流れるままに
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着替えの下着やＴシャツを掴んで、ゾロはサンジについて、バスルームへ向かった。サンジは楽しそうに鼻歌を歌っている。
「人と風呂入るの、久しぶりだな〜...。ゾロ、背中流してやるからな。頭も洗ってやるからな」
「いや...いいよ、自分で洗える」
「遠慮すんなって」
「してねぇよ」
「せっかく一緒に入るんだぜ？いいだろ？俺のも洗ってくれよな？」
「.....しょうがねぇな...わかったよ」
ゾロは時々銭湯にも行くことがある。だから、人と風呂に入ることに抵抗はなかった。ただ、何となくサンジを意識するあまり、同じ場所で裸になる、ということに過剰な反応をしていたのだ。
サンジは特に気にも留めていない様だ。
(普通にしてればいいんだな...)
ゾロは自分の体を手早く洗うと、サンジの背中を流し始めた。途中から、スポンジを手放し、素手で洗い始めた。
「サンジ...背中以外もついでに洗いたい」
「それは、洗いたいじゃなくて、触りたいの間違いだろ」
「そうとも言うけど。サンジも...触っていいぞ」
「触って欲しいんなら、そう言えよ」
「俺は...」
「いいよ。こっちに訊けば分かることだ」
サンジはゾロの顔を両手で支えながら、深く口付けてきた。目を閉じたゾロの手が、サンジの手首にそっと触れると、緩く握ってきた。その仕草がまた、思いがけず可愛らしくて、サンジの平常心が乱される。
サンジの手が、ゆっくりと下へ動いた。ゾロの肩から胸、腹、さらにその下では、半分起き上がりかけの、ゾロ自身。そこへ手を載せ、力を入れずに包むように握った。
まだ合わさったままの、二人の唇。サンジはさらに舌を使い、ゾロの口内を刺激した。無防備なゾロの舌の上を何度もなぞると、ゾロは目を薄く半分だけ開けた。
サンジの手の内では、見なくても分かるほどの、変化が起きている。彼の手にその存在を主張するかのように、大きくなっていた。
「こんなになってんぞ」
「.......」
「して欲しいこと....今度は言えるな？」
「....サンジ...」
ゾロは自分の手を、サンジの手の上に載せた。自分自身を握っている、その手に。
「ゾロ、そんな目をしたって駄目だぞ...自分の口で、ちゃんと言うんだ。この手で...こうすればいいのか？」
一度だけ、サンジは手を動かした。ゾロの表情が一瞬変化する。小さく声が漏れる。重なった手に、力が入る。もっと、動かしてくれ...と、その手がサンジの手を促す。
「サン...ジ...、こうして...」
サンジは鼻の奥が熱くなってくるのを感じた。余裕を見せているようで、もうギリギリだったのだ。こんなゾロの表情を見せられては、どうしようもない。
抑えられない。
「バカ...っ、その目やめろ...モロ、来るんだよ...」
また、口付ける。さっきよりもっと強く、深く...。ゾロも虚ろな目で、何とか応じる。
何度か息継ぎをしながら、ゾロは声を出した。
「サン.....ジ...、ここ...動かしてよ....いっぱい」
..分かったよ...よく言えたな。サンジはゾロの耳元で囁くと、ゆっくりと手を動かし始めた。ゾロの、気持ちよさそうな表情を見ていると、サンジは嬉しい反面、少し悔しくなってきた。
「ゾロ...一人で気持ちよくなりやがって...」
「...ぁ....はぁ...サン...ジ...」
「俺も...辛くなってきたんだけど」
「....んんっ...」
「おいっ...ゾロ...」
サンジはゾロの手首を掴んだ。もう、余裕などとっくに無くなってしまった。早く、自分の方も、何とかして欲しかった。
しかし、ゾロはそれに気付けないほど、快感を追いかけるのに没頭している。
