Ｄｅｂｕｔ

　〔ご注意〕***30字くらいで改行されるよう、ウィンドウの横幅を適宜縮めてお読み下さい***





「......頑張ります」
「頑張らなくてもいいわよ....自然体でね」

ぽん、とサンジの肩を叩くと、ロビンは話題を移した。

「さて本題だけど....」
「.......」
「....」
「今日は、あの駅張りポスター解禁日だったんだけど、もう聞いてるわよね？」
「はい」
「始発から数時間後に、全部無くなりました」

ロビンは嬉しそうに言う。

「そのお陰で今、クライアントのサイトはパンク寸前だそうよ。ポスターはもう無いのかとか....売ってくれとか....サイトに上げてる壁紙も、あんまりアクセス多くて繋がらないから、今は掲載してないそうよ」
「盗まれたポスター....どっかに流されたりしませんかね」
「大切に持っている人ばかりじゃないでしょうから....こっそり売ったりする人も現れるかもね」
「......」
「どうしたの？サンジ君.....これは凄い事よ。これからもっともっと、忙しくなるわよ」
「ついこの前にあんな騒ぎになって.....また話題になって....」
「それが好都合じゃない。悪い事で有名になった訳じゃないのよ。そのうちそんな心配してる暇も無いほど、仕事増えるわよ？」
「仕事、どんどん入れるからな」
「えええっ？ちょっと待ってくれよ」
「暇だと、余計な事考えるからな.....それくらいで丁度いい」
「あら、ゾロ....いつの間にそんな凄腕マネージャーになったの？」





「うわ.....キレイな人だな....」

サンジは次の仕事で一緒になる、モデルのプロフィールを見ていた。撮影のスケジュールや絵コンテを見ながら、自分なりにイメージを作っていた。グラビアと言っても、まるで映画を撮るような感じだった。

「だいたい、何で俺に依頼が来たんだろう」

その疑問をゾロにぶつけたら、多分また怒られそうな気がして、サンジは独り言だけに留めておいた。


＊＊＊＊


先日の事件の後、移動に支障が出ないようにと、サンジはゾロと一緒に会社からほど近い場所にあるホテルに滞在していた。社長命令で、ツインルームが手配された。"安全確保のため"との事だったが、それも仕方のない話。

勿論、ゾロと同室が嫌という訳ではないが。

「プライバシーとか、そういうのってこの際二の次なんだな...」

思わず口に出して言ったサンジに、バスルームから出てきたゾロが言う。

「そんなの、今さらもういいだろ」
「わっ...何だ、聞いてたのかよ」
「次、使えよ」
「あ、あぁ....」

今日も、気が付いたらゾロが先に風呂に入っていた。サンジが一緒に入ろうと誘うのをまるで分かっているかのようだ。

「あ、あるじゃねぇか。プライバシーが守られてる場所....トイレと風呂だ」
「ああ、それで充分だよ」
「....覗かねぇから....独りでヤルんならヤレよ」
「......っ、ばっ、馬鹿言うなっ.....」

ゾロもそういう冗談言うんだ、と変なところに感心しながらサンジはバスルームへ向かった。




"独りでヤルんなら..."

(ヤルかよっ！)

でも、確かに独りでそういう行為をするなら、入浴中しかない。サンジは浴槽の中で座って脚を伸ばし、リラックスしていたが、ふと、そんな事を思い浮かべた。

自らの手で慰めなくてはいけないほど、不自由していない。しかし、好きにイメージして自分のペースでできるのだから、これはこれでなかなか捨てがたい。

サンジは目を閉じた。浸かっている湯の温度は体温より少し低いくらいで、次第に眠くなってくる。

ほんの数日前の事が断片的に浮かんでくる。サンジが作った食事をゾロが美味しそうに食べていた。一緒に風呂に入り、一緒に寝た。触れあい、抱き合い.....

(ゾロ......)

初めてゾロの舌が自分自身に触れた瞬間を思い出した。その後は眩暈がするほど気持ち良くて、ゾロの息がかかるだけで本当にイってしまいそうだった。

その次の日は昼頃まで寝ていて、先に起きたサンジが、まだ寝惚けているゾロを強引に速攻技でイカせてやった。

"てめっ....朝から何......してん.....だ...."
"も......ゆうべ...あんなに...した....あっ...んぁぁっ.....やめ...."

ゾロの力ない抵抗の言葉と、喘ぎ声と、あの表情が生々しく思い出される。

(ゾロに触れたい....)

そして、自分に触れて欲しい。



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何だか始まりそうです。





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