〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




手の力加減が絶妙だったのか、あるいはサンジの声が良かったのか、ゾロは腰を浮かせて顎を上げた。

サンジの声もまた掠れてきていて、自分でもその変化に驚いた。どんどん、さっきからゾロの側へと引き込まれていくような気がする。



堕ちる.....とはこういう事なのか。



「んぁっ....あっあっ....やっ.....」

(速ぇっ.....って....)

サンジの手の動きについていけず、ゾロは左手で作った拳をサンジの腕に当てて抗議する。

「何？ちゃんと言わねぇと.....」
「うぁっ....」
「一番いい顔、拝ませてもらうぜ」

いっそう硬くなったペニスを握り直して動きを止めると、ゾロが目を半分開いて宙を見た。定まらない視点、薄っすらと赤く染まる頬、乾く唇を舐めながら息は乱れたままで。

「マリモ、俺の方見ろ」
「......」
「頭、回ってっか？」
「.....ぁ.....」
「いちいち堪んねぇ顔しやがる.....」

我慢ができないのはサンジの方だった。ゾロの、唇を舐める舌の動きに誘われて、自分の舌を絡ませていった。舌のざらつきが互いに触れ合うと、ゾロの指先がぴくりと動き、腰がサンジの手を押し上げる。

ゾロの腰がさらに動き、サンジの手の中でペニスが扱かれる。もう、サンジがしてくれるのが待ち切れないとばかりに。

その腰の動きが、サンジの身体にも伝わってくる。

「おいっ....そんなに動くな....俺の方もヤバイって」
「んぁ...ぁっ.....ぁっ....」
「マリモ....すげェ....おめぇ最高」

さらに激しくサンジはゾロの唇を吸い上げながら、右手の動きを再開し、最大限に速めていった。喉から搾り出すような、ゾロの唸り声も喘ぎも小刻みな呼吸も全て、サンジが丸ごと呑み込んでいく。

ゾロは身体を反転させサンジの肩に両手を回し、しがみ付いている。何度も襲ってくる激しい快感の波が退いてくるその時まで、それは続くのだった。






痛ぇ....。

ゾロの身体が崩れ落ちないよう、サンジも必死で支えている。ゾロに掴まれている場所が、とにかく痛い。

(このクソ馬鹿力が)

痛いし、少し重い。

ゾロが体勢を変えたそのままの状態で、サンジはゾロの身体を抱えていた。丁度サンジの左肩にゾロが頭をもたれさせている。

「重い」

サンジは一応文句を言ってみた。ゾロは聞こえているのかいないのか、反応せずそのままだった。

何があってもサンジにだけは、頼ったり助けられたりする事を嫌っていた男。その男がこうして自分に全てを委ねて大人しくしている様を目の当たりにして、説明し難い感情で胸がいっぱいになる。

そして温かい何かが込み上げてくる。

そっとその緑の髪を撫でてみると、一瞬ゾロは小さく動いた。

(離したくねぇ......)

言わないでおこうと思った言葉を、サンジは辛うじて声には出さずに心の中で呟いた。


＊＊＊＊＊＊＊＊


ゴゴゴ....ガタンドタン....

「痛っ.....」
「ウソップ！どうしたんだ？？」
「いたた....」
「ちょっと、ウソップ！大丈夫っ？」

更衣室から下りてくる気配がしたと思ったら、梯子を使わずにウソップが下りてきた。いや、落ちてきた。

「あはっあはははは.....いやーこの方が早いかなって......」
「ウソップすげぇー！でもな、怪我してるぞ！後で手当てしてやるからな！」
「いいよ、これくれぇ唾付けときゃ....」
「駄目よウソップ、一応診てもらって。それより....どうしたの？」

ナミは普通に心配してそう言ってくれている。ウソップは今見た事をどう伝えようかと考えた。

「あー....ナミ、おめぇの探し物見つからなかったよ。悪ぃな」
「いいのよ、そんな事....私の方こそごめん....」
「気にすんな。じゃ、俺たちもう部屋に戻るから....お、本忘れねぇように....これ、と...これな」
「じゃ、保健室に寄ってからな、ウソップ」



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堕ちた。そして落ちた。





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