〜小悪魔の館〜

オレンジの風に吹かれて


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***




「ンなの一体誰が教えてくれるってんだよ」
「だって巧いから....」
「思いついたままヤッただけだ」
「ふーん」

ちょっと疑いの目を向けながら、サンジはゾロに近付く。

「俺以外にヤルなよ？」
「.....バカかてめェは」

---俺だけだって、言ってくれたら.....ちょっと嬉しかったのに。

まぁ、そんな事このマリモが言う訳ねぇか、とサンジは思う。

「何ニヤニヤしてんだ、エロコックが」
「あ？エロさで勝負か？そんなのおめぇに勝てる訳ねぇ」
「おめぇの方がエロい」
「おめぇだろ！」

(そんなの、どっちでもいいんだけどな)


＊＊＊＊＊＊＊＊


「忘れもん、ねぇか？」
「元々それほどの荷物は無い」
「じゃ、出るぞ」

サンジは受付で支払いを済ませ、従業員の女達に笑顔を振りまきながら、宿を出た。内心ではゾロが追加で頼んだ酒代が無駄だったな、と思っていたが、これは後で文句を言う事にした。

昨日に立ち寄った店に再び行き、今日の配達分の代金を支払うと、とりあえず外での仕事は終了。船に戻ればまた、大勢の分を賄わなければならない。サンジは早くキッチンで料理が作りたかった。そしてクルー達が美味しそうに食べる顔が見たい。

料理人としての仕事に対して、これからの旅に対して、気持ちは特に変わってはいないだろう。サンジは隣で歩いているゾロを見た。ゾロも特に何か変わったとは思えない。

「どした？コック」
「いや....別に」
「何か考えてるだろ？」
「.....俺達さ.....」
「ん？」
「変わったか？」
「何の話だ？」
「これからも変わらず....船でやっていけるのか？」
「そりゃ、そうだろ。何が変わったって言うんだ？」
「.....俺達....」
「何も変わらねぇ。お前は見つけたいものがある。俺は極めたいものがある....」
「あぁ、そうだな」
「....念のため訊いとくが......後悔してねぇな？」
「.......」
「......どうなんだ」
「....してねぇよ....もし後悔なんかしてたら」
「.....？」
「今頃舌噛み切って死んでるさ」
「オールブルーは諦めるのか」
「バーカ、例えばの話だろ」
「俺も後悔してねぇ....全く」
「気持ちいいほどハッキリ言うんだな」
「隠すつもりもねぇしな」
「そうか......って、ええっ？何て？」
「だから、隠すつもりは無いって...」

隠しても隠さなくても、確かに変わらないかも知れなかった。それにはサンジは否定する気は無い。しかし、だ。

「いや、それは、やっぱり常識として、一応隠して....こっそりとだな...」
「別に悪い事してねぇだろうが」
「悪いか悪くないか、じゃねぇ！フツーにありえねぇから！やっぱりおめぇとは合わねぇ！」
「......そんなのハナっから分かってんだろうがっ」

(やっぱりこうして言い合ってる方が、俺達らしいって事か)

そうこうして歩いているうちに、船が見えてきた。

「おい、コック！あっちに見えるの.....サニー号だよな？」
「泊めた場所に戻ってきたんだから....当然だろうが」
「偶然辿り着いたんじゃねぇのか？」
「んなろっ...てめっ...この方向音痴迷子のバカマリモ！俺がちゃんと連れて帰ってきたんだろうっ」
「んなに沢山並べなくたっていいだろっ、このクソエロコックぐるぐる野郎！」
「.......ちょっと」
「あァ？何だ邪魔すんな」
「ちょっと！あんた達！カッコ悪いわねっ！さっきからデカイ声で言い合ってばっかり....子供みたいに！恥ずかしくないの？？！！」



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バカ二人....。





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