Ｄｅｂｕｔ

　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***





サンジの舌がゾロの口内で動いている。それがゾロの舌先に触れる度、ゾロは小さく反応する。いつもの冷静沈着なゾロではなく、息は乱れ、まるで余裕がない。その様子にサンジは軽い興奮を覚える。

「このままこうしていたいんだけど.....やっぱり」
「.....なら、始めろ」
「え....？」
「俺は.....こうしてるから」

サンジの背後から手を伸ばし身体をまさぐりつつ、唇で頬や耳、首筋を撫でていく。

「....やめっ...こんなの...集中できねぇ.....」
「集中しろ」
「無茶言うなっ.....くっ」

耳たぶを舐めながら、ゾロはサンジの下腹部へと手を伸ばす。もう既に硬くなっているその部分に手を載せ、ゆっくりと撫で回す。

「まだ何もしねぇから....その野菜、終わらせろ」

サンジの目の前の調理台の上には、洗い終えた野菜が並んでいる。手でちぎればいい物もあるが、それを除けば包丁で切らなければならない。

「本当に、何もすんなよ？」
「あぁ.....怪我したら大変だからな。何もしねぇ」

何とか作業に集中しようとするサンジ。包丁で切るのが終わると、ホッと一息。後は手でちぎる物だけ。

「あっ.....」

ゾロの手はサンジに触れてはいるが、直接でもないし、手を動かしてもいない。しかし、ずっとそこにゾロの手があったというだけで、ものすごく敏感になっていた。

作業はまだ続いているが、サンジは無意識に腰を動かし、ゾロの手の刺激を得ようとする。さらに敏感になり感度が上がる。

「おい、足元が危なっかしい」
「大丈夫、ゾロが居るから」

ゾロはサンジの身体をしっかりと支えた。

とりあえず作業を済ませたサンジは、手早く調理道具を片付けた。野菜をボールに入れてテーブルに運んだ。そこには、すでに何品か料理が並んでいる。

「へぇ...ワインか」

サンジは一人では飲まないが、ゾロがいつ来てもいいように、辛口のワインを用意していた。クーラーの中でほどよく冷えているようだ。

サンジは、ゾロの視線がテーブルの方にばかり注がれている事に気付く。手は相変わらずサンジの身体をまさぐり続けていると言うのに。

「ゾロ.....？」
「.....おし、食うか」
「え？」
「旨そうだ」

ついさっきまで、食べる事よりサンジを優先するような事を言っていたゾロ。それならば、食べる前に軽く1回.....と、その気になっていたサンジ。訳が分からずサンジはゾロの顔を窺う。

ゾロはチラリとサンジの方へ視線を寄こした。口元が一瞬笑ったように見えた。その涼しげな様子に、サンジは悔しそうな顔をする。

(やられた！)

文句を言おうと再びゾロの方を見たが、ぱくぱくと食べ進む様子を見ていると、何だか言葉が引っ込んでしまった。はぁ、と溜息をつくと、サンジも諦めて、ワインをグラスに注ぎ、料理を口に運んだ。一口食べると急激に空腹感が襲ってくる。

(やっぱり....先に食べておくか)

ゾロに負けじと、サンジも次々に食べていく。その間、二人は殆ど喋らなかった。




食後も休む間も無く、テーブルを片付ける二人。ゾロが食器を洗い始めると、サンジは自分がやるからと手を出した。

「ゾロ、俺が」
「いや、俺がやる....お前は拭く方をやれ」
「でも...」
「いいから」
「.....じゃ、そうする」
「たまには手を休ませてやれ」
「え？」
「人に見られる仕事なんだから」
「.....うん....ありがと」

本当は、別の理由もあっただろう。しかしそれを素直に言うゾロではなかった。

すっかり片付き、キッチンを離れようとしたサンジに、またゾロが身体を寄せてきた。

「ゾロ.....お前、もしかして...」
「ん？」
「こういう場所の方が.....」
「.....そうかも知れねぇな」
「なんか古典的っつーか.....」
「冗談だ、いちいち真に受けんな」
「本当に？」
「あぁ.....俺はな、場所なんてどこでもいいんだ」
「.....そ、そうなのか？」
「......相手が....お前なら」

これも冗談か？とサンジは訊こうとしたが、背後から抱きすくめられ耳を舐められると、言葉が出なくなった。サンジと二人になると、普段無口なゾロがよく喋ってくれる。だが、本気なのか冗談なのか、計算して言ってるのか天然なのか.....サンジにはまだまだ分からなかった。



BACK←←　　→→NEXT

---

....。





Parallel MENU

NOVEL MENU


TOP