すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



エースとルフィが朝食を用意していた。

「おっ、旨そうだな」
「たまには用意してもらうってのもいいな」
「おし、ゾロもサンジもシッカリ食えよー」
「おめぇな、買ったの俺だぞ」
「俺も持つの手伝っただろー！」

騒がしいテーブルに、コーヒーの香りが漂ってきた。

「サンジの淹れた特別旨いコーヒー、ご馳走になるか」
「特別旨いかどうかは...」
「ルフィが、旨かったからまた飲みたいって言うのを聞いてたからな」
「ししっ....本当に旨いんだよなぁ、サンジのコーヒー！」
「そりゃどうも。お替わりはご自由にドウゾ」

サンジはゾロの方を見やると、ゾロも気付いた。でもそのまま前を向いたまま、コーヒーをすすっている。いつ見ても綺麗な横顔に、サンジは目を僅かに細める。

「...サンジ、何見惚れてんの？」
「キレイだなって思って....」
「へぇ？」
「.............」
「わっ....俺今何か言った？」
「サンジ、今完全に俺たちが居るの忘れてただろ？」
「........アホが」
「んだとっ、ゾロ」
「ひゃっひゃっ....おもしれー！！」
「サイコーバカップルだな、おめーら」
「エースっ」
「.........」

エースはゾロへと視線を移しながら言った。

「.....ゾロ」
「ん？」
「....サンジを....離すんじゃねぇぞ？」
「....言われなくても」

ちらりとエースの方をルフィが見た。何も言うな、とエースはルフィを手で制した。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「じゃ、そろそろ退散するかな」
「えーもう帰るのかー？」
「たりめーだろ！こんな暑苦しい二人に当てられっぱなしじゃ体がもたねぇだろ」
「仕事はどうすんだ？」
「休みだ、休み」
「おー、そうか！そしたら俺と遊ぼうぜー」
「どっかでパーッとやるか！」

仕事....。そうだった。今日はまだ平日。

「ロクに寝てねぇけど....一日くらい何とかなるか」
「気合で行くしかねぇな」

二人をじーっと見ているエース。

「お前ら、もしかして知らねぇの？特にゾロ！」
「あぁ？何すか？」
「ったく....昨日、ゾロの客のあの二人、何か張り合ってすげぇオーダーしまくってただろ？」
「あぁ...そう言えば」
「一人がピンクのタワーで、もう一人がルイ。短時間でかなりの金額イったよな？」
「結構イったみてぇなこと、チーフも言ってたような」
「だからさ、ウチの店、今日は臨時休業なんだって」
「.........臨時休業？」
「平日に限る、だけどああいう時は、大抵次の日は休みになるんだ。他所の店でもやってるぜ？」
「へぇ....」
「何で当の本人が知らねぇんだ？俺も帰りに業務連絡ボード見るの忘れてたけど...二人して気付いてなかったってことかぁ」
「ま、とにかく今日は、家でゆっくりしてろ？かなりお疲れだろうからな？」

涼しい顔をして、爽やかな笑顔を向けてくるエースに、サンジはあの日と同じ言葉で返した。

「二度と来るな」
「あぁ、来るもんか」
「でも...二度目だ今回で」
「じゃ、もうおんなじだな、また来るぜ？」
「俺も一緒に来るぞ！な！いいだろ、ゾロ！」
「.......あぁ」


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