すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



それでも諦めないと、ついこの間、サンジに向かって言い放っていたルフィ。

「ゾロが迷ってないんなら、しょうがねぇよな」
「あァ？」
「迷ってたら、俺を追い返すはずだろ？」
「...........」
「もう絶対、戻ってこねぇつもりなんだ」
「ゾロが"戻る"ってもし言っても、俺がそうはさせないさ」
「ゾロが自分で決めたことでもか？」
「戻るのは何の為なのか、ハッキリさせてからだ。本気で戻りたいと思って戻るんなら、別の話だ」
「.......ふぅん」
「何だよ？」
「ゾロがサンジのことを選んだ理由、何となく分かった」
「.....」
「あ、仕事中なんだろ？ゴメン」
「もう店ん中戻るよ」
「俺、ここで待ってる。ゾロの顔見たら帰る」
「あと30分だか1時間だか分かんねぇぜ？まぁ、でもその客が帰ったら、多分こっちに来るはずだ」
「分かった。サンジっていいヤツだな」
「......俺は何もしてないけど？」
「ちゃんと俺がゾロに会えるように、してくれてるじゃねぇか。どやされたって仕方ねぇのに」
「だから言ってるだろ。俺は勝手なマネしねぇんだって」
「...........ありがとな。サンジ」
「..........お、おう」

サンジは半分だけ振り返りながら、通用口のドアを開けた。

ふと、サンジの口から、自分でも思いもしなかった言葉が飛び出した。

「おめぇ...。後でメシ食いにくるか？」
「メシ？」
「どうせずっと待つんなら、ついでだ。俺達が上がるまで待ってろ」
「本当か！うん、行く行く！メシ食う！」
「何だ、急に元気になりやがって」
「サンジ.....無茶苦茶いいヤツだなぁ〜好きだぞ！」
「メシくらいで好きになるのかよ...」

サンジは苦笑しつつも、悪い気はしていない自分に不思議な気分になる。

(俺、毒されてんのかな....)

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

週初めということもあり、遅くから来る客も無く、サンジもゾロも予定より早く仕事を終えることができた。二人は急いで帰り支度をし、通用口へ急いだ。

「おい...終わったぜ....待たせて悪かったな」
「ん？」
「何だぁ？そこで寝てたのか？」
「...サンジ.........ゾロ」
「さ、行くぞ」
「おし、ゾロ、一緒に歩こうぜっ」

かなりくっつきぎみで、ルフィはゾロに並んで歩いて行く。困惑しながらも、強く拒絶はしないゾロ。

「おいっ...もうちょっと離れて歩け」
「いいじゃねぇかよぉ....」
「ったく....そうやっていつも、人の言うことはちっとも聞きやしねぇ」

二人の台詞から、彼らの関係が何となく想像できてしまう。

「俺も...もうちっと離れて歩いた方がいいと思うぜ」

サンジが感情をできるだけ殺しながら言った。


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