青い薔薇　後編

*****30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい*****



また今日もサンジは思案している。一体どうやってゾロを自然にバスルームへ誘えるか？もうそろそろ慣れてくれてもいい頃だ。変に構えず、当たり前のようにしていればいいのだ、と勝手にサンジはそう決めた。

「ゾロ、先に入って中を暖めておくから」

お前もすぐ入ってこい、という意味を込めて言った。バスタブを念入りに洗い、すみずみまで磨く。今日は取って置きのオイルを用意した。これでリラックスしてゆっくりとバスタイムを楽しめる。

ほどよく室内も暖まり、湿度も上がり、思わず深呼吸をする。
バスルームのドアの前にゾロが近付いてきた。

「まだ出ないのか」
「お前を待ってたんだよ」
「う...ん」

ゾロは何だか歯切れの悪い返事をしながら、でもしばらくすると服を脱ぎタオルを手に持って入ってきた。

「はい、では早速...」

サンジがゾロの体にお湯をかけ、ボディソープを手のひらで泡立てて洗い始めた。

「おい、体くらい好きに洗わせろ」
「じゃ、ゾロも手にこれつけて...」

ゾロは何だか拒否したり文句を言ったりするのも億劫になり、特に何を言うではなく、自分は自分で手の届くところから洗い、他はサンジの好きにさせた。髪を洗うのも自分でやる方が簡単だったが、ツボ押しが気持ちいいのでサンジにすっかり任せている。

二人とも全身を洗い終わったところで、お湯が満たされたバスタブへ。近付くとほんのり甘い香りが漂う。サンジに誘われ、ゾロは足を入れる。体を沈めるとサンジも同じく体を縮め、ゾロの背後にぴったりとくっついた。もう予想できていたことなのか、ゾロは何も言わなかった。サンジはゾロの背中に頭をもたれさせ、ゾロの両脇から腕を回してぎゅっと抱きしめた。

それからサンジは、今度はゾロの顔が見えるよう、体を少しひねって体勢を変えた。ゾロはそれを避けるように顔をそむける。でもサンジはそれを許さない。そのまま一気に顔を近づけていく。そしてそのまま唇を軽く合わせた。ゾロは目を閉じている。

サンジは初めて、ゾロにキスをした時のことを思い返した。あの時は心臓がつぶれるかと思ったし、あの後ひどく後悔した。もう絶対ゾロが離れていくとばかり思っていた。でも、ゾロは受け止めてくれたのだった。ある意味奇跡だった。今でも時々、夢を見ているんじゃないかとさえ思うことがある。

だけど紛れもなく、ゾロはサンジの目の前にいる。他の誰も知らないような顔を彼にだけ見せてくれるのだ。

まだ目を閉じているゾロの唇が少し動いた。そう...じれったそうに、何か求めているかのように...。サンジは少しだけ唇を開いて、次のゾロの出方を待った。たまにはゾロから仕掛けて来てほしいと思った。でもゾロはなかなか動こうとしない。

(こいつには勝てないよ...)

サンジはついに我慢できずにゾロを引き寄せ、強く唇を押し付けた。閉じている唇を舌で割り、強引に押し入る。ゾロの舌に到達すると吸い付き、二人の唇の隙間から音が漏れる。ゾロは、苦しくなり眉間にいっそう皺が入る。勢いづいたサンジはもう止まれなかった。

バスタブに垂らしたオイルは、多少の媚薬の効果もあるらしいというのを選んできたのだった。ゾロには効いていないのだろうか。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

その後もずっとゾロの体からは離れようとしないサンジ。耳から首へと移動しながらゾロを愛撫していく。いつもは『もういいかげんにしろ』とか『べたべた触るな』とか文句を言うはずが、黙ってされるがままになっている。その上、サンジの髪に手を載せている。時々手櫛で梳くような動きをしている。

サンジの手がゾロの腹部をなぞる。相変わらず硬く引き締まっていて、無駄な肉がない。ここでもゾロが抵抗することはなかった。そしてサンジの手に何かが触れる。

まだ完全ではないけれど、下腹部から上を向いているそれは、サンジの手にしっかりとした感触をもたらした。そのまま手に包み込み優しく撫でる。そしてゾロの顔を見た。少し眉間の皺はあるが、我慢する様子もなく半開きの唇から微かに息が漏れていた。

サンジはそのままゆっくりと手の動きを続けた。力はできるだけかけないように、そして一番感じるポイントは、はずしながら優しく動かす。今日は長く、長く、ゾロに気持ちよくなってもらいたかった。

「！」

サンジは思わず自分の下腹部に目をやった。ゾロの左手が伸びてきていた。あの左手が...と思っただけでサンジのその部分には一気に熱が集まってきた。そしてそこはゾロの手に包み込まれた。ゾロもまた、その手を優しく動かしてくる。

サンジの肩にゾロが頭をつけながら呟く。

「体が冷える」
「じゃ、出ようか...」

ゾロの肩に触れると、確かに冷えかかっている。

二人は熱いシャワーで体を温めて、バスルームを出た。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

ベッドに座ったゾロの前に跪いたサンジは、いきなり彼の股間へ頭をうずめた。

「なっ...」

いきなりの行動に止める間もなく、ゾロはサンジの頭を手で押さえた。

「あ....」

ゾロが歯を食いしばることなく、微かだが声をあげた。サンジは、さっき湯船に垂らしたバスオイルのことを思い出した。もしかしたら、本当は自分よりゾロに効いたのかも知れなかった、と。

「う...やめ...ろ...」

ゾロは裏返りそうな声で、サンジを制した。とても止めて欲しそうな声ではなかった。

「...どうした？...」
「.....」
「どうしたのさ？」
「....まだ...」
「まだ？」
「..........まだ..早い..」
「？」
「俺だけ....」
「...」
「...俺だけ..先に逝かせるな」
「ゾロ....」

