Ｄｅｂｕｔ
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
「ゾロ、悪ぃな.....また俺の方が惚れちまったみてぇだ」
「......何で謝る」
「お互い、おんなじくらいってのが.....いいかなって思ってたからな」
「いや、同じじゃなくてもいい.....」
「そうなのか？」
「......まずは自分が惚れてねぇと.....」
「ん....」
「ん？」
「もういいよ....くすぐってぇから顔上げろよ」
何度もゾロの吐息がかかり、すっかりサンジの身体は敏感になっていた。顔を上げたゾロに、サンジは再び口付けた。
「ん.....っ」
「......」
「ん...ゾロ」
「....？」
自分から仕掛けた割には、ゾロの舌の動きにすっかり翻弄されてしまった。サンジはゾロから顔を離し、呼吸を確保した。
「何か当たってる......ケツんとこ」
「何かって？」
「おめぇのコレ.....」
そう言いながらサンジは、背後へ手をやる。
「すげぇ硬い」
「.....」
「やりてぇのか？」
「......あぁ」
「俺を、か？」
「........そんな顔してるヤツには手は出せねぇ」
「そ、そんな顔って.....？」
ゾロの顔が近付いてきた。軽く唇だけが触れるキスに、サンジは焦れる。切ない気持ちが勝手に盛り上がる。
「マネージャーがタレントに手を出すのはご法度だ」
「なっ.....俺たちは違うだろっ.....ちゃんと....」
「......付き合ってる、って言えるのか？対外的に」
「.....だったら俺も....」
「ん？」
「対等じゃねぇ関係は嫌だ」
「そんなにこだわるな」
「こだわってねぇけど.....いいのか？お前はそれで」
「自然に任せる。問題が出てきたら、その時考える」
サンジは、自分がゾロを抱いた事に、心のどこかで少し不安を感じていた。あれは仕方無く、だったのではないか？と。このままでは自分を対等な目で見てくれないのではないか？と。
この先も崩れない関係を構築する為には、自分も身体を投げ出すべきだと。しかし、今それは違っていたのだと気付く。
「今のままでいいんだな....ゾロ」
「とりあえず、な」
「.....すげぇ悔しい」
「何？」
「今日だけで、2回も惚れた」
「......」
つまんねぇ事言うな、とゾロはサンジに軽い頭突きを食らわせた。そしてそのまま唇を重ねた。舌がサンジの口内を蹂躙し始めると、サンジはうっとりとした表情で、応じていく。
「......ゾロ....」
「.....好きだ」
ゾロのその言葉に、サンジは思わず抱きついた。そしてそのまま強く抱き締めた。
「あっ......ゾ....ロ」
「ぐぁっ....」
「悪ぃ...俺、も.....」
「ぐっ......」
1回ずつ互いを絶頂へ導いて、バスルームを後にした二人。しかし熱が鎮まる事は無く、ベッドの上で再び触れあい、高めあい、貪りあった。サンジは膝にゾロを乗せ、下から突き上げた。ゾロも上手く力を逃がしつつ、サンジの手の中に自身の熱を解き放った。
真正面からゾロを見つめるサンジ。ゾロは荒い息をしながら、身体の内側でサンジが激しく震えているのを感じていた。
＊＊＊＊
全てのスケジュールを消化し、いよいよ明日、この地を発つ。スタッフ達は、とてもいい仕事ができたと喜んでいた。今日収録したフリートークは、メイキングDVDと共に写真集に付けて、限定版として販売される。
「こんなに豪華にしたって、売れなきゃしょうがねぇよな」
「売れるさ」
あ、と電話の着信を示すライトの点滅に気付いたゾロは、携帯を取り出した。
「......はい？」
恐らく相手は社長だろう。
「........え？まさか......本当ですか？」
サンジはゾロの口元から順に顔を見つめた。ゾロの眉間に皺が寄り始めたのが分かった。しばらく黙って話を聞いていた。
「3日後.....ですか。はい、そうします........はい、分かりました」
空港到着ロビー。少し疲れた顔のサンジと、疲れているのかいないのか、表情の変わらないゾロが並んで歩いている。
『撮影は如何でしたか？』『何かお二人に進展は？』『どんな写真集になりそうですか？』
勿論それらの質問に答えるつもりは無いので、ごく軽い会釈だけでその場を通り過ぎる。
また、今日から、現実に引き戻される。サンジは少々うんざりしながらも、マスコミ攻勢から守るように歩いてくれているゾロの方を、チラリと見た。
"Debut" Part.1 終
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色んな意味で、二人が一仕事終えたところで。Part1終了となりました。ここまでお付き合い下さった皆様、ありがとうございました。また近々Part2でお目にかかれる日まで。
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