「ゾロ...っ」
サンジは、それでも手の動きを止めなかったのは、ゾロの今の顔を見ていたかったから。
もう、いいや。とにかくゾロを先に...。そう思っていると、サンジの体に快感が走った。
ずっと待ちわびていた感触。ゾロの手が、そこに伸びてきていた。そして的確に、サンジの快感を引き出してくる。
「ぁあっ...あ....」
一気に深みに嵌っていくサンジ。まるで自分の手のように、ゾロの手が、サンジ自身を扱いている。
「サンジ....俺...上手いだろ？」
「また...てめェは....ぁあ..ん」
「...俺...もう...」
ゾロの眉間に皺が寄る。手の動きが速くなったり、逆に緩慢になったり、余裕がない。
「いいよゾロ...イって」
「んんっ....あ...」
さらにサンジは手の動きを速めた。ゾロの微かな喘ぎ声の変化で、その瞬間を捉えた。ぐっと握り込んで、達した証の激しい動きが落ち着くまで、しばらく待った。勢いよく吐き出されたばかりの生温かい体液が、サンジの手の甲から腕を伝って零れていく。
息を整えようとする、ゾロの表情が艶かしかった。それだけで、サンジの身体の芯がぞくりと反応する。中断された動きを再開させようと、ゾロの手を取り、もう一度サンジ自身を握らせた。
「...ほら、やっぱり俺の手がいいんだろ？」
「早くやれよ」
「あー！命令してる」
「...俺は、もう余裕ねぇんだよ...」
「サンジ...」
ゾロの手が動き出す。途端、サンジの吐く息にも、時折漏れる声にも、変化が現れた。
「サンジ、俺の肩に、もたれてていいぞ」
「何だよ、急に優しくなったな」
「俺は元々優しいんだって」
「よく言うぜ...」
ゾロはサンジの身体を抱え直した。右腕をしっかりと胸に回し、左手はサンジの下腹部から離れない。サンジが自分の左手をそこへ重ねた。
「サンジのここ...熱い」
「だから...もうヤバイんだって」
「すぐイキたい？ゆっくりがいい？」
「...バカ野郎...おめぇの好きにしろ」
「じゃ...スピード上げるぜ」
手の動きが急に速くなる。せり上がる快感の波に、サンジは身体が浮き上がるような気がした。もう、駄目だ...。サンジが意識を手放しかけた時。
「....ぁ....」
「...と思ったけど、ゆっくりやろうかな」
「てっめェ....ぐ.....」
「大丈夫？ここ...すっげぇ...さっきより硬い...」
「るせーよ！べらべらと....はぁっ...クソッ...」
「サンジ...」
「んん...っ」
サンジの半開きの唇の隙間から、ゾロの舌が入ってきた。サンジもつられて舌を出した。舐め合い、絡め合い、裏も根元も歯列にも全て、互いの舌が動き回る。口内から伝わる快感に酔いしれていた、サンジの下半身に再び熱が戻されてきた。ほんのしばらく動きを中断していた、サンジを包むゾロの手が再び動き出した。
それは、ゆっくりとしたものだったが、やっと逃げ場を見つけたとばかり、急速に熱が噴出してくる。ゾロの左手首を掴むサンジの手に力がこもる。
「ん..ぁああっっ....くっ...」
「イって....サンジ...」
激しく放出された白濁は、サンジの胸から腹へ跳ねた。
荒い息が収まるまで、ずっとゾロは、サンジの身体を抱えていた。左肩に載せられたゾロの顎が、くすぐったかった。肩や首にかかるゾロの吐息に、背中がぞくりとする。それでもサンジは、それが心地よいものとして感じていた。
ゾロの唇が、サンジの肩や首筋、耳へとなぞっていく。そしてサンジの唇近くまで到達すると、今度はサンジからキスを要求される。ゾロも吸い込まれるように、それに応じた。
「んん...」
「...ぁ...」
ようやく唇を離して、息をつく。サンジは、ゾロの身体をまさぐると、掠れた声で話し出した。
