〜小悪魔の館〜
オレンジの風に吹かれて
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
まだ日が沈むまでには時間がある。高い窓から入り込む光のせいで、湯気がこもった室内は幻想的な雰囲気を醸し出していた。その雰囲気を味わおうとゆっくり深く息を吸うサンジ。しかしゾロはさっさと身体を洗い、頭からシャワーをかぶっている。こんな時でさえ、必要最小限の事しかしない。
サンジも全身を洗い終えると、すでに湯船にはゾロが入っていた。目を閉じ、まるで瞑想でもしているかのようだった。サンジも浴槽に足を入れ、静かにその隣に腰を下ろす。
「.........」
「........」
「...」
「...」
「ちょっと熱めだな、ここは」
「いや、丁度いい」
ゾロに合わせて浸かっていたら、倒れるかも知れない。サンジは頭が少しぼうっとしてきた。汗もじわじわと吹き出ては顔を流れ落ちる。
「熱いなら無理すんな....先出てろ」
「お、おう....」
立ち上がりかけると、やはりのぼせているのか頭がふらふらした。一瞬上下左右の感覚が失われる。
バシャッ！
「ったく....だから言っただろうが」
ゾロに身体を抱えられている。サンジは自分が眩暈を起こして倒れたのだと気付いた。
「水で顔洗って、身体拭いたら静かに座ってろ」
「.....悪ぃ」
サンジが休んでいる間にゾロも湯船から出て水で顔や手足を洗う。
「出るぞ」
そう短く言うと、ゾロはサンジの腕を取りバスルームを出た。
「うぉっ、顔ツルツルだ....何か入ってたのか？あの風呂の湯」
サンジは鏡を見ながら喜んでいる。じっくり汗を出した事で肌が綺麗になったのだろう。
「おめぇは？」
そう言いながらゾロの方を見た。あまり興味がなさそうな顔をしている。サンジはゾロに至近距離まで詰め寄り、顔をまじまじと見る。
「何だ？」
「....元々綺麗な肌してんなって思ってたけど....やっぱり汗かくのがいいんだろうな」
思わずゾロの顔に手を伸ばすサンジ。手触りもつるんとして気持ちがいい。それを避ける事はしないものの、ゾロはサンジの方を見ようとしない。
「水、飲みたいんだが」
「俺が飲ませてやろうか？」
サンジは今飲もうと手にしていた水のボトルに直に口を付け、一口含むとゾロの顔に再び近付いた。
相手はゾロだ。
殴られるか、怒鳴られるか、無視されるか。
サンジが酔っ払ってでもいれば、多めに見てくれるかも知れないが、完全素面なのは明らか。冗談のタイミングを間違ったか.....とサンジは少し後悔した。
ゾロの眉間に皺が寄せられた。間違いなく機嫌は悪い方へと変化している。
「口ん中だとぬるくなんだろ....俺は冷てぇ水が欲しい」
「....」
「ま、でも折角だから.....ソレももらっとく」
怒ってなくて良かった、と気が逸れている時に、ゾロの手がサンジの顎を掴んで引き寄せた。唇がくっつくとサンジの閉じた口はゾロの舌でこじ開けられた。ゾロはそこから流れ込んでくる水を受け止めた。
ごく、と飲み込むと、雫が幾つかゾロの顎を伝っていった。ゾロが少しだけ顎を上げ、サンジの方を見る。雫は顎から喉の方へと流れていく。
「マリモ」
サンジはその雫を舌で取りながら、ゾロの顎から喉、そして胸元へと唇で辿っていった。
(うわ.....これって誘われてんのか？)
次は一体どうすれば....とサンジが思っていると、ゾロの少し低めの声がした。
「もういい」
「お、おう....」
サンジがゾロから離れると、最後に唇を付けた場所に薄っすらと吸い跡が付いていた。それだけなのに、やけに色っぽく見えてくる。
「メシ、まだかな....」
ゾロは壁にかかっている時計を見た。あと1時間くらいで呼びに来てくれる筈だ。入浴が意外と早く済んでしまったので、時間が余っている。
「まだ小一時間程....」
「じゃ、ちょっと寝るか」
ゾロはベッドにごろりと横になった。目を閉じてはいるが、神経は張り巡らされている。
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ゾロをどうにかしたいです。
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