〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




サンジはそのまま髪を洗い終えるとシャワーで流した。ぴたぴたとタイルの上を歩く足音が近付いてくる。

(....マリモ？)

その足音がサンジのすぐ傍で止んだ。サンジは髪をすすぎ終え、タオルで拭きながら、薄目を開けた。足だけが見えた。やはりゾロだった。

「またてめェか」
「悪かったな」
「悪かねぇけど....」

頭にタオルを載せたまま、サンジは顔を上げた。サンジは座っていて、その前にゾロが立っているので、結果視界に飛び込んできたのは丁度ゾロの下腹部辺り。

ここで慌てたり目を逸らしたりするのも変なので、サンジは努めて平静を装う。勿論自分のモノも隠さない。

「なかなか一人でゆっくりできる時ってねぇだろ？この広い処で贅沢に過ごしてみたい訳よ」
「仕事の合間に甲板でタバコ吸うのだって、おんなじだろ」
「....完全に一人じゃねぇし」
「そんなに一人になりてぇのか.....」
「まぁ、毎日は無理なのは分かってるさ....たまには、って事」
「じゃ、明日からは時間ずらすから...今日は我慢しろ」
「......あ、いや別に....ココは俺だけの場所じゃねぇし.....そこまで強制する事はできねぇ....そんな権利もねぇ」
「何だ、それじゃぁ一緒に居ていいのか？どっちだ？」
「.....べ、別に、構わねぇ」
「つまり、どっちでもいいって事か」
「.....どうしたんだよ、マリモ」
「どうもしねぇ」
「俺の言葉尻ばっか....何か怒ってんのか？」
「怒ってねぇ」
「機嫌、悪い？」
「別に、普段通りだ」
「普段のおめぇが機嫌いいかどうかなんて分かんねぇよ」
「分からなくて構わねぇ」
「......マリモ？」
「あァ？」

何だか話がうまく噛み合わない。発展もしない。

「ま、こういうのは毎日二人で喋ってれば、自然と解消できるだろう？」
「.....？」
「明日からも、時間気にするこたぁねぇよ」
「....」
「一緒になったらなったで....ココの風呂は広いんだし」

ゾロは話を聞いているのかいないのか、相槌も打たずに身体を洗っている。

「コック、おめぇ昨日はあの後どうしたんだ？」
「あの後.....？」
「俺が風呂出た後だ。またおっ勃ててただろ」
「.....な、何だよ、そんなの関係ねぇだろ」
「一人になってから、自分で抜かなかったのか」
「ンな事すっかよ！てめ、何急に変な事....っ」
「.....そうそう俺が面倒見らんねぇぜ？」
「はっ？」
「あんまり溜めんなよ....身体に悪ぃ」
「....おめぇが心配する事じゃねぇ！」
「俺の手の方がイイって言ってたじゃねぇか」
「.....」

確かに言った。サンジは自分の言葉を思い出して顔が熱くなってくるのを感じた。

「俺の背中も気に入ったらしいしな」
「....おめぇ...イチイチ人の言葉覚えてなくてもいいっ」
「あんな状態で言われたら....嫌でも覚えちまうだろ」
「....え？」
「.....」

髪を洗い終え、頭にタオルを置いてごしごし拭きながら、ゾロはそっぽを向いている。

"あんな状態"....ゾロはあの時はまだ、幾分か身体に熱が残っていただろう。しかし、それを振り払うように、気合を入れて一人で出て行った。

サンジは何だか、"ちょっと惜しい事をした"ような気分になった。




ゾロが浴槽に手を入れ温度をみるような素振りをした。

「いい湯加減だ」

それはまるで"一緒に浸かろう"と誘っているようだった。しかしサンジの方を見るでもなく、ゾロは湯船に身を沈めた。息をやや長めに吐きながら、首を左右に曲げたり、足を伸ばしたりしている。

表情を見ていると、ゾロがかなり風呂好きなのが分かる。



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気が付くとまた二人は一緒...





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