〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




「おい、暴れてっと落っこちるぞ」
「離しやがれ！」
「.....」
「.....逃げねぇからさ」

(...って言うより、丁度見上げた先にマリモのケツもチンコも丸見えなんだけど....)

全く動じる事も無い様子のゾロに、呆れるやら感心するやら。しかし、何ともゾロらしい。

二人だけで、男同士で、話を聞いてくれると言うのか？サンジは思った。ムカつく野郎だが、こういう時の相手はやっぱりコイツが頼りになりそうだ。それは認める。口も堅いし...確かに信頼はできる男だ。



梯子を上りきり、更衣室に入ると、ゾロは手に持っている物を籠の中に放り込んだ。

「おめぇも入ってこい」

そう言いながら浴室へのドアを押し開けた。

「おいっ....」
「座って話ができるだろ...ゆっくりと」
「.....」

ゾロの言う通りだ。

「分かった....」

サンジは衣服を脱いだ。タオルを腰に巻き、ドアをゆっくりと押した。その先ではゾロが浴槽の縁に座り、自分の隣を指差している。

「........まぁ座れ」
「.......」
「.........」
「......」
「...」
「...」
「コック」「マリモ」
「何だ」
「お...おめぇこそ」
「色々...言いてぇ事、あんだろ」
「...そりゃ....あるけど」
「だったら言え」
「....何だかあり過ぎて、訳わかんねぇんだよ」
「....まぁ、そりゃそうだろ」
「希望としては...さっき見た事は、夢か幻か...俺の見間違いだったらいいと思うけど....」
「その希望、叶うといいな」
「...ありがとうよ」
「......」
「....ううっ....」
「.....あのな」
「ん？」
「後で忘れてやるから、ここで泣け」
「？」

ゾロがサンジの肩を引き寄せた。一瞬サンジの身体が強張った。

「なっ....何のつもりだっ」
「だから....ここで泣けっつってんだろ」
「おめぇ、誰がこんな....」

ゾロはさらに力を込めて、サンジを抱き寄せた。

「硬くて平らで悪ぃが....何にもねぇよりマシだろ」

その言葉通り、ゾロの分厚く硬い胸の中に、サンジは居た。

(けっ....何だってよりによってこんなっ)

ゴツくて男臭ぇとこに居たら、涙も引っ込むってもんだ....。サンジは何とか離れようとした。と、その時サンジの頭に何か載ってきた。

それは.....ゾロの手。

ゾロの大きくて温かい手が、サンジの頭を撫でている。

払いのけたい筈なのに、できなかった。

一度引っ込みかけた涙が、どんどん溢れてきた。

(今、顔、上げらんねぇ)

手櫛で髪を梳きながら、ずっと撫でてくれているその手が、サンジの頬にまで下りてきた。

「あ...やめっ....」
「もっと....いくらでも泣け」
「っ......」
「ここでの事は、全部忘れるから....安心しろ」
「....何でだ？」
「ん？」
「....こんなに」

(こんなに.....優しくしてくれる？)

「何だ？」
「...いや...何でもねぇ」
「....ちょっとは落ち着いてきたか？」
「.....あぁ」

広くて厚い胸に身体を預け、大きな手で頭を撫でられ、今まで経験した事のない、安心感に包まれる。

(これって....どういうことだ？)

細かい事を考えるのは、しばらくの間やめにしよう。サンジはそう思い、ゾロの背中に腕を回した。



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ゾロがすごくイイ人に見える。





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