すり抜ける風


　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***



（まさか....な）

「サンジ....ダメだ俺....できねぇわ」
「？」
「俺のこと何とも思ってねぇお前を....」
「エース....？」
「カッコ悪ぃけどよ....どうしていいかわかんねぇ」
「ちょ...こっちこそ訳わかんねぇよ....先輩、何かキャラ変わってないっすか？」
「俺....今初めて分かった...本当に好きなヤツには...あ、えと....だからな」
「エース...大丈夫。ちゃんと聞いてるから」
「嫌われたくねぇ....つか、もう嫌われてっけど....そんなコトが頭ん中でグルグルしてよ....これ以上はできねぇ」

エースの手は、まだサンジの下腹部にのったままだった。動きが緩んで、殆ど動いていない。その場所が定位置であるかのように、そこから動かなかった。

(う....手ェどけるか、触るのか....どっちかにしてくれねぇかな....)

「エース....」
「.....」
「あの、さ...さっきの言葉、どこまで俺信じていいのかわかんねぇんだけど」
「全部、本心だって言ってるだろ」
「....受け入れる訳にはいかねぇけど」
「あぁ、いいんだ。分かってる」
「ひとまず受け止めた」
「え？」
「あ、でもすぐ通過してくれるんなら....って条件付でな」
「.......へぇ、そうか...そりゃありがてェや」


お前って....
サンジ、お前ってすげェ残酷だよ。
いっそ、ベッドから蹴り落としてくれりゃぁいいのに。


自分の無意識な優しさに傷つくほどエースが本気であることに、まだ気付かないでいるサンジ。そのサンジの手が、エースの髪をそっとかき上げた。初めての、サンジから与えられる口付けに、エースは驚きながらも素直に受け止める。

「サンジ、俺でもいいのか？」
「それは訊かない」

サンジの手がエースの体を滑り降りる。

「俺、先輩に比べたらすげェ下手クソだけど...いい？」
「気持ちが大事なんだよ、バカ」
「痛いトコ突くなぁ....」

エースはフッと笑いながら、続けた。

「コレ、ずっと放置してて...悪かったな」

サンジの体ですっかり置き去りにされて熱も退いてしまった部分に、まだエースの手があった。一度だけ撫で上げると、次はどうする？とエースが目で伝えてきた。

「んっ....そ、それ忘れてた...ってか....ぁ」
「何？」
「......エースの手....マジヤバイ」
「何が？」
「何仕込んでるのかって思うほど....ビリビリする」
「手で....いいか？」
「うん...俺も手で...」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「ゾロー」
「あ？」
「なぁ、ゾロ...」
「んだよ」
「さっきのー、もっかい」

ルフィがゾロの首に抱きついて強請っている。

「さっきのって....」
「なぁーーっ」
「しょーがねぇな......」

ほらこっち向いてみ？とルフィの顎をくぃっと手で押し上げると、ゾロは唇をちゅっと吸ってやった。

「ちがうーさっきのヤツ」
「はいはい」


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