〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




「ナミ、どうしたんだ？」
「あぁ、チョッパー。私、何だかイヤリング落としちゃったみたいなの。お風呂に入る前に外せば良かったんだけどね。片方だけ落ちちゃって...お風呂場のどこかで流れちゃったのかも」
「俺、見てきてやろうか？」
「あ、そうね.....お願いできる？」

さきほどサンジが、そしてその後にゾロも大浴場へ向かったのは知っている。

「何だ、チョッパー？」
「ウソップ、俺、ちょっと風呂場行ってくる！ナミが落とし物したかも知れないんだ」
「落し物って？」
「ええっと....」

チョッパーがうまく答えられずに居ると、ナミが片方残っている方のイヤリングを二人に見せた。

「これなんだけど、見当たらなかったら、探さなくてもいいから！流れちゃってる可能性の方が高いし」
「じゃ、俺も一緒に見てくるよ。あ、この本後で部屋に持って帰る分だから、ここに置いとくな」
「うん。ゴメンね....ありがと」

ウソップとチョッパーは上階への梯子を上っていった。そこにある更衣室から浴室の方まで、床と他に小さな物がひっかかりそうな場所を見回す。

「ここには無ぇみてぇだな」
「ナミの匂い....しねぇな....あ、これは」
「ん？何か見つけたか？」
「くんくん....ゾロの匂い...こっちはサンジの匂い」
「あ、今二人が入ってるのか....へぇ、何だかんだ言って、風呂は一緒に入るんだな。あんなに喧嘩してるクセに」
「おう！ナミが言ってたぞ！ゾロとサンジは、喧嘩するほど仲がいいんだって！」
「いやぁ、それは違う意味で言ったんだと思うが....まぁいっか」
「この中も調べた方がいいよな？ウソップ」
「あ、そうだな....ちょっとアイツらが居るから手早くしねぇと」

そう言っている間に、チョッパーはトコトコと歩き、浴室の扉の前に立った。ウソップが中に向かって声をかける。

「おーい！ちょっとココ開けるぞ！ナミが落し物したらしいんだ。邪魔して悪ぃけど、探させてくれ！」

そう言いながら、扉の取っ手に手をかけ押し開けた。少し霞んだ室内の見通しがだんだん良くなってくると、ウソップがタイルの床を見渡す。

「排水口って一箇所だったっけ....」

チョッパーは、先ほど見せられたイヤリングの大きさを思い出しながら、ナミの匂いを探す。しかし鼻がうまく利かない。

「何の匂いだ、コレ...さっきナミとロビンの身体からもこの匂いがしてたぞ」
「チョッパー、これはきっと入浴剤だ。ほら、湯船から匂いがするじゃねぇか....だよな？」

ウソップは床から視線を上げて、浴槽内にいる二人に確認するように話しかけた。

「だよな.......」

ウソップの言葉はそこで途切れた。


＊＊＊＊＊＊＊＊


サンジは自分の身体の変化に驚き、でも取り繕う事もできずにいるうちに、ゾロが接近してきた。

「俺の手、忘れられねぇか？」

そんな訳あるかと言い返そうと思うも、頭がぼんやりしてきて言葉にならない。接近してくるゾロの顔には、何か企んでいるような、面白がっているような、不敵な笑みが浮かんでいる。

「いっ.....！」

止めろと言いたかった筈が、またしても言えず、ゾロの手の接触を許してしまった。そして昨日の記憶とリンクしていく。今起こっている事は昨日の続き。ゾロの手がサンジの快感を引き出している。そして何の抵抗も無く、サンジはその行為を受け止めている。

ゾロもまたその自分の左手に残る記憶に引きずられるまま、行為を続けた。
まるで、そうしなければいけないかのように。


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