Ｄｅｂｕｔ
〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***
「いいのか？」
「何が」
「俺、お前の事....好きなんだけど」
「.....あぁ」
「本当にいいのか？」
「.....しつこいな」
少しだけ、うんざりしたような表情を浮かべるゾロに、もう一度サンジは近付いた。逃げる様子も、抵抗する素振りも見せないゾロ。
「ヤバイよ....俺、もう」
再び重なった唇から、サンジの舌がそろりと出る。ゾロの唇を分け入り、少しずつ中へと侵入した。それがゾロの舌先に触れると、ゾロは小さく息を漏らし、身体も小さく跳ねた。
「ゾロ、とりあえず降りよう.....続きは俺の部屋でな」
部屋の鍵が開けられると、サンジはゾロを中へ引き込んだ。ドアが閉まるとすぐに、ゾロを抱き締めた。少し遅れて、ゾロもサンジの背中へ手を伸ばした。
「ん......」
またキスが始まり、そのまま舌も入る。ゾロも同じように応じると、互いの舌が絡み合う。そして暫くの間、サンジはゾロの唇と舌を貪っていた。
「っ.......」
ゾロが動きを止め、サンジの身体を離した。そして自分も後方へと離れようとした。
ほぼ、二人が同時に、自分の身体の変化に気がついたのだ。
まだ心がついていかない。ただ「これはヤバイ」事だけは間違いない。
(どうなってるんだ.....どうしたらいいんだ？)
(俺は、おかしくなっちまったのか？)
お互いに表情を窺いながら、自問自答していた。そしてその表情を頼りにお互いの気持ちを確認し合った。そしてゾロが声を発した。
「俺は.....信じたくねぇ」
「信じるほか、ねぇよな....」
「しかし.......事実は事実だ」
サンジはゾロに近付き、ゾロの腰に手をかけた。
「ココがこうなるって事は....」
「......あぁ」
「そういう事なんだろうけど」
「...うん」
「どう......するんだ」
考えればいい知恵が浮かぶというものでも無いのだろうが、サンジは黙って考えた。時間にしてほんの1,2分ほど。ゾロも同じように黙っているが、考えているのかどうかは分からない。
こういう時、男同士で一体どうするのか、噂には聞いた事はあるが、自分には関係無い事だと思って、深く考えてはいなかった。どうしたらいい？と考えれば考えるほど、訳が分からなくなってくる。
「んっ.....」
サンジの頭を引き寄せ、ゾロの方からキスをした。考えてばかりのサンジを見ていて、いい加減待ちくたびれたのだろう。
「どうしたらいいのか分かったのか？」
「い、いや....全然」
「じゃ、考えるだけ無駄だろう」
「.....」
「したいように、してればいいんじゃねぇのか？」
え？と言いながらサンジはゾロの顔を見た。
「どうしたらいいのか、なんて考えるな。今、どうしたいのか....」
「.....」
「.....それで、いいと思うが」
「.....そうだな。お前の言う通りだ」
自分の思いに従い、自然の流れに任せよう.....と。
余計な事は考えず、ゾロはサンジに再び近付いた。サンジも同じタイミングで距離を詰める。
目の前の男も俺と同じ気持ちなんだ、と互いに感じ取りながら。
「っ........」
「.........」
軽く何度も重ねるキスでは物足りなくなり、次第に深く濃厚になっていく。ほんの最初だけは遠慮がちだったサンジも、積極的にゾロの口内を探索中だ。触れていない場所は無いくらい、サンジの舌は動き回る。ゾロも負けじと対抗しようとするも、舌を舐められたり吸われたりする度、気力が引いてしまう。
「おっ....と」
少し腰のあたりが脱力し、よろけかけたゾロの身体をサンジが支える。ゾロは自分のそんな状態に戸惑い、口元を拭いながらサンジを見た。
「ゾロ、立ちっぱなしも何だから.....座ろうか？」
「....そう....だな」
ソファに腰を下ろした途端、サンジはゾロの首元に顔を埋め、緩いキスをし舌先を這わせた。ゾロの身体がぴくんと動く。
「....すげェ感度」
「...やめ.....」
「....スーツ、皺になるんじゃね？俺はこんな服だからいいけど」
「.....あぁ」
「脱ぐついでに....シャワー浴びようぜ」
「......」
「勿論、一緒に」
「.....っ」
「ん？もしかして恥ずかしい？」
「......いや、そんな事ねぇ」
そうだろうな、とサンジは笑いながらゾロの上着を脱がせた。毎日きっちりとスーツを着て笑顔の一つも見せないゾロ。そのゾロが大人しく脱がされている様子が、サンジの心のある部分を大いに刺激した。
「ネクタイ....もう自分で結べるようになったのか？」
「まぁ...何とか」
「....これ、お前が自分でやったみてぇだけど....変な場所に皺が付いたらどうしようもねぇぜ？」
「......」
「朝、ネクタイ持って迎えに来い。俺が締めてやるから....予備も俺んちに何本か置いておけばいい」
「......そうだな...」
ゾロの手がゆっくりとサンジの頭を引き寄せた。ゾロは片手でネクタイを引き抜き、シャツのボタンを外しながら、サンジの耳元に唇を寄せた。
「じゃ、これから頼む....」
「....了解」
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始まり。
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