〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「サンジくん」
「何か疲れてんじゃねぇ？紅茶でも？」
「そうね、お願い」

味の分からない野郎共に飲ませるのは勿体ないと、こっそり隠しておいた上等な茶葉を出してきた。鼻歌混じりにポットで蒸らしていると、ナミが下りてきた。

「また幾つか美味しそうなのがついてたわ」
「ん？」
「いつも、みかんを守ってくれて...ありがと」
「ナミさんの大切な物は、俺にとっても大切だからね」

サンジは二人分のカップをカウンターテーブルに置くと、ゆっくりとポットから紅茶を注いだ。ふんわりと高貴な香りが漂ってくる。

「どうぞ」
「いただきまーす」

太い柱にもたれかかっていたナミが、カウンターの前までやってきて、サンジからカップを受け取った。充分に香りを堪能してから、ゆっくりと飲み始める。

「.....美味しい」
「だろ？」
「.....これ、すごくいいやつね」
「さっすが、ナミさん」

あぁ、このまま時間が止まればいいのに....とサンジは顔がにやけそうになるのを必死で堪え、この紅茶を店でみつけた時、必死に値段交渉して買った話をした。

「本当美味しかったわ。サンジくん、ご馳走様」
「どういたしまして」

ナミが首の後ろを拳でトントン叩きながら、首を傾ける。カウンターの向こうへまわったサンジが、カップを下げながら話しかけた。

「どうしたの？肩、揉んであげようか？」

時々「足が疲れた」だの「腕がだるい」だのとナミからはマッサージを頼まれる。自称、ナミ限定「恋の奴隷」なのだから、何だって厭わない。

「そう？お願いできる？」


ナミはダイニングテーブルの席へと移動した。肩にかかる髪を左右に振り分けると、肩甲骨の形がくっきりと現れた。

「あ、肩に載せるタオル取ってくるよ」
「いいわ、直接でも」
「でも俺、指先ちょっと荒れてるし」
「あらそう？ちょっと見せて」

ナミがサンジの手を取り、まじまじと見る。手の平を撫でると指先に軽く唇を付けた。

「これくらいなら大丈夫よ。このままでお願い」

一瞬固まったサンジは、ナミが口付けたその指先を凝視した。そしてその指を、自分の口へと近づけようとした。

「サンジくん？早くしてくれないかしら？」
「あっ....はいっ....ただいまっ」

くすっと笑いながら、ナミは「このあたり」と肩の凝っている部分を指差した。サンジの手の平がゆっくりと解していく。その後は親指でツボを押していく。ごりごりと硬い部分を見つけると、丁寧に押してやる。

「うっ....」
「痛い？」
「いっ...たいけど....効く....」
「もう少し弱い方がいいかな」
「いったぁ....でもいい....続けて」

かなり凝っているようだ。

「ナミさん、書き物、あんまり根をつめないように」
「分かってるんだけど....ついつい、ね」
「だいぶ解れたとは思うけど....一度にやらない方がいいよ。また、明日してあげる」
「ねぇ、背中もやってもらえないかしら？」
「あ....いいけど....」
「じゃ、お願い」



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サンジ、本当ナミには優しいね。そしていい雰囲気です...今は。





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