〜小悪魔の館〜
オレンジの風に吹かれて
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
互いの気持ちがこれで収まる訳もなく、それでもまだ、ほんの僅かな遠慮があるせいで、一目散にベッドへなだれ込むという事には至らなかった。どうせそうなるのだろうとは、分かってはいるものの、何となく言い出せずに居た。
サンジにしてみれば、今朝から激しくヤッたという後ろめたさもあり、ゾロの身体には多少なりとも負担をかけてしまったという事もある。後始末が終わってトイレから出てきたゾロの顔を見るのも、しばらくちょっと気が退けた。
そしてゾロはと言えば、今朝の事もあり、何となく積極的にベッドへ向かおうという気がしない。自分から行けば、何だか"また抱いてくれ"と言ってるような気もする。正直、あんな事はそうそうできるものではない。
そんな事をあれこれ思案して、次の行動へ移れない二人。
「....なぁ....」
「...ん？」
「座らねぇか？」
「あぁ....」
何とかベッドに並んで腰掛けるところまでこぎつけた。
「マリモ....」
「何だ」
「....朝のアレは....ちょっとヤリ過ぎだったかもな」
「何を今さら」
「だから....もう今は....とりあえずヤラねぇ」
「......そうか」
「今は...えと....」
「ん？」
「おめぇが好きにヤレ」
「ん？？？」
思いもよらない言葉がサンジの口から飛び出した。
ゾロはどう応えていいのか困ってしまう。確かに、今朝のアノ後、"次ヤル時は、絶対突っ込み倒してやる"と意気込んでいたのだが。その"次"がもう目の前にやって来たという事か。
「......いいのかよ？」
「お、おぅ」
「大丈夫か？」
「俺も....男だ。おめぇと同じだ」
「.....それは分かってるが」
「.....」
「.....でもなぁ」
「...何だ、何か不満か」
「....違ぇ、その、どうやったらいいのか分からん」
今朝の事は、記憶が曖昧で、何をされたのか細かい所が思い出せない。ただ、物凄く気持ちが昂っていて、少し胸が苦しくて、身体が熱かった事は覚えている。
「俺も....実を言うと」
「....何でだ？」
「.....やっぱりアレを風呂の湯に入れたからかな」
「アレは記憶も無くなるのか」
「....そうじゃなくて、記憶に残りにくいんじゃないかな。頭もぼうっとしたまんまだし」
少し考えているゾロ。そしてゆっくり話し出す。
「まぁいい....。その時が来れば出来るだろ」
「....諦めるのか？」
「少し延期するだけだ。いずれヤッてやるさ」
「....マリモ」
ゾロはサンジの身体を包み込んだ。少しだけサンジの身体が震えていた。
「.....まだ覚悟もねぇクセに」
「んな事ねぇ！俺をなめんな」
「急いだってしょうがねぇだろ....」
「そうやって、てめェは.....」
「ん？」
「.....俺を甘やかすなっ.....」
(守られるなんて、俺は嫌なんだよ....そのくらい分かれよ)
「そんなつもりはねぇが」
「....ま、しょうがねぇか。おめぇは俺に惚れてるからな」
「....」
サンジはぎゅっとゾロの首にしがみつく。チッと舌打ちしながら、ゾロもサンジの背中に手を回した。
「てめェも....俺に...」
「....ん？」
「....」
「......自信ねぇのか？」
「...い、いや、そうでもねぇが」
「うーん、俺結構アピールしたつもりだったけど」
「....あぁ」
「伝わってる？」
「....あぁ」
「じゃ、自信持てよ.....な？」
サンジの腕に力が入った。金色の髪をゾロの手の平が撫でた。それが心地よくてサンジは目を閉じる。
バタン、とベッドの上に二人で倒れた。サンジが目を開けると、ゾロに抱えられた格好のまま、横たわっている。
「.......マリモ？」
覗き込んだその顔は、もう今にも眠りに落ちそうに見えた。
「眠たかったんなら、そう言やぁいいのによ」
苦笑しながらサンジはゾロの腕から抜け出そうとした。しかしどうにも抜けられない。
「......行くな」
「べっ....別にどこにも行かねぇ....俺もちょっと寝るだけだ」
そう説明してもゾロの腕は緩まなかった。
「.....分かったよ」
(意外と...寂しがり屋...なのか？)
いつも独りでいるのを好む男が見せた一面。
その腕の中でゾロの高めの体温を感じながら、サンジの瞼も落ちていった。
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なかなか進まないように見えますが、二人の距離は確実に縮まってます
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