〜小悪魔の館〜
オレンジの風に吹かれて
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
静かになったサンジにゾロが話しかける。
「コック、どうかしたか？」
「....あ、いや.....これがな」
「それ、何だった？」
「入浴剤みてぇなヤツだ.....こないだも風呂にコレが入ってた」
「.....あぁ、何か匂いがしてたな、確かに」
「それをまた使ってくれってさ」
「そっか、じゃ、明日朝風呂に入れてみっか」
「なっ.....朝？そ、それはマズイだろ」
「何で？」
「いや、それは、朝からリラックスしてたら何にもやる気がしなくなるだろ？」
「別に一日中って事もねぇだろ？しばらく部屋でゆっくりしてたらいいじゃねぇか」
確かに、その通りなのだが。
ただ、どれくらいの分量が適量なのか分からない。多すぎたらどうなるのか。第一、今目の前にあるこの液体に本当はどんな効果があるのかさえも分からない。
(本当に、ただの入浴剤かも知れねぇし.....)
ナミは何を意図しての事なのか。
とりあえず今日は風呂に入ってしまった事だし、明日まで確かめられないとなると、気になって仕方がない。そこでサンジはベッドサイドのオイルランプに、少しその液体を付けてみた。香りも結構いいから、それはそれでいいかも知れない。
まだ寝るには少し早いが、ここではサンジは後片付けも朝食の仕込みもしなくていいので、時間を持て余していた。
「本くらい持ってくりゃ良かったかな」
無いモンはしょうがねぇ....とサンジはベッドに横になる。ゾロもベッドの端に腰掛けている。
気のせいか、あの匂いがしてきたようだ。ランプの熱で温まってきたのだろうか。しかしサンジはリラックスどころか、逆に緊張してきた。
(俺.....おかしいのか？)
ゾロはどこから手に入れたのか、何かの空き瓶に水を詰めた物をダンベル代わりにしてトレーニング中。普段と変わった様子は無い。サンジは適当に寝転がっていたが、毛布をかけ直して寝る体勢に入った。
ゾロが瓶を床に下ろした。腕をぐるぐる回している。
「寝るか」
そう言うとベッドシーツと毛布の間に身体を滑り込ませた。空気が一瞬入り込みサンジの身体の近くが冷たく感じた。ゾロの腕がすっと伸びてきて、サンジの頭を撫でた。
「しっかり寝とけよ」
「へ？」
「おめぇいつもあんまり寝てねぇだろ」
「...いや、そうでもねぇよ」
「昼寝しねぇ分、しっかり寝ろ」
ゾロは目を閉じた。やがて寝息が聞こえてきた。
(いくら何でも寝付くの早過ぎだろ)
もうちょっと、何か話でもして....その後は成り行きで...などと考えていたサンジは拍子抜けしてしまった。緊張していた事も忘れ、何だかおかしくなってきた。ゾロの寝顔を間近に見て、最初は頭をそおっと撫でてみたが、やがてそれでは物足りなくなり、顔のあちこちを触ってみた。
(俺を退屈させるからいけねぇんだ)
肌の感触が気持ちよくて、止められなくなる。サンジの手に代わって唇で同じように撫でていった。顔のあちこちに軽くキスをしながら口元へ近付いていく。
(最後はここ....)
ゾロの唇にそっと重ねた。
「んっ」
サンジの後頭部をガシッと捕まえられた。
「んんーっ」
二人の唇が重なったまま、固定されている。だんだん苦しくなってくるサンジ。ゾロの肩を叩いて"離せ"と訴える。
「ぐはっ.....」
「フッ....」
「殺す気かっ.....んっ」
息継ぎができたかと思えば、また頭を引き寄せられた。
(今度は息ができる.....)
サンジの髪をゾロの手がゆっくりと撫でている。何度も繰り返され、いつ終わるとも知れなかった。
(おい....長ぇぞ.....)
そろそろ離れようと、サンジはベッドについた肘を伸ばしかけた。それを察したゾロが両手でサンジの顔を挟んだ。
「コック」
近すぎてゾロの表情がよく分からなかったが、その一言だけで全て伝わってくるようだった。サンジは離れる事ができず、微かに触れ合っているだけの唇を、再びそっと押し付けた。
ゾロの手がゆっくりと下りてくる。落ちてくるサンジの前髪を後ろへ向けて梳きながら、指先がうなじの辺りを撫でている。サンジはくすぐったくて思わず身を竦めた。
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早く始めろよ...
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