「ゾロ....」
「ん？」
「おめぇ...まだ足りねぇのか？」
「ぁっ...おいっ...」
サンジが手を触れたその部分は、再び熱くなってきていた。
「俺のこと見てたら、また勃ってきたのか？」
「るせー...離せよ」
「それ...そのままでいいのか？」
「知らねぇよ...」
「こんなヤリ方もあるんだぜ...試してみっか？」
サンジはゾロの下腹部へ頭を埋めると、半分立ち上がった部分へ唇を付けた。熱い息を吹きかけ、舌先でゆっくりと、先端に向けてなぞった。
「ふぁっ...何...やめ...サンジっ...」
「気持ちいいと思ったんだけど...よくなかったか？」
「訳分かんねぇよ...こんなの...」
「もうちょっと付き合え...んぐっ....」
それはサンジの口内へ引き込まれた。熱くてしっとりと、まとわりついてくる。ゾロが今まで味わったことの無い、強烈な快感だった。彼は軽い眩暈を覚え、口を閉じていることができなくなった。調子付いたサンジが、そのまま休まずに、口での愛撫を続けていく。
サンジの口の中で、それは大きく硬くなっていく。ゾロも自分でそれを感じていた。まともな思考が働かないほど、快感の波に沈んでいく。
「んん...はぁっ...う...やめ....サンジ...嫌だ...」
「てめェ...可愛いこと言ってんじゃねーぞ」
「あ...またイキそう....」
「いいぜ..イケよ」
「んんっ...ぐっ...」
サンジの頭を思い切り掴み、ゾロは果てた。サンジの口内に広がる苦味。口から零れた分以外は、全て飲み込んだ。
「気持ちよかったか？」
「んん...はぁ...はぁ...サンジ....」
「ん？言葉にできねぇくらい？」
「何で...」
(そんなモン飲むんだ...バカ)
「...悪かったな...ゾロ」
「何が...？」
「イキナリ、刺激が強すぎたか...？」
「....」
「あんまり、おめぇが...俺を煽るからだ」
「何もしてねぇよ....それに...サンジ、俺をガキ扱いすんな」
「ガキじゃねーか」
「サンジとそんなに変わんねぇだろ」
「でも、こういうこと、知らなかっただろ？」
「....それは....」
「いいんだ、知らなくて。逆に色々知ってて、お前が俺に、こんなことシテきたら、俺、ビビッタかもな。絶対、引いてた」
「....また先輩風かよ」
「俺が最初で、感謝しろよ」
「なっ....」
サンジはゾロを抱き締めた。愛しさが込み上げてきて、いくら抱いても足りないぐらいだった。
「すっかり身体、乾いちまったな」
「湯船に浸かりてぇ」
「一緒に入ろうか」
「狭いんじゃねぇの？」
「大丈夫さ...」
二人がぴったりと寄り添いながら、何とか一緒に湯船に浸かることができた。ただ、少し動こうとするたびに、湯が溢れていく。
「もっと手足伸ばして浸かりてぇよ」
「贅沢言うな」
「せっかくの風呂なのに」
「でもこんなことはできるぞ」
サンジはゾロの首筋に顔を埋め、鎖骨の窪みに舌を這わせた。
「サンジっ...別に風呂でやることねーだろ！」
「じゃ、どこでやりてぇんだ？別に決まりなんかねぇよ」
「もう俺...変になりそうだ...」
「え？何？聞こえねぇよ....」
しつこくサンジは吐息と舌で攻めてくる。もうやめてくれ、とゾロは思いつつ、だんだん自分が、それに対応出来てきていることに気付くのだった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「あーっ...もうヘトヘト...」
「何だよおめぇ...いつも部活で激しいことやってんだろ？」
「一緒にすんなよ」
「ゾロ...こっちこいよ」
「何で、男二人で寝るんだよ！俺はこのソファ、広げて寝るよ」
「これ、セミダブルだからさ...一緒に寝ても平気だ」
