も、可愛いトコも、クソ生意気なトコも....」
「......」
「みんな好きだ」
「......言うなよ」
「ん？」
「俺より.....先に」
負けず嫌いなゾロ。
「じゃ、今の無し。聞かなかったことにしろ」
「聞いたからもう遅いよ」
「....ゾロからも言ってくれよ？」
「ヤダ」
「また可愛いコト言って.....でももうその手には乗らねぇぞ？」
「ふん」
後は意地を張るだけだから、このへんにしておいてやろう。
サンジはゾロの頭をぽんぽんと撫で、頬にキスをした。こんな風に子ども扱いすると、またきっと怒るだろうけれど。
その手にゾロの手が重なった。そして抗議の言葉ではなく.....
「こっちにもして」
ゾロが真っ直ぐに顔を向けてきて唇を差し出してくる。
その顔に、仕草に、サンジが勝てるはずも無かった。
その望み通り、サンジはゆっくりと唇を近づけた。触れ合う直前、ゾロの唇が動く。
「好きだ、サンジ」
「.....っ」
何度も聞いた言葉なのに、胸がいっぱいになるのは何故だろう？
顔がくしゃくしゃになりそうで、悔しいから。
サンジは重ねた唇をしばらく離さなかった。
ゾロも離れようとはしなかった。
窓の外の蝉の声は、いつの間にか違う種類のものに変わっていた。また、明日も暑くなりそうだ。
fin.
2009.09.03 短い夏を思い起こしながら
■今回こそ、最後まで(！)と意気込んでたのですが、何か中途半端になってしまいました。まだまだガキンチョな二人ですが意外と素直に気持ちを伝え合ってます。
後はサンジ君がゾロの素質を引き出してくれればと願うばかり。
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