サンジは気づいた。ゾロは多分、サンジが思っていた以上にもうかなり昂っていたのだと。いつもは自分の方が舞い上がっているから、そんな事とは考えが及ばなかった。
そう思うと突然ゾロがとても愛おしくなり、サンジはゾロに飛びついた。そしてそのまま押し倒した。

「うわっ...」

ゾロはバタッと音を立て倒れたが、暴れないようサンジが肩を押さえる。ゾロはちょっと不機嫌な顔になった。

「そんなことしなくても、俺は逃げたりしない」

いちいち、サンジを喜ばせる言葉を無意識に吐く。サンジはますますゾロを抱き締めたくなった。

「ゾロ、ゾロ...俺もう駄目...」
「わかったから....そこ...その...それ止めろ」

サンジはゾロに乗りかかり、股間をさっきからゾロの下腹部に押し付けていた。それがゾロを大いに刺激していたのだ。

「じゃ、やめるから...この手で触ってて...」

ゾロの手を取り、サンジは自分のその部分を触らせる。ゾロの手が触れたとたん、背中がぞくりとした。ただ触っているだけなのに、もう目の前がくらくらするほどだった。

サンジはゾロの髪を撫で始めた。こうするのがとても好きなのだ。柔らかい感触が心地よい。ゾロも目を閉じている。その瞼に、サンジは指で触れた。次は唇で触れた。睫毛の生え際を舌でなぞると、瞼がぴくりと動いた。ゆっくりゾロの表情を堪能するつもりだったが、堪らずゾロの唇へ向かう。

「あ...っ」

ゾロの唇に到達、と思った矢先、サンジは声を漏らした。さっきサンジが導いた場所に、まだゾロの手があった。ずっと包み込んだままだったのが、突然動き出したのだった。

「ゾロ...あ....いい..よ...」

サンジは体の力が抜けそうになりながらも、ゾロの髪を手で梳きながら、激しくゾロの唇を貪った。そしてまた同じく自分も、ゾロの熱い部分を優しく触り始めた。

二人の男の、くぐもったような少し抑えた声が響いている。

「ゾロ...俺...も.....」
「...俺も多分...近い」
「....じゃ、そのまま寝てて」

サンジは、体勢を変える。完全に上下逆だ。ゾロは一瞬何が起こったのかわからなかった。

「まさ..か..サンジ...」
「まさかじゃない...もう二人ともヤバイんだから、これしかない」
「で.....でも..あっぁ...」

サンジはいったん離していた部分を再び愛撫し始める。今度は感じる場所を丁寧に通過しながら。みるみるサンジの手が濡れていく。

「ゾロ、ちゃんと俺のもしてくれないと、一緒に逝けないぞ」
「そん...なうまく...できるか....」
「できるさ...俺がやるようにやって。こうして...」

サンジはゾロ自身を飲み込むように口に入れる。ゆっくりと動かし時々吸い付いたりする。先端から塩辛い物がにじみ出てくる。

「はぁ...あ...」

ゾロは、小さく喘ぎながら、でもサンジの物がすぐ目の前にあるのを何とかしようと思って心の準備をしていた。今までこんなことは勿論したことがない。サンジが同じようにやってと言うが、そう簡単にはいかない。とりあえず、さっきと同じ要領で手で握りこみ、そっと動かした。何回か動かすと透明の液体が、ゾロの指の隙間から糸を引いて落ちてきた。

「ゾロ...俺...それだけでもヤバイ...お前の顔、汚しちまうかも知れない...悪い...」
「それだけは...ごめんだな」

ゾロはそう言うと、サンジの物を口に含んだ。思っていたより口の中がいっぱいになり、少し苦しかったが、構わず動かしていく。サンジは耐え切れなくなり、自分が咥えているモノを放棄して、快感を追いかけた。

「あっ...うぅぅっ....くっ...」

ゾロの口内でサンジの熱が弾け、苦味とむせるような匂いが広がっていく。それを受けとめ、サンジの激しい動きが静まるのを待つ。そしてゾロももう限界近くまで来ていた。

「はぁ....ゾロ...今..こっちもまた始めるから...あと1分だけ待って」
ゾロは、まだ話せないのでそのまま黙って聞いている。サンジは息を整えると体勢を立て直した。

「ゾロ...もう..大丈夫だから....」

何とか呼吸が整うと、サンジは再びゾロ自身を口に入れた。さっきよりやや柔らかくなってきたそれは、またみるみる硬さと大きさを取り戻した。ゆっくりと唇と舌を動かし始める。

（何だよ、俺、一緒に逝けないどころか、先に果てて...情けない）

ゾロの手がサンジの腰にかかる。結構痛い。

「ふぁ.....んん....っあ...」

それほど我慢している様子もなく、与えられる快感の自然な波に乗っている。サンジは、ゾロの顔を見ることができないのが歯がゆかった。今、どんな表情をしているのだろうか。見たくてたまらない。

でも...それ以上に...やっぱり感じてもらいたいのだった。
深く、さらに深く呑み込んだ。微かに塩辛いものが口の中に漂う。

「っぁぁぁぁ.....うぁっ..」

さらにサンジの腰の痛みが強くなった。ゾロの手が渾身の力で掴んでいるのだ。
どくっ、どくっ...とゾロの中心が波打ち、激しく動いている。動きに合わせて生温かい物が口内に広がっていく。サンジは余すことなく全てを飲み下した。

どこまでも愛おしい存在。サンジは目の前のこの愛しい男の両の膝に、柔らかいキスをした。


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