すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「あれ...？エースは？」
「寝てる....ゾロは？」
「寝てる」
「そうだよな。本当によく寝るヤツらだ」
「うん」

前髪の隙間から見えるサンジの目は、気だるそうで色っぽい。ルフィは一瞬どきりとした。ゾロがこんなサンジの顔を見たら、絶対怒るに違いない。

(でも...俺にもあんなコトしたんだし....おあいこかぁ)

「腹減ってねぇか？何か作ろうか？」
「うん！サンジのメシ！」
「だからぁ....俺とメシは何でいつもセットなんだよ？」
「だってサンジの作るメシ世界一旨ぇもん！」
「バーカ。そんなコト言ってもメシ以外は出せねぇぜ？」
「メシさえあればいーんだ、俺は」
「.............」
「ん？」
「何かあったか？」
「へっ？」
「......ゾロと」
「うえっ？何がっ？」
「.....まぁいい。後で鏡見て来い」

(あんなツヤツヤの顔しやがって....何もねぇわけねぇだろ)

サンジはキッチンに入り、簡単な料理をする。普段は健康のため夜食などは摂らないようにしているが、流石に少し消耗したし、ルフィが朝食まで空腹を訴えないとも限らなかったから先手を打った。

否、それより。

ただ、あの部屋から離れたかったのだ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「ゾロ？」
「.....」
「起きてんだろ？」
「......」
「弟が世話かけたな」
「.....」

ゾロは面倒臭そうに、体をこちらへ向けた。機嫌は決して良さそうではない表情だ。頭をぼりぼり掻きながら、大きな欠伸をしている。

「ルフィを....受け入れてやってくれるのか？」
「....いや」
「多分アイツは....ますます本気になるぞ」
「ちょっと世話しただけで、全く迷惑な話だ」

エースはベッドから下りて、いつの間にかゾロが寝ている方へ近付いてきた。

「その迷惑ついでに....ちょっと付き合ってくれねぇか？」
「あァ？」

するりとゾロの隣に入り込んだエースは、全く隙のない動きでゾロの体を押さえ込んだ。

サンジならともかく、ゾロなら跳ねのけられるはず....だった。

「何....っ」
「俺たちは寝入ってることになってる。頼むから騒がないでくれ」
「だったら....こんなことすんなよ」
「...悪ぃ」

(さぁ、何だ？さっさと用件言いやがれ...)

「ゾロはいつもそんな顔なのか？」
「ん？」
「客と居る時も....そんな怖ぇ顔してんの？」
「あんたに関係ねぇ」
「....確かに。でもサンジに対しては違ぇんだろ？」
「そんなこと...言う必要ねぇし....自分では分からねぇよ」
「うん....やっぱりサンジとは全く違うタイプの男だな」

エースはゾロの髪を梳き始めた。ゾロは少し体を退く。


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