「俺の方が身体デカイんだぜ？」
「分かってるさ。何も朝までここで寝ろって言ってねぇよ...おめぇも...分かってて...今日来たんだろ？」
「.........サンジ？」
「俺の気持ち...知ってんだろ？」
これって...女を口説く口調じゃねぇのかよ？ゾロは少し困惑した。
さすがにサンジは、こういうことは慣れてるのかも知れないが、ゾロは口説いたことも、口説かれたこともない。彼は必死に答えを見つけようとする。
「何も、取って食おうって訳じゃねぇ」
「いや...サンジなら俺を食うかも知れねぇ」
「...さっき食ったばかりだけどな」
「は...恥ずかしいヤツ！」
駄目だ...今日は調子が出ねぇ...サンジの思うツボだ。ゾロは焦りを感じた。
「いいから、こっちで寝ろ。そんな離れたトコに居られたら、気になって寝れねぇ。襲いにいくぞ」
「だったら余計、一緒になんか寝れるかよ」
「前にも言っただろ。俺はお前の嫌がることは、絶対にしねぇ」
「ふん...」
「約束する」
「...分かったよ...」
サンジの言葉を完全に信じた訳ではなかった。ゾロにしたって実のところ、サンジが気になって眠れないだろう。でもまさか、『一緒に寝ていい？』なんて台詞は言い出せなかった。
サンジの左側に、ゾロは横になった。サラサラとした金髪が、枕の上に広がっている。ゾロの手が自然にそこへ伸ばされた。その手をサンジの手が掴んだ。
「ゾロの手...好きだ」
「何だよ、変なこと言うなよ」
「変じゃねぇさ...大きくて柔らかくて...温けぇ...」
サンジはその手を自分の頬に当てた。ゾロはサンジの髪をかき分けて、頬や耳に指で触れた。サンジは気持ちよさそうに、目を閉じる。
「サンジって...どっちなんだよ」
「ん？」
「さっきは、俺のこと襲うとか言っといて...今なんか、サンジの方が、襲われてもおかしくねぇぞ」
「俺、そんなに無防備か？」
「...ヤバイ..ってゆーか......可愛い..かも」
「！！おいっ...ゾロ...それは間違ってるぞ...おめぇの方が...実は見かけによらず、可愛いんだって！さっきの風呂場の時だって...」
「わーっ！ゆーなっ！サンジだって、気持ちよさそうにしてたじゃねーか！」
「してたよ...気持ちよかったもん...ゾロの手、サイコーだ」
「うっ...恥ずかしいとか、そういうの、ねーのかよ...」
「ゾロ...さっきの思い出したら、俺またちょっと、ヤバイ気分になってきたんだけど...もよおしたっつーか...」
「サンジっ...変態...」
「何だよ、変態は酷いだろ！俺はまだ1回しかイッテねぇんだからな！」
確かに、サンジはまだ1回しか達していない。ここでゾロに寝られないよう、頑張らなくてはならなかった。
「だからさ...その手で...シテ欲しいんだけど...」
「.....そんな真正面から堂々と...」
「嫌なら...トイレ行ってくる」
「...じゃ、ここで...俺の目の前でヤレば？」
(ゾロ...っ、おめぇ何言ってんだ？)
(げっ...俺...何言って...)
嫌われてもしょうがない...。ゾロはうっかり口にした言葉に激しく後悔した。
「ゾロがそう言うんなら...」
サンジは自分のハーフパンツに手をかけた。
「うっ...嘘だよ！冗談だってばっ...サンジっ...」
予想外なサンジの行動に、ゾロは慌てた。サンジの手を掴み、やめさせようとする。サンジは、その手をぐっと掴み上げた。
「俺がヤルとこ...最後まで見とけよ」
「サンジ...やめてくれ...」
「....」
サンジは無表情で、ハーフパンツの前ボタンを外し、脱ぎ捨てた。
「俺がヤってるとこ見ながら...おめぇもヤルんだ」
「え？」
(う...嘘だろっ...)
