青い薔薇　前編

*****30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい*****



「駄目だ...そんな目で...もう....」

サンジは目を瞑り、今しがた見た映像を追い払おうとした。いつもの眉間に皺を寄せた険しい顔ではなく、余分な力の抜けた「素」のゾロの表情があまりに清々しくて綺麗で、そして艶かしかった。

「こんなの反則だ........」

収めようのない衝動を、それでも何とかしてひとまず沈めようと思ったが、そう簡単にはいかなかった。今目の前に横たわる男のことを、心から欲しいと思っていた。欲しくて欲しくて堪らない、それだけだった。

まだ呼吸の整わないゾロの方を見た。サンジが体を倒しゾロの左耳に唇を近づけた。と、同時にサンジの左手がゾロの両の太腿の上を滑る。そしてその内側から奥に潜む、中心部の狭い隙間へと移動していく。
そうしながらも、さきほど放出した残りの白濁が、ゾロ自身の先端から流れ落ちそうになるのを目ざとく見つけ、指で掬い取り、最奥の蕾へ塗りつけた。

ゾロの体が硬直したかのようだった。右手と、それから動きを封じられた左手も使って、サンジの体を押さえて抵抗する。少し掠れた声を出した。

「おい....何....やってる....」
「こうして...ゆっくりと....ほぐして...」
「う...やめ....ぁ..」
「結構くるだろ？力抜いて楽にしてろ」
「抜けったって....」
「あ...駄目だそんなに...まだまだ力が入ってるな。ここらへんかな...」
「あっ....何...うぅっ」

ゾロは何が起きたか分からないと言う風な表情に変わっていった。今されていることが怖いのか、これから起こることへの不安なのか。サンジはそんなゾロの姿でさえ愛おしく思った。もし不安があるなら、できるだけその不安を取り除いてやりたかった。ただし今の行為を中止する、という選択肢だけは持っていない。

「そのままでいろ」

そう言うとサンジは、今まで手で触れていたところへ、顔を近づけ息をそっと吹きかけた。サンジの肩に触れるゾロの手に、いっそう力がこもる。続いて今度は舌で触れてみると、ゾロの抵抗がさらに大きくなった。息も乱れ始める。

「うぁっ....やめ...ろ.....」

サンジは舌を窄めて、その小さな入り口へ侵入させた。さきほど塗りこめた体液と流し込んだ唾液のせいで、くちゅくちゅという音が響いてくる。ゾロに肩を掴まれたままで痛かったが、構わずに奥へと進む。奥と言っても舌では殆ど進めないので、また指を使う。さっきより少し柔らかくなってきたので、そのままさらに指を進入させた。

中は熱くて、指が溶けそうな気がした。奥だけでなく色んな向きや角度で指で触れていく。

「あああっ...」
「ゾロ？ここなのか...？このへんなんだな？」
「んん...頼む...やめ....てく....れ...」
「ここなんだな..............」

サンジは、やっとのことで探り当てたポイントを過度に刺激しないよう優しく触れながら、指を2本に増やし中をほぐしていく。もうだいぶ柔らかくなってきている。そして3本目の指が入った頃には中はトロトロになり、つい今しがたまでは硬直ぎみだった、ゾロの体からも余計な力が抜け、呼吸も穏やかになってきていた。

「そろそろ....いいか......」

眩暈がしそうなほど、渇望している相手へ気持ちを伝えた。ゾロは覚悟を決めたかのような穏やかな表情だ。返事をする代わりに目を閉じる。しかしまだ不安そうな色は残っている。

「いくよ....」

サンジのすっかり硬く張り詰めた自身を、直前まで3本の指に蹂躙されていた熱い場所へあてがうと、ゾロは目を半分開けた。やはり内心は怖いのだろう。でももう引き返すことなどできなかった。そして、サンジには優しい言葉一つ、ゾロにかけてやる余裕も無くなっていた。そのまま少しずつ体を沈めていく。

「ああっ...うっ....」
「まだ....無理か？....痛い...か？」
「く....るし......」

(あぁ...き..きつい...)

サンジはできるだけゾロの体に負担がかからないよう気遣いながら、少しずつ奥へと入っていった。

想像しようにもできなかった、この今の状況。

「ゾロ......悪い......苦しくても....我慢....して....」
「はぁ......はぁ.......」

もっと動きたくても体が思うように動かせない。柔らかくほぐれたと思っていた場所も、やはりすぐには慣れてはくれない。進入する異物を拒否するように押し出そうとする。

それでも、諦めずにゆっくりと進んでいった。

サンジは、あまりにも気持ち良すぎて、思考が八方へ散っていった。意識を手放さないよう、気をしっかりしなくてはならなかった。

「あ.......もう少し....動いても....いい...か」
「う.....ぁ......」

再び腹部に張り付くほどに大きくなったゾロのその部分から、先走りが溢れている。サンジはそれを自分の腹で抑えながらまた動き出した。丁度二人の腹に擦られながら挟みこまれる格好で、新たな刺激を受けたゾロは、目をぎゅっと瞑り頭を左右に何度も動かした。

サンジは自分自身の快感に溺れそうになりながらも、ゾロの表情を観察しながら体の動きを調節する。

「ふっ....あぁ..........ふっ....あぁ..........ふっ....あぁ..........」
「くっ.....うぁ......あ.......」

もっとゆっくり...そう思っていたが、もう限界だった。

サンジの目の前の風景が霞みながら歪み、白と黒が入れ替わり、チカチカと光が点滅しているような気がした。周囲の音が消え、頭の隅でかすかに響いている。そしてそれが何度も反響している。

記憶にあるのは..背中をつかむ手の力と、苦しそうなゾロの顔...


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