すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



今度は、弟に母親を取られた兄のような気分になっている。しかし、そんなサンジの胸の内を知ってか知らずか、ルフィに引っ張られる形ではあったが、ゾロも結構楽しそうにしているようだ。

このまま二人がバスルームから出てこなくて、何だか変に静かになったらどうしよう...。サンジは余計な事を考えてしまう。しかし、意外にもルフィが先に出てきた。

「あれ？早ェな。ゾロは？」
「そのうち出てくると思う。急いで洗ってたから」
「ふうん」
「俺の頭も体も洗ってくれたんだ。だから今、自分の方洗ってるんだ」
「.....そうか」

(ゾロが俺の体を洗ってくれるようになる迄、どれくらいかかったと思ってるんだ....なんか納得できねぇ)

そんなことを思っているうちに、ゾロも入浴を終えたようだ。

「待たせたな...サンジ、次使え」
「あぁ」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「うほー！でけぇベッド、俺、こっちの方にゾロと寝る！」
「おい、それは、俺達が.....」
「えぇ～...サンジはあっち」

ルフィは口を尖らせながら、セミダブルの方を指差した。

「おい、いい加減、ずうずうしいぞ？」
「今日だけだから、いいじゃねぇか」
「ゾロ、幾らなんでも甘やかせ過ぎだろ！」
「そんな大袈裟な」
「なー、サンジー....俺、ゾロと寝たい」
「....ゾロに変なことすんなよ」
「変なコト？」
「......いや何でもねぇよ」
「サンジ....悪ぃが....今日はそっちに寝てくれ」
「じゃ、明日はどうなんの？」
「いつも通りだろ？」
「いつも通り？ふーん....」
「............わーったよ。1回余分にシテやる」
「ゾロとサンジ、仲イイんだな」
「.........っ、何だよ」
「いつも一緒に寝てんの？」
「あぁ」
「何でベッド、二つあんの？」
「こっちは....元々俺が使ってたやつ。そっちのデカイ方は、ゾロが来てから買ったんだ」
「分かった！喧嘩した時とか、こっちも使うんだなー？？」
「俺たちは喧嘩なんかしねぇよ。な、ゾロ？」
「うっ...あ、あぁ...まぁな」
「たまに他のヤツ泊めたりした時に、使ってる」
「へぇ～、俺以外にも泊まりに来るヤツいるのかぁ...」
「本当、たまにだけどな。何だか知らねぇけど、ゾロにちょっかい出そうとする輩がいるんだよ...」

そこまで言いながら、サンジは店で毎日顔を合わせる先輩の姿を思い出した。いつだったか、騒ぎを起こして警察まで迎えに行った帰り、ここに泊めたのだった。とにかくよく食べ、よく寝ていた。その癖サンジとゾロの間を散々引っ掻き回していったのだった。

(嵐みてぇな.....何だかルフィ、アイツに似てるな)


BACK←←　→→NEXT





Parallel MENU

NOVEL MENU


TOP