すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



(ルフィのヤツ....丸聞こえだ、バカ)

恐らく周囲に注意を払うという感覚は持ち合わせていないのだろう、ルフィのよく通る声がブランケットに遮られているとは言え、エースの耳にも届いていた。
一方のサンジは、暴発間近な彼自身をエースの口内で翻弄され、とにかく声を漏らすまいと必死だった。エースが時折囁く言葉も、半分も頭に入ってこない。

(今、サンジは俺のことだけに集中している。俺の体に夢中で掴まり、体を預けている)

そう思うと、終わりに導くのが惜しくて仕方ない。エースはできるだけゆっくりと口を動かした。それが焦れったくて堪らないと見えて、サンジはいっそう強く、腰をエースの方へ押し付けてくる。喉の奥の方では、漏れるのを抑えている声が"うぐっ..."と鳴っている。

(やっぱり、イク時の声くれぇ聞きてぇな)

後でサンジに文句を言われるのは必至だが、どうしても声を出させたい。エースは決心して、いったん顔を上げた。

はぁ....。

サンジの切ない呼吸音。

エースは深呼吸すると、再びサンジに顔を近付け、舌でその先端から順になぞりながら咥え込んだ。サンジの呼吸のリズムが乱れた。

(悪ぃな....思いっきりヤラせてもらうぜ)

ぐっと深く落とすとまた引く。その動きはゆっくりから急速に早まっていった。

「んんっ....ぐ....はっ...あああっ、ああーっ」

手で押さえることも口を閉じることもできない。

(そのままイケ....)

「やっ....ヤベ.....エースっ....」
「.........」
「ああっ.....くっ.....」

サンジの目尻に僅かに滲んできた涙を、エースの指がそっと拭った。口の中のモノを飲み干し、ぺろりと唇を舐めながら、エースは体を起こしサンジの耳元に近付いてきた。

「お前が受け入れてくれる時まで....俺は待ってる」
「エース....」
「愛して....る....」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「うひゃー...サンジ、すげぇ....」

ずっと静かだった方向から、サンジの歓喜の声が聞こえてきた。ルフィはゾロの方をあらためて確認したが、ルフィの髪を撫でる手が今にも止まりそうになりながら、眠りに落ちかけている。

「ゾロとヤル時もあんな風になるのかな....」

少し想像しかけて、ルフィはそれを振り払うように頭をブンブンと左右に動かした。

「サンジなんか....エースとくっついちまえばいいんだ....」

ルフィは下唇を噛んだ。

「それでも....ゾロは俺を選ばねぇだろうけどな」

クソー！！！とルフィは枕に一発パンチを食らわせると、ゾロがぴくりと動いた。しかし目を覚ますことはなかった。ルフィは、そっとベッドから抜け、床に下りる。ぴたりと着いた足の裏に床の冷たさが心地よい。

「ルフィ？どうした？眠れねぇのか？」

もう一つのベッドから声がした。上半身を半分起こしただけのサンジだった。


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