青い薔薇　前編

*****30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい*****



半分捲くり上げられたままになっている、シャツの裾から覗くゾロの腹部。そこにある綺麗に割れた腹筋に、サンジは手をのせた。サンジは自分自身でそれまでは、体をかなり鍛えてきた方だと思ってたし、人に見せても大丈夫なくらいには自信を持っていた。でも、本当に綺麗な腹筋とはこういうことを言うんだなと思った。

男の目から見ても惚れ惚れするほど。何だか目の前の男が憎らしくなってくる。これほど男らしいくせに、それなのに...と。
でもどうしようもないのだ。

6つに割れたその一つ一つを指でなぞりながら、サンジは今までのことを思い起こしていた。6つ目をなぞり終えたあたりで、ゾロが何か言っているのに気づいた。

「おい....それ...やめろ」
「え？」
「.......くすぐったいから.....」
「...気持ちいいんだろ？」
「人の話聞いてんのか....もう...やめろって」
「わかった、やめるよ。ここはもう終わりだから。次はこっち...」

サンジの手がゾロの臍のあたりを一撫ですると、そのまま下腹部へと移動した。ゾロは、部屋着用の柔らかい素材のコットンパンツを穿いている。その布地の上をサンジの手がゆっくりと這い回る。

「サンジ......何...っ」
「何って...触ってるんだけど...」
「やめろっ....」
「駄目だ、やめられない。こんなになってるのに放っておけないよ。それに....俺だって...ほら...」
「あっ...」

サンジはゾロの手を取り、自分の体の方に導いた。サンジには、もう全然余裕などなかった。それなのに、今は自分の事より目の前の男の方が大事だった。

「気持ちよく....してやりたい...」

小さく独り言のように呟くと、サンジはゾロのパンツのボタンを外すと、今度は下着の上に手を這わすように撫でた。さっきよりはっきりと、その下にある物の存在が手に伝わってくる。手を止めてそれを包み込むようにすると、熱を帯びてきているのが分かる。

「やめ...ろ...」
「何...まだそんな事言ってるわけ？」
「もう....離せ....」
「やめてどうするのさ？自分でするのか？」
「何言って.....あぁっ....」
「自分でするのは、いつでもできるからさ...だから今日は俺に任せろよ.....」
「で...でもな..サン...ジ..」

まだ直に触ってもいないのにこんな風に反応されると、この先一体どうなってしまうのだろう？そう考えるとサンジは逸る気持ちを抑えるのが大変だった。ここで焦ってはいけない。ゆっくり、ゆっくりだ..と自分に言い聞かせる。

（でも俺だって...もうどうにかしてくれって状態なんだからな...）

何とか呼吸を整えると、サンジはハーフパンツと下着を脱ぎ捨て、続けてゾロの穿いている物を下着と一緒に引き下ろした。さっきまで布地の下で窮屈そうにしていた物が、勢いよく飛び出してゾロの腹を打った。

ゾロはもう現状を理解することを諦めたのか、頭がついていかないのか、抵抗する様子はなかった。そして、目には不安そうな光が宿っていた。

「大丈夫だから...」

少し上擦った声で、サンジはゾロに告げた。何が大丈夫なのか、どう大丈夫なのかは言った本人にも分からなかった。

「は....ぁ.....っ」

サンジが意を決して、ゾロの物をそっと握りこんだ。思ったより重量感があり、硬くて熱い。ゆっくりとゾロの呼吸に合わせてその手を動かす。ゾロが今どんな感覚なのかを想像しながら、できるだけゆっくりと動かしていく。

「は....んん...」

喉の奥で押し殺したような声がすぐ傍で聞こえる。必死に耐えているみたいだ。それが余計にサンジを煽ることになった。

「ゾロ...もう少し速くした方がいいか？」
「あ............」
「我慢しなくて...いいからな....」
「ん...ぁ...」

サンジの手の中のゾロ自身は、更に硬く熱くなってきていた。ゾロの太腿が時々小刻みに動いている。次第に絶頂へと近づいてきてるのだろう。サンジの手が濡れてきていることに気づいた。それはその後もずっと、乾くことがなかった。

喉の奥から漏れて来るくぐもった声が、サンジの手の動きと同期していた。

サンジは思う。この目の前にいるやつは男。なのになぜこんなにも愛しいのか。こんなにも触れたいのか。さっきからずっと色んな場所に触れているけれど、全然嫌な感じはしない。

(だから...こんなこともしてあげられる...)

手の動きを止め、その部分に顔を近づけた。サンジの手を離れたそれは、今度は口の中へと滑り込んでいった。ゾロはほんの一瞬だけ、与えられる快感から解放され、ほっと息をつこうとした。

「ああっ.....ぁ.....う.......」

さっきよりさらに艶を増した声がゾロの口から漏れた。一瞬油断していて、口元の力を抜いていた矢先だった。慌てて口を閉じて耐えようとするが間に合わない。

「む.......ふぁ......あ...........あ................」

サンジも同じ男だから、手の動かし方なら充分わかっているが、口を使うとなるとどうすればいいのか正直よくわからなかった。でも夢中で自分なりに、唇と舌を使ってゾロ自身を丁寧に愛撫した。その先端からじわじわと滲み出てくる、生温かくて塩辛い物が、口内に広がっては消えていった。サンジはその出所を舌先で刺激する。

「はっ...ん..」

さっきよりも、ゾロの足の動きが目立ってきた。時々太腿がぴくりと動く。じっと力を抜いている事ができなくなってきている。そして腰を浮かせては、サンジの顔に押し付けるようにし始めた。サンジの肩を掴むゾロの手に力が入ってきている。

(もう我慢するな...)

サンジは口の動きを早め、強く吸い付いた。ゾロの腰は浮いたままになり、押し殺した声が切れ切れに漏れてくる。

強く、さっきよりさらに強く腰を押し付けてきた。

「ああっっ.........くっ........はぁ...はぁ...ぁ......」

びくびくと激しく暴れるゾロ自身が、その動きに合わせながら吐き出した物が、サンジの口の中に広がる。初めての経験に、それでもサンジは途惑う事もなくそれを受け止めた。そしてゾロが落ち着く迄、しばらく待ってから口を離した。ごくりと飲み込んだ残りの白濁が、口の端から一筋流れ落ちる。

肩で息をするゾロ。同じくらい息があがっているサンジ。

「ゾロ....」

その声に反応して視線を向けて来たゾロの表情を見て、サンジは堪らなくなった。もうとっくに我慢の限界を超えていたと思ってたのに、さらにもう一つ上のラインを超えてしまったようだ。優しくなんて、もうできそうになかった。


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