〜小悪魔の館〜
オレンジの風に吹かれて
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
新しい朝。サンジは誰よりも早くから働いている。手の傷はすっかり良くなっている。でもそれはサンジの勝手な基準で、触るとまだ少し痛かった。でも何だか大袈裟に見える気がして、絆創膏もガーゼも包帯も使わない。
「チョッパーが塗り薬くれたけどそのまんまだな....悪い事したかな」
昨晩はすっかり疲れて、薬の事は忘れてしまっていた。男部屋に戻る頃には、頭にあるのは朝食の事ばかりだった。
「腹すかせたヤツらが来る前に....と」
サンジは手際よく作業を進めた。手際の良さと速さこそ、料理の腕。味がいいのは言うまでも無く。
やがてクルー達がわらわらと集まってきた。船長が遠慮なしに背後に張り付いてきて『今日の朝メシ何だーっ？？』とウルサイ。適当に足蹴にして、手は一切止めない。
「おはよう、サンジくん」
その一瞬だけは手を止め、目尻を下げながらナミの顔を見る。
「いい匂い！お腹すいちゃったー」
「すぐできますから！」
「サンジー、早く食わせろ〜」
「どけ、邪魔だっ」
軽い蹴りをかわしながら、ルフィはカウンターテーブルに飛び乗った。
賑やかさが増してきたところへ最後の一人がやって来た。
「ふぁ.....」
何も言わず席に着いた。大きな欠伸をしながらテーブルに肘をつく。
(あれが、昨夜のアイツとは....やっぱり思えねぇなぁ)
しかし、何がと言われればよく分からないが、ゾロとの間にある何かが大きく変化したような気がするのだった。その"何か"の正体を確かめたい。
「サンジ？」
ルフィが覗き込むように近付いてきている。
「な、何だルフィ」
「どうした？」
ルフィが指で示した先を見ると、皿の外にドレッシングをぽたぽたと零している。
「うわ」
「何かあったのか？サンジ....」
「何でもねぇ！さ、席に着け。出来上がりだ」
＊＊＊＊＊＊＊＊
今日も食器洗いには普段より多目の人数が参加していた。
「もう、こんな傷治ってるから....手伝いは一人でいいよ」
「駄目よ。今日はマッサージお願いしたいから。もうガチガチに凝ってるのよ。頭が痛くなっちゃう」
「ナミ？頭痛ぇのか？薬出そうか？」
「ありがとう、チョッパー。眠くなりにくいの、作ってくれるかしら？」
「おう！任せろ！」
「.......」
「あ、サンジ、俺がやったあの薬、ちゃんとつけたか？」
「...あ、あぁ...お陰で治ったよ」
「ゾロも、寝る前につけたか？」
「.....つける前に治っちまった。また何かの時に使う」
「あら、ゾロもどこか怪我してたの？」
「大した事ねぇ」
「....もしかして.....」
ナミはゾロの顔を覗きこんだ。ゾロはそれを避けるように作業を続ける。
「サンジくんの手の怪我と、関係ありそうね？」
「え？そうなのか？ゾロ！サンジ！」
「.....うっせーな」
「喧嘩したのか？お前ら何でいっつもそうなんだー」
「大丈夫よ、チョッパー。喧嘩する程仲がいいっていうじゃない」
「そっかー、お前ら仲良しなんだな！」
「「仲良しじゃねーよっ！！」」
「ほら、息ピッタリ！」
洗い物が片付き、ナミとチョッパーはにこやかにキッチンを後にした。後はサンジとゾロの二人が残された。
＊＊＊＊＊＊＊＊
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しばらくこんな感じで....
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