〜学園シリーズ　完結編〜

花、におい立つ。


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***





「またな」
「うん」
「明日は大丈夫か？」
「え？」
「身体....キツかったら1回休み入れる？」
「......そんなのいらねぇよ」
「お？すげぇ自信」
「サンジこそ、キツいんなら休む？」
「いいや、俺も大丈夫」

まだ試験本番まで少し日がある。毎日会っていては、試験の出来に響くのではというのは全く余計な心配だった。


＊＊＊＊＊＊


学年末試験前日。二人は昼食を一緒に摂っただけで、明日に備え、早めに切り上げて解散した。

試験は3日間。次会えるのは3日後。それが随分先の事のように感じられる。やはり毎日会ったのは、良くなかったのだろうか。ゾロはサンジから"緊急以外は連絡するな"と言われていたが、あまり守る気は無かった。

サンジにメールを送ってみた。返事は期待していなかったが、しばらく待ってみた。

♪♪...

数分後に返事が来た。

『お前も無茶言うよな』

あぁ、やっぱり駄目か、とゾロは思った。しかしよく見てみると、まだ続きがありそうだ。改行されていて画面上は見えなかっただけだった。行を送っていくと、文字が現れた。

『じゃ、7時に』





翌朝7時。ゾロの家にサンジはやって来た。すぐに部屋に通された。仕方なく来てやったんだという顔で、わざとらしく大きく欠伸をする。ゾロは先手を打ってサンジの文句を封じる作戦に出る。

「朝っぱらから呼びつけるお前もお前だけど」
「サンジ、来てくれてありがとう」
「......言いなりになってる俺も俺だ......」

へっ、バカバカしくてやってられっか....とサンジは毒づきながら、腕を広げてきたゾロの胸の中に収まった。収まってしまうのは、やっぱり癪に障るのだが、ゾロの厚い胸を心地よく思ってしまう自分も、大概終わってるなぁとサンジは思うのだった。

朝だろうが試験前だろうが容赦無く、早速ゾロは仕掛けてきた。いつもの濃厚なキスはミントの味がした。まるで違う相手としているようで、サンジは妙にドキドキしてしまう。

「サンジ....脱いで」
「イキナリかよ」
「下だけでいいからさ」
「.....俺が女だったら張り倒すとこだ」
「俺は別に気にしないけど？」
「お前に一生彼女はできねぇよ」
「いらない....サンジだけでいい」
「.....バカかてめェ....」

気が付くとサンジのベルトは緩められていて、前ボタンも外されているところだった。サンジは自分でするからと手で制した。ベッドに腰を下ろし、ズボンを脱いだところで、ゾロが膝をつきサンジの下腹部に顔を近づけた。

「サンジ、それ脱がないの？俺が脱がそうか？」
「何、そんな近くでジロジロ見てんだよ」
「時間、ないんだから....すぐしたい」
「おっ.....おめぇなっ....今脱ぐからもうちょっと離れろ」

少し離れたが、変わらずゾロはじっとサンジを見ている。見られていると、変に意識してしまう。

「やっぱり....おめぇが脱がせろ」
「うん」

ゾロがサンジの下着を脱がせると同時に、露になったモノを口に含んだ。手で触れたり、舐めたりも一切無く。

「んっ.......」

ベッドに両手をつき、身体を仰け反らせながら、サンジは倒れないように耐えた。ゾロは加減もせず深くサンジを呑み込み唇で食み扱きながら、長いストロークで往復させる。

「くっ.....おいっ.....ちょっ.....待て」

いくら時間が無いとは言え、一気にヤラれるのは味気無さ過ぎる。

「ゾ...ロっ.....やめ.....」

どこか痛かったのかと、ゾロは行為を中断した。

「サンジ.....？」
「.....俺はいい。お前の、シテやろうか？」
「何で？サンジ.....あんまり良くなかった？」
「ただイカされるのは.....。感じる暇も無ぇ」
「じゃ、ゆっくりやるから....最後まで感じて欲しい」
「時間無くなるぞ？」
「いいよ...サンジが気持ちよくなる方が嬉しい」
「一緒に気持ちよくならなきゃ意味無ぇだろ？」