「もっと近くに寄れ」
サンジがゾロを促した。ゾロにも脱ぐように顎で示した。何だか、抗えない雰囲気が漂う。
「何だ...まだ準備中？全然勃ってねぇじゃん」
「サンジだって...半勃ちじゃねぇか...」
「おめぇが途中で手ぇ出すからだろ。さっきはビンビンだったんだぜ？」
ゾロは、もうどうしていいのか分からなかった。
「さ、始めるぞ...」
サンジはゾロの手を取り、自分のモノに載せる。そしてサンジも手をゾロのモノへと伸ばした。
「何っ...？どうすんの？」
「だから...俺がおめぇのをヤッてやるから...おんなじようにヤレばいいだけ」
「へっ？」
「どっちが上手いか、すぐ分かるぜ」
「サンジ...」
「ん？」
ここでサンジに怒っても仕方なかった。元はと言えば、ゾロの失言が原因だったのだから。ゾロは思い切り強がって言ってみた。
「俺...結構上手いぜ？」
「知ってるよ。こないだ..と今日も、経験済みだからな...」
サンジがニヤリと笑いながら言う。
「でもな...俺だって、負けてねぇぜ？」
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
互いのモノを、ゆっくりと扱き合いながら、二人は息を次第に荒くしていった。自分が感じることに集中すれば、手が疎かになる。相手を感じさせることに気を取られると、自分自身の快感が少し遠のく。
それでも、回数を増すうちに、互いに熱が上がっていく。気を抜けない状態だ。
「あっ...い...もう無理っ...」
「クソっ...いい加減降参しやがれ...」
勝負がなかなかつきそうになかった。どちらからともなく、手の動きを止めた。
.................
サンジが、ゆっくりと話し出した。
「なぁ...アレ.....やってみねぇ？」
「アレ...？」
(アレって何だよ...俺に何か変なことさせるんじゃ...)
「ゴメン、ゾロ！俺...のもシテくれっ...」
サンジはゾロの上に乗った。でもそれは少々ゾロを驚かせる体勢だった。サンジの頭は、ゾロの下半身に。そしてサンジの下半身は、ゾロの顔の上にあった。
見たこともない光景が、ゾロの眼前に存在している。いくら心身ともに鍛えているゾロでも、しばらく動けなかった。
「ゾロ...良くしてやるからな...」
「サンジ....俺はどうすればいいんだ？すげぇモン目の前にあるんだけど」
「適当に触っててくれ...気が向いたら...口で色々やってくれ」
「適当にって...んんっ...サンジ...ぁ...」
「んんっ...んんん」
サンジがゾロのモノを、頬張り始めると、ゾロもサンジ自身へ手を伸ばした。その先端から出てくる透明の液が糸を引き、ゾロの喉元目掛けて落ちてくる。彼はそれを手で受け止めて、サンジの先端へ塗りつけながら、扱き始めた。
サンジの鼻から漏れる息が、少し艶を帯びてきた。
「やっぱり...これって俺も同じこと...シタ方がいいのかな...」
ゾロは腰を浮かせぎみにしながら、呟く。もう勝手に身体が動いてしまう。気を抜いたら、すぐにでもイキそうだ。
(サンジ...やっぱり上手いや....俺、勝てねぇよ...)
ゾロは、下半身に力を込めて、快感に耐えながら、サンジ自身を口に入れた。思ったほど抵抗はなかった。そしてサンジがするのを見よう見真似で、舌も使いながら愛撫する。
サンジの膝がぐらつき始めた。口を思わず開けてしまったようだ。
「うっ...ゾロ....ヤべぇよ...それ...」
「俺も....ギリギリ」
「一緒に....イキてぇ...」
「はぁっ...んんっ」
ゾロは目の前が真っ白になってきて、もう終わりが近いことを悟った。その中でも必死で口や舌、顎を動かした。サンジも、ゾロの上に崩れそうになるのを耐え、ゾロ自身を奥まで咥え、舐め尽くし、吸い上げた。
小さく響く呻き声、溜飲の音、激しい呼吸。そしてサンジがそのまま身体の力を抜き、ゾロの上に被さった。少し重かったが、ゾロは文句を言わず、サンジの背中を優しく撫でた。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
(ここまでヤっちまった...。ゾロ、怒ってねぇかな？こんなことフツーしねぇよな...でも...つい...)
