青い薔薇　後編

*****30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい*****



強い酒の効果が今頃じわじわと現れているのか、ゾロからの抵抗もなく、あっさりとサンジの前に体を晒している。しかも、時々不意をついてサンジの体を引き寄せて、強引とも言えるキスをしてくれる。そしていつもサンジがしているように、激しく舌を絡ませてくる。サンジは口の中がむず痒く痺れてくるのと同時に、熱い感覚が背中を駆け下り、下半身に集中してくるのを感じた。

元々バスタオルを巻いただけの体はすぐ自由になる。そしてゾロもまた同じだった。

「サンジ...ちょっと待ってくれ...」
「何？」
「時間...もうちょっと開けたほうがよくねぇか？」
「どうして？」
「酒が...まだ残ってるから...」

サンジがその意味を悟ると、そっと手をバスタオル越しに、ゾロの中心部へと這わせた。ゾロの体がぴくんと反応する。そしてその部分は熱く硬くなっているのがわかると、サンジはタオルを取り去り、直にそこへ手をのせる。

「全然問題なし。後は感度...がどうなってるかな」

サンジはさらにその手でゾロ自身を包みこみ、ゆっくりと動かしてみた。それを何度か繰り返すと、手の動きが滑らかになるほど濡れてきた。

「あ....はぁ.....はぁ....」
「こっちも特に問題なし...むしろ、いつもよりいいくらいじゃねぇ？」
「んん.....サン...ジっ....」

ゾロがサンジの背中をぎゅっとつかむ。その手をサンジは自分の肩の方へとまわさせた。こうしてくれれば自由に体を引き寄せることができる。このスタイルはなかなかゾロは、やってはくれない。いかにも感じてます、という風に見えるから...抵抗があるのだろう。

サンジが手を少しずつ、そこから後ろへ滑らせ、嚢からさらにその後ろに這わせると、ゾロは腰を浮かせてサンジの愛撫を受け入れる。今までにないその反応の仕方に、サンジの気持ちもまたいつもより昂っている。ゾロ自身から続けて溢れてくる、透明の滑らかな糸を、サンジは自分の指で絡め取り、また後ろに潜むゾロの熱い場所へ戻っては塗りつける。

自然な誘いに乗って、サンジの指がその狭い場所へと滑り込むと、思いのほか簡単に入った。ゾロの新たな吐息が漏れる。必死に呼吸を整えようとしているようだ。指が2本になり、サンジもまた呼吸がなかなか整わない。

「ゾロ...俺...もう限界ギリギリだけど...頑張るからさ...お前は我慢しないでいっぱい感じてくれよ」
「....ふ...あ...ぁん.......っ......」
「ほら、もっと力抜いて...」
「あぁっ...ぁ...あ....」

すでにそこにはサンジの指が3本、呑み込まれていた。いつもは窮屈で指は伸ばしたままの状態だったが、今日は少し指を曲げ伸ばしできる余裕がある。またそれが程よい新たな刺激となっているようだった。

(あぁ..俺も...本当、限界でヤバイんだけど...。でもこの顔見ていたいし...この声ももっといっぱい聞いていたい。もっといっぱい感じさせたい)

いつもと違う様子に、ゾロも何となく気づいて、薄目を開けてサンジの方を見ている。その目がまたこれまで以上の色香を放っていた。

「ゾロ...」
「..ん....頼..む...っ...もう...」
「え？.....」

(今.."頼む"って...確かに言ったよな...)

懇願するような、一瞬だがそんな表情を見せたゾロ。サンジがそれを無視できるはずもなかった。ゾロの体を支えながら、起こしてやる。

「いい？ここにゆっくり腰を落として...」
「何.....？」
「自分で加減しながら、やってみろよ....できるから」

試してみるなら、今日しかなかった。サンジはゾロを自分の上に座らせようとしている。サンジの体に跨り、膝立ちの状態からゆっくりと腰を落としていく。もう意識も朦朧としかかっているゾロに、初めての体験。そうそううまくいかない。

「じゃ、ここに手をついて体重支えてて。俺がするから」
「....ぁ....っ」

ゾロの腰を支えながら、サンジは自身を突き上げ、ゾロの中へと進めていく。いつもと勝手が違う不安定な状態。でも初めての相手じゃない。きっとできるはずだ。

「ここから先は、お前が自分で奥まで...」
「....ぁ....はぁ....はぁ.....うぅ....」

自分の体重を両の手で支えつつ、体に受ける感覚にも集中しなければいけない。ゾロの膝元がさらに不安定になってきた。

「ゾロ...自分で気持ちいいと思うように、好きに動いていいから」

サンジはそう言うと、自分の腹の上に先走りを滴らせているゾロ自身にも手を添えて、ゆっくり扱いていく。何とか腰を動かそうとしている矢先から、別の快感に押し流されていく。肘から下でどうにか体重を支えている状態のゾロ。吐息がサンジの肩にダイレクトにかかる。