ゾロにもベッドに座るよう手で示し、サンジはゾロのズボンを脱がせにかかった。前がきつくてジッパーが下ろしにくくなっている。

「一緒だったら、時間充分あるぞ？」
「.....うん」
「さっさと脱げ」

下着も脱いだゾロの下半身に顔を向け、サンジはゾロの顔の上に跨った。すぐにゾロのペニスを口に入れた。口の中でさらにソレは膨張し、先端から体液を滲ませた。

「どっちが先でもいいから.....気持ちよくなれればそれでいい」

計算もなく、ただ目の前に存在するモノを咥えた。互いにタイミングを計る事もなく夢中で吸い上げ、舐め、扱き上げる。

「あっ......サンジっ」
「くぁっ.....」

ゾロはもう限界が近くて、目の前がチカチカしながら何とかサンジを口から離さないでいた。口を動かす度、ソレはビクビクと脈打ち、今にも弾けそうだ。

「サンジ....俺もう.....」
「あっ...んぁ.....俺も.....」

もう駄目だ、と思った瞬間、お互いに気力を振り絞り、口の中のモノを深く呑み込み数回吸い上げた。

「......ぁっ......」
「ぐぁっ.......」

ほんの数秒間、息を詰める音だけが聞こえる。

ごくんと飲み下した後、ぐったりと力を抜いた状態の二人。時計を見ると7時45分を少し過ぎていた。

「そろそろ....学校行く用意しねぇと」
「うん......」

イった直後で頭がぼおっとする。二人はそれぞれ手早く下着を着け、身支度を整えた。



カバンを肩にかけ、二人で家を出る。

「何か変だな....」

一緒に登校なんて、勿論初めてだ。

「兄弟がいたら、こんな感じなのかな」

呑気な事を言いいながら歩いていると、女子生徒が近付いてきた。

「あら、ゾロ」
「おぅ」
「....サンジ君、おはようございます」
「おはよう....ナミさん」

挨拶だけ済ませると、ナミは他の女子生徒と一緒に歩いて行った。気が付けば、周りは同じ学校の生徒が何人も歩いている。

(まさかついさっきまで、俺達があんな事してたなんて....思わねぇよな.....しかも試験初日で)

誰にもバレている筈も無いのに、サンジは何だか落ち着かなくなってきた。顔に出てないか？とか要らない心配までする始末。

そして学校に近付くにつれ、二人が揃って歩いているのを珍しい物でも見るような視線を向ける生徒が増えてきた。殆どが1年の女子だった。

「おいゾロ....何だよ、俺達何で見られてんだ？」
「サンジ、1年の間で有名だから....それに俺が誰かと歩いてるのが珍しいんじゃね？」
「原因はお前か」
「あーあ、何か嫌な予感する。紹介しろとか、何か渡してくれとか....頼まれそうだ」
「あぁ、それは有りうるな....俺はモテるから」
「もし、そう言うのが来ても、全部断わるからな」
「そんな可哀相な事するんじゃねぇよ！もうちょっとやり方ってもんがあんだろ？」
「何、じゃサンジはそのコ達全員引き受けるつもり？」
「話くらい、してやるさ....ま、それ以上は無ぇけど」
「変に期待させねぇ方がいいんじゃねぇの」
「何、嫉妬か？」
「.......そんなんじゃねぇ」

今、この時期にそんな事になったら。ゾロは何だか憂鬱になった。と言うより面倒臭い。来週はサンジの誕生日だ。サンジのファンならば、知っていて当然。プレゼントを渡したいから場を取り持ってくれなどと頼まれたら、いよいよ面倒だ。

(そうだ、誕生日プレゼント....まだ考えてなかった)

ゾロの眉間に皺が入った。昨年は仕方無かったとしても、今年は時間もあるので、ゆっくり考えて用意したい。

「ゾロ、そんな難しい顔すんなって」
「.....とにかく、俺は面倒は嫌だから」

サンジへのプレゼントを何にするか、決まるまでは落ち着かない。とりあえず色々候補を考えて、試験が終わったらすぐに買いに行こう、とゾロは思った。





試験3日目、最終日。一日おいて今朝も、サンジはゾロから"呼び出し"を食らった。そんな身勝手な要求など一蹴する事もできたし、そうしたからと言って、ゾロとの関係が悪くなるなんて事は無い。でも、サンジはゾロのそういったストレートな感情表現に弱かった。無条件に受け入れたくなってしまうのだった。