(サンジ...色んなこと知ってんだな...もしかして、結構今までヤリまくってたんじゃねぇのか？)
「ゾロ」「サンジ」
ほぼ同時に声を出した。
「何だよ？」
「そっちこそ」
「一瞬だけ、サンジの方が早かったから、サンジから言えよ」
「....ゾロ...」
「ん？」
「引いてねぇか？...つか、怒ってねぇか？」
「.......べ、別に」
「あんなこと...するの、おめぇにだけだからな...」
「へぇ...」
「あぁ？てめェ、信用してねぇだろっ？！」
「別に...信用するもしねぇも...俺、サンジのこと、まだよく知らねぇし...でも信じる」
「俺も...お前を信じるからよ」
「ん？」
「俺以外からは、こんなことヤラれたりしねぇって」
「そんなのっ！...ったりめーだろ！」
(あんな恥ずかしいこと...他でできる訳ねぇだろうが..バカ)
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「何か、すっかり目が冴えちまったなぁ」
「やっぱ、俺たち普段鍛えてるから...」
「これくらいの運動じゃ、疲れねぇってことだな？」
「サンジ...何か目の輝きが増してるみたいな...」
「なぁ...俺まだ2回しかイッてねぇんだよなぁ...？」
「う...」
ゾロは、2回もイケたら上等だろ、と言いたかったが、3回イッた身としては言いづらかった。このままだと、ずっと言われそうだ。ゾロは大きく深呼吸すると、これ以上ないくらい、優しい声で言った。
「サンジ...俺がシテやろうか？」
「へっ？」
「嫌なのか？」
「.......お願いします」
意外そうにするサンジの腰に手を当てると、ゾロはサンジの下半身にまで、自分の身体を下げていった。サンジは、顔の近くからゾロが居なくなったことが、少し寂しかったが、これから起こることに胸を躍らせた。
ゾロは両手でサンジの腰を抱えた。広げさせた脚の間に、うつ伏せになり、サンジ自身を手に取り、先端を自分の口に近づけた。ぺろりと何度か舐め、唇だけを使って甘噛みした。それを何度か繰り返すと、喉まで咥え込み、往復する動きを加えた。
「あ...ゾロ..」
サンジは片膝を立て、ゾロの後頭部に手をやる。とても初めてとは思えない上手さに、サンジは複雑な思いを抱く。
(こういうのも、素質...ってあるのかな...)
自分では一切コントロール不能。全てを相手に委ねるこの行為は、その相手との絶妙な呼吸が要求される。そこまで合わせられるようになるには、あとどれくらいかかるだろうか。
(それまで俺は、ゾロと一緒にいられるだろうか...)
