〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




「今日も、泣いていいぞ」

昨日と今日くらいは、それも許されるだろう。

「....っ、バカか、泣くかよ....つかテメっ...」

昨晩の事は封印してくれてるものだと思っていたのに、突然そんな事を言われ、サンジは狼狽する。

「....まだ、出し切ってねぇだろ...辛ぇんじゃねぇのか？」
「俺はもう回復してる。名医の見立てに間違いねぇよ。それよりてめェだろ。自分の事誤魔化そうとして、俺の事ばっか言ってんじゃねぇ」
「だから、俺は.....」
「涼しい顔してりゃ、バレねぇとでも思ってんのかよ？」
「何....」
「身体に受けた傷ならな、おめぇの得意な"食って寝てりゃ治る"でいいかも知れねぇけどな」
「......」
「少なくとも、俺と同じくらい傷ついてる」

サンジは、ゾロににじり寄りながら続けた。

「気付けよ...いや本当は分かってんだろ」
「何の事だ」
「俺が気になって仕方ねぇんだろうが」
「....あァ？」
「俺が....」
「.....」
「...昨日の事ひきずってっと....見てらんねぇんだろ」
「....ったく」
「ん？」
「心配されんのが嫌だってんなら、さっさと元に戻りやがれ」
「...何も嫌とは言ってねぇだろ」
「こっちも好き好んでこんな事....」
「.....落ち着くって言ってたじゃねぇか。俺が楽でいれるんなら、それでいい...だから....」
「.....それ....は」
「だから、傍にいろ....って」
「.....」
「それとも、口から出任せだったのか？」
「違うっ....あ、いや...そうじゃねぇ」

サンジは、昨晩の事から少し時間も経って思考がまとまってきた。気が動転していた時には素通りしていた事も、今となっては冷静に判断できる。

「やっとまともに会話できたと思ったのに」
「.....？」
「別に喧嘩してぇ訳じゃねぇし」

(まぁ、俺がふっかけてた事が多いのは確かだが)

サンジは深い溜息をつき、さらに続ける。

「心配されるのは嫌じゃねぇ....むしろ」
「.....」
「嬉しい」
「....」
「あ....昨日俺、ちょっと舞い上がってたのかも知れねぇ、よく覚えてねぇんだけど....多分、こんな事したよな？」
「え？」

すぐ傍までゾロに接近していたサンジの顔。さらに近付き、唇が触れ合った。ゾロは少し後ずさったが、サンジの腕がゾロの身体を引き戻した。

「逃がさねぇ」

ほんの軽い触れ合いでは足りず、サンジは唇を強く押し付けた。ゾロが顔を背けようとするがサンジは許さない。

「離せっ」

ゾロは何とか身体を突き放した。サンジはそれでも諦める様子は無い。

「昨日の時は、そこまで嫌がらなかったじゃねぇか」
「あっ、あの時は....」

ゾロもだんだんと思い出してきた。サンジの2度目の放出を見て煽られ、熱の篭った自身を"何とかしろ"と、サンジに言った事を。そしてその時、サンジにキスをされながら手でされた事を。

確かに拒絶はしなかった。むしろ、心地よかった。

それより、事情が事情だったとは言え、自分から始めたとは言え、ゾロは今居るこの場所での昨晩の行為を改めて思い出し、今さらではあるが、居心地が悪くなってきていた。

「昨日は、別の行為に夢中だったから....キスくらい、どうって事無かったって言うのか？」
「....あのな」
「俺な.....あの時のてめェの顔....すげぇソソられたぜ？」
「てめっ、そういう事....」
「それにあの声だって...」
「言うなっつってんだろ」
「ま、お互い様だけどさ」

サンジは抵抗が緩んできたゾロの身体をもう一度引き寄せた。

「あーあ、すっかり冷えてんじゃねぇか....」

しっかり身体を抱え、ゾロの肩が湯に浸かるよう一緒に身を低くした。そのまま顔を近づけた。

ゾロもそれに惰性で応える。



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やっぱり、進みません....。ちょっと、ゾロ押され気味？





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