〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




ゾロが力ずくでナミをこのまま押さえ込んでしまえば、それは容易い事だった。しかし「一瞬の迷い」「心の緩み」といった言葉が命取りになる事もまた、彼はよく知っていた。ここで勢いに負けたら、ナミにまた弱みを握られてしまうだろう。

「ちょっと上行って、出してくる」
「駄目」

ナミは平静を装っている。ゾロの限界まで張り詰めたモノを指差して言った。

「ここでイキなさい」
「なっ....」
「私の見ている前で、よ」
「するかよ、そんな事」
「それに....」

ナミは少し遠くへ向けたような声で言った。

「コソコソ見てないで出てらっしゃい」
「.....」

部屋の中を、ゆっくり歩いて近付いてきたのは....

「コック」
「....」
「私に何か用があったんでしょう？」
「.....」
「もしかして....私の身体、心配してくれてたの？」
「....ナミ...さん」
「どんな事、私にしてくれるつもりだったの？」
「おい、ナミ....」
「酷ぇや....」

ゾロが相手だという事は、勿論ショックなのだが、好き合っているのなら、それはそれで仕方のない話だ。サンジにしてみれば、ムカつくけれど、ナミが幸せならば黙って引き下がる。

しかしこの二人には愛なんて無い。こんな関係になっている理由が、有り得ないにも程がある！

(俺の知っているナミさんは....違う。別人だ....きっと何かオカシな術にでもかかっているんだ....そうだそうに違いねぇ！)

何年でもかかって、自分を分かってもらって、気持ちを通い合わせたかった。万が一の確率かも知れなくても。

「やだ、サンジくん....」

ちょっとだけ、罪悪感が湧いてくる。

「クソがっ...こんな時に」

悲しくて、辛くて。それ以外にも頭で到底処理しきれない程の衝撃や興奮で、心臓はバクバクし、呼吸は乱れ....下半身までも熱くなってきている。

「サンジくん...お詫び...とはちょっと違うかも知れないけど....私がシテあげるわ」

ナミがサンジに近付き、その熱い部分に手を伸ばした。ゆっくり撫でて、軽く握りこんだ。

「ナミ...さん...」

サンジは涙目だった。もうどうでもいい。ナミに似たこの女が、シテくれると言うなら、シテもらえばいいじゃないか...と。

「おい、やめとけ」

いつの間にかゾロが近くに居た。ナミをサンジから引き離した。

「これ以上コイツを傷つけんな」
「マリモ.....？」
「どういうつもり？」
「こんな酷ぇ現場見せられても、お前に対して怒る事も、罵る事もできねぇ....きっと何が起こっても、たった一人、最後までお前の味方でいるだろうよ。俺だったら、到底我慢ならねぇがな」
「......」
「....いいんだ、マリモ。慰めは要らねぇよ」
「誰がてめェなんか慰めるか。ま、気の毒には思うけどな」
「同情なんて...尚更要らねぇってんだ」
「とにかくナミ....もう終わりにしろ。それから....」
「....へぇっ？お、おいっ.....」
「コイツに中途半端なちょっかいかけるのも、やめろ」
「おいコラ...どこへ連れてく気だ！」
「こっちだ...つべこべ言わずに来やがれ！」

ゾロは自分が脱いだ物を手早く拾い、さらにサンジの腕を掴んで梯子を上っていく。



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サンジ....辛すぎる。ゾロ....いったい....？





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