すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「べっ.....別にいいだろ！見るくらい俺の勝手だ」
「何だ、見るだけで満足なのか....」
「何だよ...」
「俺は、見てるだけなんて我慢できねぇがな」

本をテーブルに置くと、ゾロは手足に巻きついた錘の合わせ目をビリビリと剥がしながら、体ごと視線をサンジに向けてきた。

「もしかして、俺が"手を出すな"って言ったの、守ってたのか？」
「誰がそんなの守るか」
「だろうな。俺も守るとは思ってなかった。第一、無理して我慢して、ストレス溜められても迷惑だしな...。おめぇには毎日機嫌よく過ごして欲しいしな」
「何を....」
「いいぜ、来いよ。そんな視線で見られてたら、こっちも落ち着かねぇ....それに...」
「ん？」
「時間もたっぷりあるしな」

ゾロは口の端だけで笑うと、くるくると丸めた錘をソファの隅に置いた。そして自分のすぐ隣に来るように、目で示した。

このまま尻尾を振って、素直に従えばゾロは満足なのだろうか？サンジは少し考えた。そんなに俺は物欲しそうな目をしていただろうか？

そんなサンジの心の内を見透かすようにゾロは続けた。

「せっかく出された酒に、毒でも仕込んであるのか疑ってるような顔してんな」
「........お前から来いよ」
「.......」
「昨日だって、俺を好きにしていいって言ったのに、結局俺が.....。何か俺ばっかり欲しがってるみたいじゃねぇか」
「またつまんねぇこと言ってやがんな...」
「悪かったな」
「ふん....」
「......」
「別に自然に任せてりゃいいじゃねぇか」
「ん？」
「二人でヤッテるんだから、どっちがどうということもねぇだろ。片方がソノ気ねぇなら成立しねぇんだからよ」
「あ、あぁ....まぁ、それはそうだが」
「他に何か問題あんのか？」
「いや....」
「............俺がおめぇに"抱いてくれ"って言やぁ満足なのか？」
「それは....引くからやめてくれ」
「だったらつべこべ言うな。俺はいつだって...」
「うん」
「まぁ、そういうことだ」
「なんだよ、それっ....一番肝心なとこじゃねぇかよっ」
「察しろ」
「分かったよ。つまり俺がヤリたくなったら、いつでもお前は受け入れ態勢万全、ってことで理解した」
「厚かましいにもほどがあるな」
「何か問題でも？」
「.........ねーよ、バカ野郎が」
「ゾロ....」
「あァ？」
「こっち....来てくれよ」

("来いよ"じゃねぇのか？)

「頼まれなくても行ってやる」
「あーあ、また強がり言ってら」

どっかとサンジのすぐ隣に座ったゾロ。仕掛けてくる様子がないので、サンジが動き出した。

「ゾロ....」
「ん？」
「こっち....見ろよ」
「.......んんっ......」

サンジの腕の中に収まったゾロの体。サンジの唇が、何度も何度もゾロの唇に重ねられた。それでもサンジは満足しない。次に舌を挿し入れると、待ちわびたように、ゾロの口内から迎えが来た。互いの舌が激しく絡み合う。


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