すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



「ほら、離れろって」
「ちぇっ.....サンジ、ずりぃぞ」
「何が」
「サンジは毎日ゾロと一緒なんだろ？」
「そうだけど？」
「俺は....やっとゾロとこうして会えた。これからだって、いつ会えるか分かんねぇ.....」
「......毎日とはいかねぇけど、たまになら、会えると思うぜ？」
「本当か？」
「しょっちゅうは、無理だぞ」
「うん！ゾロが会えるって時でいい！」
「良かったな、ルフィ」
「........サンジ...」
「あァ？」
「いいのか？サンジ、怒ってねぇ？」
「ゾロがいいって言うんなら、いいよ」
「サンジ、本当にいいヤツだな！」
「どうも」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「..................」

サンジは呆気に取られていた。

「コイツ....？？」

嘘だろ？そう何度も小さく呟いた。

「この細い体のどこに入っていきやがるんだ？」

最初の一口から「旨ぇ！」を連発しながら、本当に美味しそうにパクパクと、そして凄まじい勢いで、サンジの作った料理を平らげていった。ゾロとは違った、食べっぷりだった。

それに....この食べ方、どこかで見たような気もする。

「本当にサンジの料理、旨ぇ！サイコーだ〜」

あまりの勢いに押され、サンジは食欲が少し失せかけていた。ゾロは特に気に留める様子もなく、水割りを飲みながら料理を突いていた。時々フッと優しい表情で、ルフィの方を見やるのを、サンジは見逃さなかった。

「本当によく食うなぁ....」
「おい、ルフィ、喉に詰めるぞ。誰も取りやしねぇ。ゆっくりよく噛んで食え」
「んんっ....んぐっ....旨ぇ....サンジ、これ要らねぇのか？」
「あぁ...食っていいぞ」
「ヤッタ〜もーらいっと....。あ、ゾロもこれ要らねぇ？」
「今から食おうと思ってたんだ。俺の好物なんだからな、絶対やらねぇ」
「何だよ、ケチ」
「あぁ、ケチで結構」

楽しそうな二人のやり取りを見ながら、サンジは騒がしい兄弟を見守る母親の様な気分になっていた。

(何だろう....こんな気持ち、初めてだ)

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「ゾロー、一緒に風呂入ろー」

ルフィは大はしゃぎでゾロの腕を引っ張りながら、バスルームへと向かう。

「おい、まだ早朝だぞ。近所迷惑だから静かにしろよ」

すっかりゾロにくっついて離れなくなったルフィ。サンジは次第にルフィのそんな行動の数々に慣れてきていた。腹立たしく思うよりも、自然と受け入れてしまっていた。

ルフィが悪いヤツではないことは理解した。しかし....

(俺だってゾロと一緒に風呂入りたいし、くっつきたいんだ)


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