Ｄｅｂｕｔ

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「これなんだけどな.....これだけ保留にしてある」
「何？これって.....」
「一応、社長を通す」
「...いや、待ってくれよ....」
「何だ？」
「俺がこれやるのか？」
「そういう依頼なんだからな、当然だろ」

オファーが来れば何でもやらないといけないのか？サンジは疑問を投げかけた。仕事を選ぶなんて大それた事は思わないが、やりたくないのではなく、"できない"事だってある。しかし、それすら全く言える状況ではなかった。

「他の分は、特に問題ないだろう....こっちは地方の仕事だ。一人で行ってもらうが.....大丈夫だな？」
「俺、一人？」
「あぁ...これからこういうのも時々あるからな」

現場までの移動を一人でと言うのは特に問題ないが、仕事が終わった後、また一人で戻るのは何とも心もとない。直後に誉められるにせよ、駄目出しされるにせよ、何か感想が欲しいのだ。

まだ、それだけ自信が無いサンジだった。


＊＊＊＊


金曜日、早朝。

いつもより早く目覚めたロビンは、出掛ける準備を終え、携帯の着信をチェックした。

「あら？」

こんな早くに珍しい。ナミとウソップから、それぞれメールが届いている。途端、それは"良いニュース"だと直感したロビンは、メールを開き、続けてwebにアクセスし、最新のニュースをチェックした。

「やったわ....」

何かあるだろうとは思っていたが、嬉しい誤算だ。少し時間を空けてアクセスすると、また別のところから発信されていた。こうしては居られない。ロビンはウソップへ電話をかけた。

「悪いけど、少し早く来てもらえるかしら？」
『はい、そう言われると思って、もう近くまで来てます』
「気が利くわね」

ロビンは部屋を出ると、エントランスホールに下りた。





「あなたからも、それにナミからも朝一にメールが来たから....びっくりしたわ」
「やっぱり彼女も...」
「何かあると思ってたのよ」
「準備段階で、かなり力入ってましたもんね」
「クライアントの方だって、凄い宣伝になるはずよ」

事務所に着くと、ロビンの顔を見た守衛が少し慌てたような顔で時計を見ていた。ロビンは毎日ほぼ同時刻に出社しているからだ。

「おはよう、ナミ」
「おはようございます」

秘書課に入るなり、ロビンは先に挨拶した。きっとナミも出社しているのだろうと分かっていた。

「ゾロは....」
「さっき見ましたよ」
「早いわね」
「今は自宅じゃなくて、近くのホテル住まいですから....」
「.....そうだったわね」
「それより、問い合わせ、結構来てますよ？」
「そう？」
「もう手に入らないのか、とか....」
「ファンから？」
「ええ...後、クライアントからも」

これはさらなるビッグビジネスになるのではないか。ナミの目はそう言っていた。

「第２弾....もあるかもね。ゾロは営業部？」
「ええ、サンジくんと打ち合わせしてるかと」
「後で来るように言って」
「はい」

ロビンは社長室へ入り、デスクに着くと、既にパソコンはonになりニュースが表示されていた。メール新着を見ると、例のクライアントの社長からだった。ロビンはさっと目を通すと、手短に返事を書いた。





「失礼します」
「どうぞ」

ゾロがサンジと一緒に入ってきた。

「どう？ホテル暮らしは....不自由してない？」
「まぁ、何とか大丈夫です」
「そう....来週くらいから戻ってもいいかもね」
「そうしたいですよ」
「...いっその事、近くに引っ越したら？」
「....？」
「あ、それはまた別の時に考えましょう。それより...」
「はい...」

ロビンはゾロとサンジの顔を交互に見ながら続けた。

「この依頼だけど....」
「......」
「特に問題ないでしょ。受けて下さい」
「分かりました」
「サンジ君、相手のモデルの引き立て役になる必要はないわ。自分が主役のつもりで今より磨きをかけておいて。後でサイズ測るから...必要なところ、アップするなり絞るなり.....やっておいてね」
「....は....はい」

サンジは最初、この依頼を知った時は、断わって欲しいと思っていた。ファッション雑誌の中で、今、流行中のブランドの下着を紹介するというものだ。主役は女性のモデル。

「楽しみね、サンジ君のセミヌード」



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....。





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