ゾロの部屋のベッドに直行して、手早くベルトを緩めると、ゾロはサンジのシャツを捲り上げた。ボタンはかけたままで、首の辺りまで。

「ゾロっ....皺になるから....」

そんなサンジの言葉などお構いなしに、ゾロはサンジの胸に舌を這わせている。何の前置きも無く、イキナリな行為なのに、サンジの身体は敏感に反応する。

「んっ....ゾロ....」
「サンジ....脱がすぞ」

ゾロの手がサンジの下半身にかかる。サンジのズボンを脱がしながら、自分の着ている物も脱ぐ。一気に下着まで取り、互いの熱がぶつかり合った。

「な、サンジ......今日、試験終わったら.....」

そう言いつつ、ゾロは下半身を摺り寄せてくる。それだけでも気持ちよくて、互いの出した体液でぬるぬるしてくるのが分かった。

「何だ...随分積極的なんだな....」
「俺、ヤバイかも.....サンジの事、好き過ぎて」
「.....そんな事、言う方がよっぽどヤバイって」

今日の試験が終わったら、ヤラせて欲しいってか。本当にストレートなヤツだ。サンジはゾロの余裕の無さそうな顔を見て、愛おしくて堪らなくなった。

「じゃ、気持ちよくして....その後キレイにするから...反対向け」
「うん、今日は俺が上になる」
「ちゃんとヤレよ？」

上になれば主導が取れる....筈だった。途中からは、ゾロは膝に力が入らず、サンジの上に被さったまま危うくイキそうになった。

「ゾロ.....」

後方からはサンジの掠れた声が聞こえる。ゾロの眼前には、先走りをたらりと流すサンジの分身が、限界ギリギリの状態で屹立していた。ゾロはソレを再び口に含み、深く咥え、唇を窄めて扱き始めた。

そしてゾロも同じくサンジの口での愛撫を受けた。すぐに先ほどの快感が舞い戻ってきて、そのまま一気に上り詰めた。と、同時に口の中にサンジの匂いが広がった。

何度繰り返そうと、同じように身体を貫くこの感覚。その後にやってくる、温かい感情。口の中のモノを飲み干すと、ぼんやりしたこの状態から現実へと引き戻される。

「サンジ、このまま2回目ヤリてぇ」
「バカ、時間ねぇだろがっ....」

さっさと服着て....とサンジはゾロから離れた。本当はサンジも、もうしばらくゾロと抱き合っていたかった。でもそれは、今日の午後までお預けだ。

「ぼーっとしてねぇで、ちゃんと最後まで試験受けろよ」
「分かってるよ」
「終わったら....な」
「うん」





試験も無事に終了し、ゾロはサンジの家へ遊びに行った。勿論部屋に篭りっきりで、存分に思いをぶつけ合った。サンジはゾロが求めるまま、受け止め、自分もまたゾロを堪能した。

「サンジ....あのな」
「ん？」

まだ少し掠れた声で、話し始めた。

「何がいい？来週.....俺が考えるより、欲しいモン言って」
「.....もしかして、俺の誕生日の話？」
「うん」
「.....特に無いから....要らねぇ」
「でも.....」
「じゃ、その日は俺の言う事、何でも聞くっていうのは？」
「.......何でも、って？」
「それはその時のお楽しみだ」
「.....うん、分かった」
「おっし、決まりな」

何も要らないと言うのは本当だった。何かして欲しい事も特には思いつかない。

自分の事を思いながら何がいいか考え、買いに出掛けてくれるのは勿論嬉しい。でも、そんな時間さえも一緒に居るために使える方が、本当は嬉しいのだ。

だから、傍に居ろ。

「ん?サンジ.....何か言った？」
「い、いや何も....。あ、やっぱり言ったかな」
「どっちだよ」
「言ったけど....心の中で...」
「声は聞こえてなかったけど....でも何か聞こえた」
「すげぇなお前....」

サンジはゾロの頭を撫でながら、幾つもキスをした。何か言いかけたサンジの言葉を、ゾロが遮った。

「俺の.....」
「俺、ずっとサンジの傍に居たい」
「ゾロ...？」
「ずっと....居るからな」
「あぁ」
「......」
「....ずっと、な」

俺の、傍に。





何も言わなくても、俺の一番欲しい物、お前は分かっている。

有り難く貰っとくよ。







そして、サンジの誕生日当日。

「それでサンジ、今日は俺、何したらいい？」

何でも言ってくれ！とヤル気満々なゾロ。勘がいいのか実は物凄く鈍いのか。

「何にもしなくていい」
「へ？何で？」
「先週言っただろ」
「......？」
「俺の心の声、聞いたんだろ？」
「......」
「違うのか？」
「...ゴメン、あれ、気のせいだったみたい」
「......ゾロ....」


俺の感動を返せ、バカ。




ゾロ、やっぱりお前と居ると面白ぇ。
だから、ずっと、ずっと一緒に居ろ。





fin.



■やっと恋人らしくなってきた二人ですが、一応今回で高校生編は終わりです。と言いつつ単発なエピソードが浮かんだら書くかも知れませんが(笑)。
これまで若い二人を応援して下さった方々、ありがとうございました。







Parallel MENU

NOVEL MENU


TOP