すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「ココだって....ちょっと勃ちかけてるぞ」
「こら...触んなよ」

そんな目で言われても、逆効果だって。サンジはソコから手を離さなかった。

「アイツらが戻ってくるまで....デキルかも」
「もう無理だ...」
「誘ってるクセに」
「誘ってねぇ」
「でも気持ちイイだろ？コレ....」
「んぁっ...」

サンジがゾロを撫で上げた。

「もうヤメ....」
「ヤメれねぇよ....こんなエロい顔とエロい体に誘われちゃぁ」
「誘ってねぇっつってんだろ！」

「あれれ、痴話喧嘩？」
「サンジー！ゾロー！次風呂入れよー」
「何だ、まだ繋がってんのかよ.....仲良すぎだな、おめぇら」

やれやれ....とエースは空いている方のベッドに腰を下ろした。

「いい加減、キレイにしてやんねぇと、ゾロの腹ん中が....」
「余計なお世話だよ....いいんだ今から洗いに行くから」
「あぁ、ごゆっくり。その間に俺達買出しに行ってくるわ。朝飯くらい奢らせてくれ」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

ゾロの中に吐き出されたモノを掻き出した後、サンジはゾロと連れだってバスルームに入った。

「腹、痛くねぇ？」
「....何とかな」
「2回分だったもんなぁ....」

ゾロの腹を撫でながら、シャワーの湯をかけた。ボディシャンプーを泡立てた手で、ゾロの体を洗っていく。

ゾロはじっと、されるがままだった。

そのまま続けて、サンジはゾロの髪を洗う。ゾロは気持ち良さそうに目を閉じている。

「ほれ、終わったぞ」
「ありがとう」
「....おう」
「じゃ、交代」

特に何を言うわけでもないが、ゾロの優しい気持ちが手からサンジへと伝わってくるような気がした。サンジの体を丁寧にゆっくりと洗い、髪も注意深く、もつれないように洗ってくれた。

「終わりだ」
「サンキュ」

サンジはゾロの手を取った。ゾロはそっとその手を握り返した。

「ところでさ....」
「ん？」
「さっきのエースの顔...」
「どうかしたか？」
「やっぱりゾロと...」
「何が？.....まだ言ってんのか？」
「そんな気がするんだけど」
「あのな....ヤラレてねぇって言っただろ！」
「いや...その逆！」
「冗談はたいがいにしろ！俺がヤルわけねぇだろ」
「でもあの目は...何か違うぞ？」
「知らねぇって」
「俺も知らねぇけどさ....」

何だかよく分からないが、サンジはエースの表情や視線が違うのを感じていた。ゾロを見る目が以前とは明らかに違っている。

(ゾロのヤツ....無意識でも何かヤッたんだ、きっと。それがエースのツボに嵌った....ってところだろ)

ゾロが知らないと言ってるのだから、それ以上訊くこともない。

「....お、そうだ....まだだったな」
「何？」
「朝の挨拶....」
「んっ.....」
「.........」
「.........」

互いの行為が互いの声を呑み込んだ。静かになったバスルームの中で、シャワーヘッドからタイルへと零れ落ちる、水滴の音だけが響いている。


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