〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「ちょっ....サンジくんっ！」

ナミがサンジの身体を突き放した。不意を突かれたサンジは思わず後ろへよろけてしまった。

「ナミ....さん？」
「やだ....ご、ごめんなさい」

最後は消え入りそうな声。また、ナミが恥ずかしそうに目線を下げた。少しずらしぎみの視線は、サンジの下半身に注がれていた。

「わっ....いや、そ...そのっ....これは....」
「......」

(あああっ....ナミさんに見られた....っ)

「サンジ...くん...大丈夫？」
「えっ？」
「そんな風に.....なっちゃって」
「い...いやぁ....こんなの放っておいたら....そのうち収まるから」
「そう？なら....いいんだけど....私、よく分からなくて」
「いいって。レディには分からなくて普通だよ...ははっ」

起き上がろうと、ソファから身体を起こしたナミ。キャミソールがぱらりと肌蹴て、白い胸が再び露になった。

「いやーっ」
「ナミさんっ....あー俺見てないからっ！あっち向いてるから....前、留めて」
「う....うん」

もうサンジの心臓は潰れそうだった。喉もカラカラで目の前もチカチカしてきていた。

「もう、いいわよ」

ナミが手を伸ばして、サンジに隣に座るよう促した。

「さっきは、ごめんなさい。もう一度やり直してくれる？」
「何....を？」
「もう、バカ」

サンジの首に両腕を回し、ナミから口付けてきた。何度も何度も角度を変え、最後には舌まで入ってきた。

「今日は特別だからね」
「.........」
「じゃ、私....そろそろ行くわね。シャワー浴びてくる。また明日ね、サンジくん」
「....おやすみ...ナミ、さん...」
「おやすみなさい」


それから数分間、サンジはぼんやりとしたままソファに座っていた。やっぱり夢を見ていたのだろうか？

(ナミさんが....こんなの、嘘だ)

でも、確かにサンジはナミの素肌に触れ、あの白い胸に触れ....。唇の感触が蘇ると、身体の芯が熱くなってきた。

(俺、サイテーだ....)

態度には出さなかったが、きっと軽蔑したに違いない。サンジは酷く落ち込んだ。



気を取り直し、サンジは水切り籠にあるカップを拭き、食器棚へ片付けた。後で風呂に入ってさっぱりすれば、気分も晴れるだろう。くよくよしたって仕方のない事だ。
ふと、さっきのナミの言葉を思い出した。あれからシャワーを浴びると言っていたから、もう終わっている頃だろうか。

シャワーの湯の向こうに見える、ナミの白い裸体。バスルームの中には、いつの間にかサンジの姿もあった。二人で身体を洗い、抱き合っている。そして.......

「うわぁぁっ」

サンジは頭をぶんぶんと振った。また、思考が勝手な暴走を始めたらしい。

(あぁ...俺、どうなっちまったんだよ)

しっかりしろ、俺。サンジは自分の頭をバシバシ叩くと、キッチンを後にした。


＊＊＊＊＊＊＊＊


ナミはシャワーを終えると、女部屋へと向かった。まだ、何となく眠りたくなくて、移動途中にある測量室の外のバルコニーに出た。

一方、サンジがバスルームへと向かっていた。何とも頼りなげな足取りだ。ナミが窓から覗いている事には全く気付かないサンジは、測量室から更衣室へと上っていった。
ナミは、寝る前に読む本を見繕うため、中へ入り本棚を調べ始めた。ロビンほどではないにしろ、ナミの蔵書もなかなかのものだ。

「どれにしようかな」

そう独り言を口にしつつ、気配に気付く。ナミは振り返ることもなく、背後へ向けて声をかけた。



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あぁ、サンジ...。心臓の音がこっちにまで聞こえてきそうです....。





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