すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



バスルームを出た二人は、そっと部屋に戻った。すっかり寝入っているルフィはそのままにしておき、セミダブルの方に二人で横たわった。ゾロがこの部屋に引っ越してきた当初は、このベッドで寝ていたものだ。

「何か狭いけど、いいよな」
「寝返りが...」
「こうして、くっついて寝るの久しぶりだよなぁ」
「寝る時ぐれぇ、ちょっと離れて...」
「んだよぉ....逆だろ。寝る時だから....」
「予備のベッドに寝るかな」
「おいおい冗談だろ？」
「だったら、もうちょっと離れろ」
「ちぇ....」

何とか別々に寝ることは阻止できた。大きなベッドに寝るルフィの方を見やると、両手両足を大の字に広げ、実に気持ちよさそうに眠っている。

「本当に賑やかなヤツだよな」
「あぁ」
「コイツ、いいよなぁ...おめぇにあんなに可愛がられて」
「何のことだ」
「あんなにじゃれ合ってたじゃねぇかよ、クソむかつく」
「つまんねぇ...ヤキモチなんてみっともねぇぞ」
「おめぇは正面切って言わねぇと、全然分かんねぇじゃねぇかよ！」
「.....サンジ」
「何だよ」
「アイツは犬か猫くらいに思っておけ」
「.......」
「まぁ懐かれるから、つい撫でてやってるってところだ」
「.......そういう事にしといてやる」
「何だ、そのひっかかる言い方は」
「おめぇとコイツのコトなんざ、知ったことか。おめぇら本人にしか分かんねぇことだろ」
「信じてねぇのか」
「おめぇのことは、いつも信じてる。ただ、分かんねぇことはどうしようもねぇ」
「.............」
「.........？」
「お前だけだ」
「へっ？」
「もう寝る」
「.......俺も」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

目覚めた後は、サンジの作った朝食を摂り、「サンジのメシ、すんげぇ旨かった〜！また食わせてくれよな〜」と言いながらルフィは帰っていった。

「ウチはレストランじゃねぇぞ」

サンジは苦笑いしながら、見送った。ゾロはソファに座ったままだった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

突然の嵐も過ぎ去ると、また二人の間には平穏な日々が訪れた。そしてルフィから電話がかかってくることはあっても、会いにきたりはしなかった。

「またすぐ来るんじゃねぇかって思ってたけどな」
「もう、気が済んだんだろ」
「あんなに会いたい会いたいって、煩かったのにな」
「他に面白ぇこと、みつけたんだろ」
「....ちょっと寂しかったりして？」
「...そんなことねぇ」

そう話しながら、店に向かう二人。いつものように通用口から入りタイムカードを押すと、シャンクスの呼ぶ声がした。事務所へ入ってみると、バタバタと駆け寄る足音。


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