すり抜ける風


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「おーっ、ゾロ、サンジ！」
「なっ....なんでここにいるんだ、ルフィ？」
「なんでって...話をしてたからな」
「話？」

状況が飲み込めず、目をパチパチするサンジ。首を傾げるゾロ。そんな二人の様子を見て、シャンクスが口を開いた。

「ルフィはな....小さい頃ちょっと面倒見てやったことがあるんだ」
「えっ....チーフ、それ本当っすか！」
「訳ありでな、幼い兄弟だけだったからな。まぁ不思議な縁もあってな」
「俺、またシャンクスに会えるなんて思ってなかった！ここに居たなんて全然知らなくって！」
「兄貴から何も聞いてなかったのか？」
「シャンクスと同じ所にいる、しか聞いてなかった」

兄貴？サンジとゾロは顔を見合わせた。

「おい、お前達二人とも....何も知らないって顔してるな？」
「一体、何が何だか....兄貴って誰なんです？」
「おー！兄ちゃん！」
「.............ルフィ？！」

ルフィの視線の先には、いつもより早く出勤してきたエースが立っていた。

「え、エース......さんがルフィの兄貴？」
「..........似てねぇ」
「何でルフィがここに居る？」

少し驚きながらも、久しぶりに会ったらしい弟に優しい表情を見せるエース。今元気に目の前に居るのだから、理由はどうでもいいと思い直した。

「チーフがいきなり"今日早めに店に来い"って言うから何事かと思ったよ」
「お前を驚かしてやろうと思ってな」
「ルフィにはココを教えてなかったんだけど....」
「まぁ、それは後でゆっくり聞けばいい。あと3時間ほど、兄弟水入らずでゆっくりして来い」
「ルフィ、どうする？どこに行きたい？」
「何か食いてぇ！」
「....お前は食うコトばっかだな」
「いいじゃんかー」

ルックスも言動もまるで似ていない兄弟は、通用口から出て行った。

「あー、今日はびっくりすることばっかりだ」
「しかし、似てねぇ兄弟だな」
「俺、エースのあんな優しい顔、初めて見た」
「ああ見えて、弟思いの兄貴でな。ワルガキの群れから一人で弟を守ったり、もらった菓子がどんなに小さくても、ちゃんと分けてやったりな」
「..........」
「そう言えば、アイツ、お前達のところで世話になったんだってな？」
「え、えぇまぁ。なかなか賑やかで....」
「ゾロには随分と懐いてるみたいじゃないか。ジムに居た頃からだろ？俺もよく見かけたよ」
「えっ？チーフ....知ってたんスか？」
「お前をどうやってスカウトするか、観察してたからな...。お前の傍には常にアイツが居た。ルフィがそれほど懐くなんて、どんな男なのかと興味がわいたよ。それで何が何でもウチの店に連れて来ようと決めた」
「まさか、それがきっかけだなんて...チーフ、やっぱり侮れませんね」
「俺の勘に狂いは無かったわけだ」
「.....参ったな。俺はルフィに助けられてばっかりか」


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