もう、ゾロ以外なんて考えられなかった。サンジはそう思っていても、ゾロがどう考えているのか。仮に互いに同じ思いでも、それがずっと続くという訳ではないだろう。
「サンジ...どうした？」
「いや...何でもねぇ...気持ち良過ぎて...ちょっと気を逸らしてた」
「イキそうだったら、イケばいいのに...」
「あ、そうだ...これ」
サンジは枕元からティッシュペーパーを何枚か取り出し、ゾロに手渡した。
「後で使うよ」
「こぼすなよ」
「大丈夫だ」
また、愛撫が始まった。緩急のついた吸い上げに、サンジは頭を時々左右に振りながら、快感に溺れた。またゾロが腕を上げたようだ。
そこまで来ている波。そして、身体が一気にさらわれ、突き上げられる。
「うっ...ぁあああっ...ゾロっ...」
「(サンジ...)」
ゾロは、口を離すことなく、そのままじっと咥えていた。サンジの放った精は、余すことなくゾロの口内に溜められた。激しい痙攣が収まってくると、ゾロはゆっくりと口を離し、ごくりと飲み下した。
唇を舐めながら、ゾロはサンジ自身をそっと、きれいに拭いてやった。ふと気付くと、サンジがゾロの方を、じっと見ている。
「おめぇ...何でそんなに上手いんだよ？」
「サンジが...さっき教えてくれたんだろ」
「上達、速すぎだ」
「でも...さっき思ったんだけどさ」
「ん？」
「やっぱ、俺、サンジには勝てねぇ...」
「何がだよ？」
「一緒になんて、ヤルの無理」
「あぁ...あれは俺もおんなじだ。下になる方が、結構辛いんだよ..」
「......」
「だから、まぁ...色々いい方法、考えねぇとな」
「いい方法？」
「そのうち教えてやる」
「....」
「何だよ？睨むな」
「何たくらんでるんだよ？」
「二人で気持ちよくなる方法に、決まってんだろ？」
「サンジ....やっぱ変態」
「変態ゆーなっ...おめぇだって、気持ちよくなりてぇだろーが」
「.......そういう切り返し、ずるいぞ」
サンジはゾロの上腕を掴むと、ぐいっと自分の方へ引き上げた。
「いつまでも、俺の股間のトコで喋ってんじゃねぇよ...また勃ってくんだろが」
「やっぱ変態だ...」
「そんな変態と付き合ってんのは、誰だよ」
「俺だよ....俺以外無理だよな」
ゾロの顔を、しっかり捕まえると、サンジは深く甘く口付けた。
「いくらヤッても、足りねぇよ...」
「出た、変態」
「その変態と、ただ今濃厚なキスの最中」
「もう...何でもいいよ...こうしてやるっ」
ゾロも負けじと舌技で応戦する。負けず嫌いな同士、なかなか勝負はつかない。
「おめぇ、目がトロトロじゃねぇか」
「サンジも...息上がってるぜ」
勿論これで終わるはずもなく、また新たに火種が育ち、激しい炎と化した。互いを牽制し合い、挑発し、誘い、要求する。そこには計算は無い。若さに任せた本能だけ。
日頃の地道でハードな鍛錬の賜物。二人はなかなかダウンしなかった。その二人の瞼が落ちたのは、もう夜明け近い頃だった。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
起きるのが遅いと、当然すぐに夕方がやってくる。ゾロは帰り支度を始めた。
「次は金曜の夜から..来いよな」
「うん...でもどうなるんだろ」
「何か心配なことでも？」
「...色々とな」
サンジのたくらみが、まだよく分からず、ゾロは不安だったが、それを言うのも癪に障る。でもサンジと一緒に居たいという、気持ちは変わらない。
「ゾロ...来週だぞ。予定空けとけよ」
「うん、わかってる」
サンジはゾロが服を着替えるのを手伝った。俺より長ぇな..とゾロのジーンズを眺める。今となっては素直に、ゾロのカッコよさを認めているのだった。
(おめぇのルックスなら、女なんてヨリドリミドリだろうにな...)
