すり抜ける風


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直接的にも間接的にも、ルフィの行動がゾロを救った。そういうことになる。

それなのに、突然居なくなって、再会した時にはあんな態度を取ってしまった。ルフィには悪いことしたな、とゾロは少し反省した。

「まぁ、これからも何かと面倒かけるかも知れないが、よろしく頼むよ二人とも」

シャンクスがデスクへ移動したのを合図に、サンジとゾロは事務所を出た。そしてそれぞれの持ち場へと散っていった。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

結局、弟同伴でエースが再び店に出てきたのは、1時を過ぎていた。待ちわびていた客達から、引っ切り無しにコールがかかる。兄が一仕事終えるまで、ルフィは事務所で待つことにした。しかしシャンクスも接客に出てしまった後は、だんだん退屈してきた。

「ルフィ？」
「んー？」
「退屈してんじゃねぇかって」
「おう！何かして遊ぼう！」
「遊ぼうって....ホント、調子狂うなぁ...」

僅かな休憩時間を使って様子を見に来たサンジは、肩を竦めて苦笑した。

「この後はどうすんだ？兄ちゃんとこへ行くのか？」
「それがな...エースは今日は何時に帰れるかわかんねぇって言うんだ。店が終わるより早く客とどっか行くんだってさ」

弟が今日来るのが分かっていれば、エースはアフターの予定も入れなかっただろう。ルフィは心底つまらなさそうに口を尖らせて言った。

「でもな、できるだけ早く切り上げて帰ってくるから、どっかで適当に時間潰してろって。俺、エースと会うの本当に久しぶりだから、何かワクワクしてんだ」

満面の笑みで話すルフィ。仲の良い兄弟だとシャンクスから聞いたが、思った以上らしい。

「どっかで適当って言ってもさ、どうすんだ？エースが仕事終わるまで、ウチで待ってれば？」

またしてもお節介を焼くサンジ。ここまで面倒を見てやる義理もないのだが、世話になっている上司のシャンクスと縁が深く、尊敬する先輩、エースの弟と聞けば、放置するわけにもいかない。

「えぇっ？いいのかっ？？俺、エースからサンジ達には無理言うなって、さんざん言われたから、我慢してたんだ！俺な....サンジの作ったメシがまた食いてぇ！」

結局メシの方かよ.....。サンジは一瞬自分の親切心で言った言葉に後悔したが、それでも何か憎めない、底なし胃袋の持ち主の少年に返した。

「あぁ、また旨ぇモン作ってやっからよ。ゾロもよく食うけどおめぇもホント、よく食いやがるから、こっちとしては作り甲斐があるってもんだ」
「おー！無茶苦茶楽しみだ！俺、好き嫌い全然ねぇからな！サンジ、好きだぞーーーっ！」
「はぁ....おめぇに好かれてもイマイチ嬉しかねぇけど、まぁ嫌われるよかマシ、ということで」


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