「...あっ...ぁ....ん....」
「ゾロ....」
「...ふ.....」
「あ...俺....も...っ」
「ん...んっあぁぁ....っっ」
「あ....ゾ....ロッ....」

ゾロの中にサンジの熱が弾け、またサンジの胸と顎にもゾロから放出された白濁が飛散した。ゾロは力を使い果たしたのか、まだ一部分が繋がったまま、サンジの上に今にも崩れ落ちそうな格好で、辛うじて体を支えて項垂れていた。形の良い筋肉のついた肩と胸が激しく上下している。

「ゾロ...はぁ...っ..お...俺...ここが蕩けるかと思ったぜ」
「....アホ...黙ってろ」
「.....いつもより感じたろ？」
「うるせぇ....」

ゾロが噛み付くように、サンジの唇を奪った。ほんの3秒ほどの間だけだった。そして、少しだけ凄んだ感じの声で言う。

「ちっとは黙る気になったか」
「喋ったら、またやってくれるのか？」
「今度は噛み切るぞ！」
「口から血が流れているゾロなんて、肉食獣みたいでワイルド〜」
「殴った方が早ぇみてぇだな」

はい、どうぞ..と言わんばかりの表情で、にやついているサンジの顔を見たら、また怒る気がしぼんでいった。これもいつものサンジの手。そしてそうと分かっていてあっさり許してしまうゾロ。許されることを分かってわざと煽るサンジ。

「本当にアホだぜ」

ゾロは、そう吐き捨てると、サンジの胸と顎を拭いてやるのだった。

「ん？」
「サンキュ」
「...当たり前だろ..」
「何？自分が出したヤツだから？」
「なっ...何でお前はいちいちそうやってっ」

こんな言葉にも、その都度反応しては赤面するゾロが面白くて、愛しくて、サンジはからかってしまう。

「はぁ...」
「今度は何だ」
「そのゴツイ手で、そうやって世話をされるっていうのも、何かソソるな..って」
「何..つまらんこと..」
「そこ、拭いたとこ...お前の舌で綺麗にしてくれよ..」

そう言うとサンジは、腰をぐいっと押し上げてきた。さっき熱を放ったはずのそれは、いつの間にかまたゾロの中で息を吹き返し始めていた。

「てめぇっ、まだやる気かよ..どうなってんだその体は」
「なっ、ここ...きれいにしてくれよ」
「もう充分だろ、さっき拭いたからな」
「じゃぁ、俺がしてやる」

サンジはゾロの体を引き寄せ、顎の下から首筋、そして鎖骨へと舌を這わせた。ゾロはまだ不安定な体勢のままだ。

「おい...やめろ...っ...ぁ..」
「こんな光景目の前にして、やめられるわけないだろ」
「お前は疲れるという言葉を知らないのか」
「知ってるさ...でもゾロを抱くことについては別腹だ」
「俺は食いもんじゃねぇ！」

ゾロは拳を握り締め、サンジにはやっぱり一発くらい食らわせないと目が覚めないだろう..と思った。が、その途端。

「んっ...ぁ...」
「ゾロ...？そろそろ俺の思い届いたか？」
「何....が...」
「また良くなってきただろ？素直になれ」
「誰.....っが.....」

ゾロは、もういい加減ゆっくりと横になりたいという気持ちがある一方で、サンジから与えられる新たな刺激に素直に反応してしまう自分の体を呪った。何でこんなことに。こんなはずじゃ..と。だんだん目の前の男が憎らしくもなってくる。

「ゾロ、顔が怖いぞ」
「生まれつきだ」
「力を抜いたら、もっと気持ちよくなれるぞ」
「...アホ....誰が....」

そうやって強がっても、ゾロと向かい合った姿勢でいるサンジからは、ゾロの体を全て確認することができる。今、どういう状態なのかも一目瞭然だ。そして、それを隠すことがままならないゾロは、最後まで強く押し切ることができないのだった。

「アホはお前だ、ゾロ。そうやって耐えようとする顔が、たまんねぇんだよ。余計に俺を煽ってるのがわかんねぇのか...」

サンジは手を伸ばし、また目の前で自分と同じく息を吹き返して、完全復活したゾロ自身を撫で上げる。ぎゅっと目を瞑って耐える男の顔を堪能しながら。

サンジは新たな行動に出ようとしている。

「今度は...そっち向いて...壁に手をつけ」
「...何ッ？..するかよっ...そんな格好...」

その後悪戦苦闘の末、サンジの思惑通り事は進んだのか。 酒も抜けて理性が戻ってきたゾロに、何発かは殴られただろうことだけは間違いなかった。


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