俺に惚れるなんて、バカなヤツ...とサンジは思う。
「何...ニヤニヤしてんだよ、サンジ」
「ん？おめぇが可愛くってさ...」
「なっ...気持ち悪ぃこと、こんな時にフツーの顔して言うなよ」
「顔、赤いぞ」
「るっせーよっ...」
「...ゾロ」
「...何？」
「すげぇ好きだ」
「.....」
ゾロは、それには答えずジャケットを羽織った。何でサンジは、こうも簡単に、こんな言葉を口にするのだろう？前触れもなく不意打ちで言われると、身の置き場が無くなる。
サンジがゾロの顔を覗き込んで、さらに言う。
「俺の方が好きだからな...多分」
近過ぎてサンジの顔がぼやけて見える。サンジからもきっと、ぼやけているだろう。でもゾロの顔がさっきより赤いことは、バレているに違いない。
「ちげーよ、俺の方だって前に言っただろ」
ゾロは吐き捨てる様に言うと、サンジに口付けた。それを待っていたかの様に、サンジの両手がゾロの顔をしっかりと持つ。ゾロも両腕をサンジの背中に回した。
長い長いキス。何度もしてきたのに、いつも胸が熱くなる。帰り際のキスの割には、濃厚で情熱的だった。そして互いが余計に、離れがたくなっていくのだった。
ようやく唇が離れた後の、ゾロの表情は、サンジを煽るのに充分な色気を放っていた。
「あー...その顔、反則」
「..ん？」
「我慢できねぇ...」
「もう...俺帰るんだからな！」
「すぐ済むから...なっ...ちょっとこっち...」
「わぁっ...おいっ...」
ゾロが今せっかく穿いたばかりのジーンズに、サンジの手がかかった。素早くジッパーを下ろし、中へ手を差し入れると、ゾロが一応抵抗して見せた。
「サンジが我慢できねぇだけだろ？俺のは関係ねぇだろ...」
「ちょっと触らせろ...」
「おいっ...もういい加減に...」
「....ゾロ...おめぇも感じてんじゃねぇかよ...」
「...放っとけば元に戻るのに...バカ」
結局、抵抗するのは諦めたゾロは、ベッドに寝かされ、サンジの熱い愛撫を受けてしまう羽目になった。サンジの方を先にしてやろうと思ったのに、それは後でいいと制されたのだ。
もう、すっかり勝手が分かっているサンジは、あっという間にゾロを高みへと導いていく。
「んんっ...あっ...サンジ..で...るっ」
最後の一滴まで飲み尽くそうとするサンジ。胸でハァハァと息をするゾロの、手をしっかりと握った。
「あ...俺もちょっとヤバイ...」
サンジはゾロの声だけで、かなり気持ちが高ぶっていた。ゾロが身体を起こして、サンジの方を見ると、彼が自分自身を手で押さえて苦しそうにしていた。息も少し荒い。
「サンジ...？」
「俺...我慢できなくて...」
ゾロを口でシながら、自分自身をも手でヤッていたらしい...。
この変態っ！とゾロは言いそうになったが、一応同じ男として、気持ちは分かるので、そこは黙っておいた。
「あ...」
「サンジ、続きは俺が...」
「え...？」
サンジの手をどけると、ゾロが代わりに自分の手に取り、ゆっくりと扱き始めた。そしてすぐに口に含んだ。
「ゾロ...」
「.....」
「ふぁ...ぁっっ...んん....ぐぁっ...」
本当にギリギリまで我慢してたのか、サンジ...そう思うとゾロは急に、サンジが可愛く思えてきた。
「はい、ご馳走様」
悪戯っぽい目で、ゾロはサンジを見やった。
「俺にかかれば、こんなもんだ」
「また生意気な目ぇしやがって...」
--そのクソ生意気なツラが、何か知らねぇが、ソソるんだよ--
--変態だけど、何か、可愛いとこ...ちょっとイイ--
こうして、離れられなくなっていく二人。彼らがどこへ向かっていくのかは、まだ本人達にも分からなかった。
「じゃ、次は金曜日に」
「うん...またなー」
軽くゾロの頬にキスをしたサンジは、ゾロが玄関を出て、自転車に乗り、そして角を曲がり切るまで見送った。
そっちは遠回りになるんじゃねぇ？ま、いいか...。
サンジは込み上げる笑いを抑えつつ、玄関のドアを閉めた。
fin.
■ついにここまで来ました！サンジの頑張りもさることながら、ついて来れてるゾロも凄いなと。彼、まだ中学生なんですよね〜。だからまだ、この程度で許してあげて下さい。ピアス3個の高校生編は、作者の気が向いたら、あるかも知れません...
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